質問主意書

金融庁長官の特別検査をめぐる発言に関する質問主意書 平成13年12月

金融庁長官の特別検査をめぐる発言に関する質問主意書

平成十三年十一月三〇日の衆議院財務金融委員会で森昭治金融庁長官(以下、森長官と記す)の発言が問題となりました。

平成十三年十月二四日、森長官と銀行幹部の会談の席上での森長官の発言です。

一つは「特別検査の結果を中間決算に反映するのか、という点については、それはそもそもできっこない、話であり、やや期待をこめて言ったにすぎない」。もう一つは、「決して破綻懸念先に落とすことを目的にして特別検査に入るわけではない」というものです。

一 この発言は事実ですか。明確にお教え願います。

二 仮に事実でないと言われるのであれば、どのような趣旨の発言をされたのですか。

三 銀行側の出席者が森長官の発言を右記述したように認識している以上、森長官の発言に注意深さが不足していたと言わざるを得ません。特別検査が八百長であるととられかねない発言であり、内閣として何らかの処置を森長官にするおつもりはありますか。

右質問する。

 

衆議院議員長妻昭君提出金融庁長官の特別検査をめぐる発言に関する質問に対する答弁書

一及び二について

平成十三年十月二十四日に、御指摘の金融庁と銀行業界との意見交換会において、金融庁長官が特別検査の中間決算への反映及び特別検査の目的について発言を行ったことは事実であるが、その趣旨は次のとおりである。

すなわち、特別検査の中間決算への反映に関しては、特別検査の開始時期にかんがみて、銀行がその結果を中間決算に反映させることができるような時期までに、すべての債務者について債務者区分並びに償却及び引当ての検証を終えることはできないが、銀行が、改革先行プログラム(同年二十六日経済対策閣僚会議決定)において特別検査は同月中に開始すると記されていることを踏まえ、いわば特別検査のアナウンスメント効果として、自主的に最新の市場の評価を反映した適正な債務者区分並びに償却及び引当てを行うことを期待するという趣旨を述べたものである。

また、特別検査の目的に関しては、特別検査は、借り手企業の信用が市場で急速に低下した最近の事例を踏まえ、銀行経営の健全性確保の観点から、銀行が、市場の評価に著しい変化が生じている債務者等について、最新の市場の評価を反映した適正な債務者区分並びに償却及び引当てを行うことを確保するために実施するものであり、例えば特定の債務者の債務者区分を要注意先から破綻懸念先に機械的に変更する等の予断をもって望むものではないという趣旨を述べたものである。

三について

一及び二についてで述べたとおり、金融庁長官は改革先行プログラムに示された特別検査の趣旨を述べたものであり、その発言は問題のあるものではない。