2021年09月02日
学校での感染防止等、新型コロナ対策を厚労省、文科省に申し入れ
立憲民主党の逢坂誠二新型コロナウイルス対策本部長、長妻昭厚生労働部会長、斎藤嘉隆文部科学部会長は2日、子どもの感染防止などの新型コロナ対策を厚生労働省、及び文部科学省に申し入れました。
申し入れで逢坂対策本部長は「夏休みが終わり、子どもたちが学校に通うようになったこともあり、子どもの感染防止に重点をおいている。変異株が発生し、子どもたちも重症化する事例も出ているほか、子どもたちを通して家庭内感染を引き起こすことにつながるおそれがある」との問題意識を示しました。
長妻部会長は要請項目について説明し、教職員へのワクチン優先接種は自治体によって、おこなっているところとしていないところがあるので、国から各自治体に向けて実施するようアナウンスしてほしいと求めました。
申し入れの内容は次の8項目です。
1.文部科学省、厚生労働省から自治体に対し、保育園、幼稚園、こども園、小学校、中学校、高校、学童保育の教職員等の希望者にワクチンを優先接種することを要請すること。
2.抗原簡易キットについては、検査を行う際に飛沫が拡散することによる感染拡大リスクと教職員の負担増があるため、学校内では子どもには使用しないこと。
3.低所得家庭の子どもに向けて、小児科学会が感染防止のために推奨している不織布マスクを無償提供すること。その際、保育園、幼稚園、こども園、小学校、中学校、高校等を通じて提供することも検討すること。
4.保育園、幼稚園、こども園での感染が拡大しているため、自治体に対して、保育園、幼稚園、こども園に全面休園でなくとも、可能な家庭の登園自粛を呼びかけるよう要請すること。また、自治体に対して、自粛に応じた家庭に対しては保育料を減免することを要請すること。
5.予備費を使って、子育て世帯生活支援特別給付金(児童1人当たり5万円)を9月に再支給すること。
6.雇用形態や企業規模にかかわらず、小学校等の休業等に伴い子どもを世話する保護者に休暇中の賃金相当額が支給されるよう、小学校休業等対応助成金・支援金を復活させること。その際、今年4月まで遡って対象とするとともに、個人申請も可能とすること。
7.「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の支給が想定の1割に留まっている。ハローワークでの相談という求職等要件と、資産要件を無くすこと。
8.田村厚労大臣は先週、抗体カクテル療法について「在宅で使うための前段階として宿泊療養施設である程度対応ができれば、次の段階に入っていく」とテレビで発言した。ついては、外来に行けない自宅療養者のため、医師による24時間の管理体制が整うことなどを条件として、早急に自宅での抗体カクテル療法の使用を許可すること。
文部科学省での申し入れには斎藤嘉隆文部科学部会長が加わり、萩生田光一文科大臣に手交しました。
申し入れ後、記者団の取材に応じた逢坂対策本部長は、「新学期が始まり、それぞれの現場では不安が広がっている。特に変異株が出てから子どもたちで重症化するケースが多い。子どもたちが家庭に持ち帰ってクラスターの発端になるケースも多い。そうした意味で子どもたちの対策を先手先手で打っておくことが大事だ」と述べました。
長妻厚労部会長は、「新学期が始まるなか、われわれが何よりも懸念しているのは見えないクラスターが広がることだ」と強調。子どもは感染しても無症状のケースが圧倒的に多いことから、学校などで無症状の子どもたちから感染したものが家庭に持ち込まれる、いわゆる「逆流感染」により同居する家族が感染、重症化するなど、家庭内での「ミニクラスター」につながりかねないとして、「そうした連鎖を防ぐのが大きな課題だ」と指摘しました。
斎藤文科部会長は、昨年の一斉休校では、さまざまな家庭の事情を考慮することなく子どもたちの居場所がないケースもあったとあらためて指摘。こうした反省に立ち、今回新学期にあたって文科省が地域の実情に合った形で休校、学級閉鎖の基準を示したことを「ありがたかった」と評価しました。
その上で、子どもたちに対する抗原検査は「必要ない」との考えを示し、「調子が悪ければ医療機関に行くなり、家庭に帰るのが最優先」だと述べました。
また、こうした緊急事態において教員らが子どもたちにすべての労力をもって向き合える環境を整えていく必要があると主張。「コロナだからこそ起きる新たな負担が散見されている。行政側ができるだけこうしたことを排除し、教員が子どもにしっかり向き合える環境をつくってもらいたい。学校が安全で、教員にとっても子どもたちにとっても健やかに過ごせる場所であり続けなければならないので、そのために国がおこなうべき支援はすべてしてほしい」と求め、萩生田大臣からは「あらゆる手を打つ」との前向きな返答があったと報告しました。