天下り禁止法案

天下り禁止関連4法案の概要

 

 民主党は、自由党、社会民主党とともに、2001年6月27日、以下の概要からなる天下り禁止関連4法案を衆議院に提出した。

第一 国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(→要綱)

 

 一 一般職国家公務員に対する措置

 

 

「天下り」規制の強化(国家公務員法第103条及び第104条の改正)

 

イ 次の点でいわゆる天下りの規制を強化することとした。

 

 

天下りの制限期間を、現行の離職後2年間から5年間に拡大したこと。

 

規制の対象とする天下り先に、営利企業以外の事業の法人その他の団体(独立行政法人及び地方公共団体を除く。二において同じ。)を加えたこと。

 

ある職員の職務内容が他省庁の職員の行政上の権限の行使に重大な影響を及ぼし得る場合に、その職員が他省庁の関連団体に天下りすることも、規制対象としたこと。

 

 

ロ 個別承認・報告

 

 

    天下りの制限規定は、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、適用しないものとし、人事院は、毎年、遅滞なく、国会及び内閣に対し、前年において人事院がした承認の処分に関し必要な事項を報告しなければならないものとした。

 

 

 

再就職先リストの公表(同上)

 

    国家公務員倫理法案に規定する官房審議官級以上官職を占めていた職員は、その離職後5年以内に再就職先の役員、顧問又は評議員の地位に就いた場合は、人事院規則の定めるところにより、人事院に対し、当該職員が離職前5年間に在職していた国の機関における官職、再就職先の地位その他必要な事項を報告しなければならないものとし、人事院は、前年において受けた報告事項を国会に報告するとともに、これを公表するものとすることとした。

 

 

退職勧奨の制限(同法第80条の2の新設)

 

    任命権者は、整理退職、地方公務員となるための退職等の勧奨の場合を除き、職員に対して、その定年による退職の日前に退職することを勧奨してはならないものとした。

 

 

 二 自衛隊員に対する措置

 

 

「天下り」規制の強化(自衛隊法第62条及び第63条の改正)

 

    次の点でいわゆる天下りの規制を強化することとした。

 

天下りの制限期間を、現行の離職後2年間から5年間に拡大したこと。

 

規制の対象とする天下り先に、営利企業以外の事業の法人その他の団体を加えたこと。

 

隊員の職務と密接な関係があるものとして天下り規制の対象とするものを総理府令で定めることはしないものとしたこと。

 

 

その他

   天下りの個別承認・報告、再就職先リストの公表及び退職勧奨の制限に関する措置については、一般職国家公務員に準ずる措置を講ずることとした。

 

 

第二 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(→要綱)

 

 一 特定独立行政法人の役員に対する離職後の就職制限等の強化

 

 

「天下り」規制の強化(独立行政法人通則法第54条の改正)

 

イ 次の点でいわゆる天下りの規制を強化することとした。

 

 

天下りの制限期間を、現行の離職後2年間から5年間に拡大したこと。

 

規制の対象とする天下り先に、営利企業以外の事業の法人その他の団体(独立行政法人及び地方公共団体を除く。二において同じ。)を加えたこと。

 

 

ロ 個別承認・報告

 

 

    天下りの制限規定は、任命権者の申出により人事院の承認を得た場合には、適用しないものとし、人事院は、毎年、遅滞なく、国会及び内閣に対し、前年において人事院がした承認の処分に関し必要な事項を報告しなければならないものとした。

 

 

 

再就職先リストの公表(同上)

 

    役員は、その離職後5年以内に再就職先の役員、顧問又は評議員の地位に就いた場合は、人事院規則の定めるところにより、人事院に対し、当該役員が離職前5年間に在職していた特定独立行政法人及び国の機関における職、再就職先の地位その他必要な事項を報告しなければならないものとし、人事院は、前年において受けた報告事項を国会に報告するとともに、これを公表するものとすることとした。

 

 

 二 特定独立行政法人以外の独立行政法人の役員に対する離職後の就職制限(第61条の改正)

 

 

 役員は、離職後5年間は、法人その他の団体(独立行政法人及び地方公共団体を除く。)の地位で、その離職前5年間に在職していた独立行政法人又は政令で定める国の機関と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならないものとした。ただし、当該独立行政法人の業務の適正な運営の確保に支障がないものとして、任命権者の承認を受けたときは、この限りでないものとした。

 

 

第三 特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(→要綱)

 

 一 役員等の給与及び退職手当の支給基準

 

 

   特殊法人の役員、顧問及び評議員(以下「役員等」という。)が受ける報酬及び退職手当の支給基準は、一般職国家公務員の給与及び退職手当の例に準じて定められるものとすることとした。

 

 

二 一般職国家公務員であった者が役員等に占める割合の制限

 

 

   特殊法人の役員等は、役員、顧問又は評議員ごとに、その総数の3分の1を超えて、一般職国家公務員であった者で離職後10年以内のもので占められることとなってはならないものとした。

 

 

三 役員等の関連企業等からの隔離

 

 

   特殊法人の役員等は、離職後5年間は、法人その他の団体の地位で、当該役員等が離職前5年間に在職していた特殊法人と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならないものとした。ただし、当該特殊法人の業務の適正な運営の確保に支障がないものとして当該特殊法人を所管する主務大臣の承認を受けたときは、この限りでないものとした。

 

 

第四 日本銀行法の一部を改正する法律案(→要綱)

 

 一 一般職国家公務員であった者が役員に占める数の制限(第21条の改正)

 

 

   日本銀行の役員は、その数の3分の1を超えて、一般職国家公務員であった者で離職後10年以内のもので占められることとなってはならないものとした。

 

 

 二 役員及び職員の再就職制限(第31条の2の新設)

 

 

   日本銀行の役員及び職員は、離職後5年間は、法人その他の団体の地位で、当該役員及び職員が離職前5年以内に従事していた職務と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならないものとした。ただし、日本銀行の業務の適正な運営の確保に支障がないものとして政策委員会の承認を受けたときは、この限りでないものとした。

 

 

第五 施行期日等

 

 

  これらの法律は、いずれも公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとし、罰則、経過措置等所要の規定を整備することとした。

 

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