安全保障委員会における鈴木正孝・防衛庁政務次官の答弁に関する質問主意書 平成12年8月
●質問1
安全保障委員会における鈴木正孝・防衛庁政務次官の答弁に関する質問主意書
平成一二年八月四日の衆議院安全保障委員会において、鈴木正孝・防衛庁政務次官は、長妻昭・委員の領空侵犯機に対する自衛隊の武器使用に関する次の質問「武器使用が刑法の正当防衛(刑法三六条)、緊急避難(刑法三七条)の条文に違反をしていた。隊員は罪を問われるのか」に対し次のように答弁をした。
「(武器使用は)刑法三六条の正当防衛、刑法三七条緊急避難を具体的に根拠とするものではなく、自衛隊法そのものの八四条の必要な措置、そして、その内容が国際法上の規範内で行われるものであれば罪を問われることにはならない」。
また長妻委員の質問「領空侵犯をした航空機に刑法上の正当防衛(刑法三六条)、緊急避難(刑法三七条)に当たらない(武器使用の)命令が下った。その命令を実行した場合、そうした正当防衛、緊急避難に当たらなくても、隊員は罪を問われないのか。間違いないですね。再度確認します」に対して鈴木政務次官は「法律に従って、この必要な措置の範囲内では責任は問われない」と答弁。そして長妻委員の質問「その範囲内とは刑法ではなく自衛隊法八四条の必要な措置の範囲内ということですね」に鈴木政務次官は「まさにそのようなことです」と答弁した。
この鈴木政務次官の答弁は、政府の統一見解と理解して宜しいか、質問する。
仮にこの鈴木政務次官の答弁が政府の統一見解ではない場合、政府は、長妻委員の前記それぞれの質問にどのように答えるのか。
右質問する。
●質問1への回答書
衆議院議員長妻昭君提出安全保障委員会における鈴木正孝・防衛政務次官の答弁に関する質問に対する答弁書
平成十二年八月四日の衆議院安全保障委員会における長妻昭委員の質問に対する鈴木正孝防衛政務次官の答弁は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十四条に基づく領空侵犯に対する措置は、国際法上認められる範囲内で行われるものであり、また、その際の武器の使用は、同条に規定する「必要な措置」として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許されるという従来からの政府の考え方を述べたものである。領空侵犯に対する措置の一環としての武器の使用が、このような「必要な措置」の範囲内で行われる限り、同法第八十四条に基づき、当該武器の使用は適法であり、刑事上の責任が生じるものではない。