格差が小さく、 すべての人に「居場所」と 「出番」のある社会を目指して
昨年12月8日は、72年前に真珠湾攻撃があった対米開戦の日です。当時、政府は、この一連の昭和の戦争を日本が仕掛けたのではなく、自衛のための戦争、と位置づけていました。
当時の日記を見ると、真珠湾攻撃の一報を受けた国民からは、よくやった、と歓迎する声が多く上がっていました。情報を制限して、空気を作り上げれば、一つの方向に日本はもっていかれる国であることは、戦前の歴史が証明しています。
奇しくも、その二日前、昨年12月6日に特定秘密保護法案が強行採決の末、成立しました。国家機密を厳重に守ることは当然としても、秘密の範囲があいまいで、いくらでも恣意的に秘密を決める事ができる、拡大解釈を許す余地のある問題法律です。
日本から戦争の記憶が消える
民主党は、秘密の指定を厳格化して、第三者が「その秘密は本当に秘密にするべき情報なのか」をチェックし、裁判官は秘密を見ることを可能とする対案を提出しました。しかし、自民党は、それを取り入れることはありませんでした。
かつて戦場で戦った経験のある日本人は、当時の少年兵でも85歳を超えています。どんどん日本から戦争の記憶が失われる中、過去の教訓を忘れては断じてなりません。
特定秘密保護法が、政府が情報を制限して、空気を作り上げて、一つの方向に持っていくための手段にならないように、これからも、法案の修正を求め監視を続けて参ります。
本来、目指すべき社会像
今、日本は、本来、目指すべき社会像から大きくかけ離れた方向に進み始めています。公共事業偏重、原発ゼロの撤回、格差拡大、バブルを生みだす超金融緩和をはじめ、自民党政権になって、これまでとは逆の方向に舵を切りました。
日本が、本来、目指すべき社会像とは何でしょうか。
ひとことでいえば「格差が小さく、すべての人に居場所と出番のある社会」です。その社会では、「教育の機会が保障され、一人ひとりの能力が最大限発揮できる社会」でもあります。「政府に都合の悪い情報でも国民に知らせる社会」であることはもちろんです。
今、所得格差を現わす相対的貧困率が先進国で、米国に次いで高くなっています。日本は特に、子ども、高齢者、非正規雇用、この3つの格差は限界に近付きつつあり、格差是正が緊急の課題となっています。
格差が拡大する社会では、裕福な人の精神疾患も増え、子どもの学力は低下し、治安が悪化することが英国はじめ多くの研究者から報告されています。
行き過ぎた格差を是正することは社会全体の利益となり、崩れやすく脆い社会でなく、しなやかな真に強い社会を実現します。
自民党政権は、格差是正や社会保障は経済成長のお荷物である、といわんばかりの政策を打ち出していますが、決して成長のお荷物ではありません。
しなやかな真に強い社会
適切な格差是正や社会保障は、むしろ、結果として成長の基盤を作るものです。
例えば、誰もが望めば大学 教育を受ける事が実現できれば、能力を最大限発揮できる人が増え、結果として、日本の成長に資する事となります。欧州では、大学院まで無料の国もあります。
また、親の介護のために会社を辞める人が現在、年間10万人に上る現在、介護や育児支援を適切に整備すれば、会社を辞める人が減り、成長の基盤を崩さなくて済むのです。
日本人は、他国と異なり、死ぬときに最も貯金を持っています。社会保障によって老後の安心を提供することで消費の増加が期待できます。
バブルは決して起こしてはならない
価格が下落し、経済活動が停滞するデフレから脱却することは確かに緊急の課題です。
だからといって、国債発行の7割も日銀が購入するような超金融緩和という、安倍内閣の劇薬は、バブルを生み出す危険な副作用があります。
国債が高騰し、資産バブルも誘発して、いずれバブル崩壊につながりかねません。かつて、1980年代後半にバブルが崩壊して、その後、失われた20年といわれ、経済に大きなダメージを与えました。
デフレ脱却は重要ですが、民主党政権が取り組んだように、時間をかけて、バブルを発生させないように、緩やかなインフレ目標(例えば物価上昇1%を目途)を立てることが重要です。
国家の礎 二つの保障
国家の礎(いしずえ)は、二つの保障、社会保障と安全保障にあります。
世界の貧困・格差が、テロの温床を拡大している今、世界の格差是正の行動指針(イスタンブール宣言など)の実現のため、日本はさらに取り組む必要があります。
また、真の民主主義の国同士は戦争しないといわれます。世界に強権的でない形で、民主主義を浸透させるために、さらに日本は汗をかく必要があります。軍事一辺倒でない、安全保障政策を積極的に推進することが重要です。
これ以外の論点については、民主党が目指すべき社会を分かりやすく示すための自民党との対比表を参照ください(表面の図表参照)。
厳しい財政の足かせ
将来を考えるときに、特に注意しなければならないのは、日本には世界一の借金があるということです。
民主党政権では、2015年に国の年間赤字を半減、2020年に国を単年度で黒字化するという目標を立て、年間借金の上限44兆円を守って参りました。
消費税率を10%にさせていただくのも、増税分5%のうち、1%を社会保障の充実に、4%を借金で手当てしていた社会保障に充てる(つまり借金返済)ためです。
しかし、少子高齢化が世界一進展する中で、今後、数十年に渡って、消費税率をさらに引き上げないでも済むとは言えません。
社会保障、賢い効率化が必要
もはや、野放図に公共事業や社会保障を伸ばすことはできないのです。
そのために、賢い効率化が必要です。公共事業の総量を抑えることや過剰医療や過剰介護にメスを入れることは当然です。しかし、社会保障に関しては、必要以上に機械的に削ると、かえって重症化したり、介護離職や育児離職が増えたりして、経済にダメージを与えかねません。
むしろ、適切な予防を強化して、健康寿命を延ばし、社会保障の伸びを抑える政策が重要です。予防は日本が最も弱い分野の一つです。予防をはじめ、賢い効率化に心して取り組んで参ります。
また、税や保険料の負担については、必ず将来、自分に返ってくる安心のための経費、との理解を広める必要があります。そのためには、税や保険料は無駄なく使われている、との信頼が持てる政府にしなければなりません。
はありません。
政権再交代を目指し、民主党改革
本来の国政選挙の争点は、どんな社会に住みたいか、それぞれの政党が目指すべき社会像を掲げ、有権者が選択することと考えます。しかし、残念ながら社会像を競い合うという争点はなかなか浸透していません。
今後、私たちが目指す社会像と実現までの手順を丁寧に説明し、それが絵に描いた餅でなく、確かに実現できる、と皆様に理解いただくように取り組みを続けて参ります。
私は、民主党改革を主導し、闘う改革政党として再生させ、再び政権交代を実現する覚悟です。
今後、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
ながつま昭 Photo Gallery
2013年1月 地元の新年会で挨拶
2013年7月 新潟にて幹事長代行として参議院議員候補者の応援
2013年8月 障がい者施設でボランティア
2013年9月 地元での国政報告会
2013年10月 衆議院予算委員会でノバルティス問題、みずほ問題などを厳しく追及