質問主意書

脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋等の実態に関する質問主意書(2回目) 平成14年2月22日答弁受理

平成十四年二月十五日提出
質問第二四号

脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋等の実態に関する質問主意書

提出者  長妻 昭

脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋等の実態に関する質問主意書

一 平成十四年二月八日に小泉純一郎内閣総理大臣の名前で、前回、私が提出した「脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋の実態に関する質問主意書」の答弁書を頂いた。その中で、「税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんは、今後とも必要である」との答弁がなされた。
この答弁は小泉総理本人が中身を読んで了解されたものなのか、お尋ねする。
二 塩川正十郎財務大臣は、この答弁書の中身を本当に読んで、了解されたのか。
三 平成十四年二月一三日の衆議院予算委員会において、民主党の河村たかし委員の税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんに関する質問に対して、小泉総理は「初めて聞いたこと」と答弁している。
とすれば、平成十四年二月八日の答弁書には、小泉総理本人は目を通していないと理解してよろしいか。
四 質問主意書の答弁書は、一般論としては実際に中身を読んで答弁の最終チェックをする人はどのポストの誰なのか。
五 具体論として本答弁書は、実際に中身を読んで決裁した人はどのポストの誰か。
六 本質問主意書への答弁書に関しては、小泉総理本人が実際に目を通した上で、頂きたいと思うが、それは可能か。
七 総理本人が質問主意書の答弁書に実際に目を通す場合は、どのようなケースなのか。
八 平成十四年二月八日の答弁書では、「元札幌国税局長があっせんを受けた顧問先企業の数及び顧問料については、個人のプライバシーに係る事項であるので答弁を差し控えたい」との答弁がなされた。国税OBで脱税容疑で逮捕され税の信頼を失墜させた人物に関して、その脱税の温床となったあっせんの実態をプライバシーを理由に拒むのは無理があると思うがいかがか。
九 いかなる場合でもOB個人に対するあっせん実態公表という意味でのプライバシーは守られるべきと考えるのか。
一〇 元札幌国税局長が有罪判決を受けた場合は、あっせんの実態を公表するのか。
一一 元札幌国税局長が有罪判決を受けた場合でも、あっせんの実態を公表しないとすれば、その理由は何か。具体的にお示し願いたい。
一二 平成十四年一月三一日朝日新聞朝刊で、「元札幌国税局長 退官時に年収一億円確保 多数の顧問先 当局が特別待遇」との記事の中で、脱税事件で逮捕された元札幌国税局長は、退官時に、国税当局から多数の顧問先をあっせんされ、その顧問料だけで、年間に一億円前後の収入を得ていたことが、関係者の話でわかったとある。
平成十四年二月一三日の衆議院予算委員会で、国税庁が明らかにした顧問先企業あっせんの実態では、一人当たり平均あっせん先十三・二件で、一人当たりの年間報酬額は九四一万円となっている。
この元札幌国税局長は、なぜ、年収一億円前後ものあっせんを受けているのか。特別待遇なのか。
一三 仮に年収一億円前後のあっせんを受けていないのであれば、報道に対して抗議など何らかの措置をとったのか。
一四 措置をとらない場合は、その理由をお示し願いたい。
一五 巨額あっせんの疑惑をこれほど持たれたからには、元札幌国税局長個人への当局及び当局関係者があっせんした顧問先企業の数と顧問料の月額総額を月次別で明らかにすることが疑惑解明につながると考える。明らかにして頂きたい。
一六 国税当局が顧問先あっせんをする場合は、通常の方法(平成十四年二月一三日の衆議院予算委員会で、国税庁が明らかにした酬収総額三三億円の手法)と東京国税局調査部によるあっせん、税務署の副署長によるあっせん、国税職員個人によるあっせん、この四種類あると言われているが、それぞれの実態をお示し願いたい。
一七 地元の税務署の副署長から、OBの顧問税理士就任を依頼された零細企業が実際に存在するが、これは職務違反なのか。あるいは法令、規則その他に違反する行為か。
一八 実際に、零細企業が地元の税務署の副署長から、OBの顧問税理士就任を依頼されているが、この実態が零細企業側にある書類・証言などではっきりした場合には当局として調査に乗り出すことは可能性としてあるのか。
一九 地元の税務署の副署長から、OBの顧問税理士就任を依頼するという行為に関して、国税庁としては、実態を把握しているのか。把握しているのであれば詳細にお示し願いたい。
二〇 平成十四年二月一三日の衆議院予算委委員会であっせんに関して小泉純一郎総理大臣は「税に対する信頼をゆるがせにする大きな問題でもありますので、こういうことがないようにさらに財務省としても国民の信頼を得られるような改革に取り組む必要があると。今、財務大臣が答弁いたしましたように、調査をよくして今言った議員のような指摘、疑惑を招かないような体制を取っていきたいと思います」「良く調査をして不正のないような対策を取りたいと思います」と答弁している。
平成十四年二月八日に小泉純一郎内閣総理大臣の名前で、前回、私が提出した「脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋の実態に関する質問主意書」の答弁書を頂いた。その中で、「税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんは、今後とも必要である」との答弁がなされている。この答弁書の当該部分は、変更となったと理解してよろしいか。つまり、税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんの是非に関しては、今後、検討をすると理解してよろしいか。
二一 その理解でなければ、総理の答弁の真意はどういうことなのか。
二二 平成十四年二月一三日の衆議院予算委委員会であっせんに関して、塩川正十郎財務大臣は「国税局長会議を開いてそういう実態調査をこれからかかるから」「正月からこれの調査を国税局に命じた」と答弁している。どのような調査を指示して、いつまでに調査結果が出されるのか。調査の対象・中身と期限をお教え願いたい。その結果は、もちろん公表されると思うが、いかがか。
二三 平成十四年一月二八日の衆議院財務金融委員会で、私のあっせんの是非に関する質問に関して、塩川財務大臣は「そこで、一カ月前でございましたでしょうか、閣議の席で、法制局に対しまして、この行為はどのように公務員法との関係でなるかということを研究してくれということを言っておきまして、ついては、就職のあっせんとそれから開業との問題等についてさらに一層実態に即した方法を、防止方法を研究してとっていきたいと思っております。」「あっせんとは何かという、あっせんの性格とか何か見て、もちろんやめさすということは当然のことでございますが、何があっせんであったか、どこまでが職権であったかということ等についての問題があるから、だからそこを検討するということになっておるわけです。」「できるだけ急ぐということでございますけれども、まだ明確に法制局等から返答はございません。法制局並びに人事院、いろいろな判例をも見て、やはりこの問題は重要な案件でございますので、慎重に考えておるんだろうと思いますけれども、できるだけ早く答えを出してもらうようにいたします。」と答弁しております。このあっせん問題の結論はいつまでに出すのか。明確にお答えいただきたい。
二四 その結論の中では、あっせん全面禁止措置も選択肢として排除しないのか、お示し願いたい。
二五 平成十四年二月八日に小泉純一郎内閣総理大臣の名前で頂いた本件に関する答弁書の中で、「税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんは、職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点から(略)今後とも必要であると考えている」との答弁がある。この中の、「職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点から」というのは具体的にはどのようなことを指すのか。事例をもって分かりやすく説明頂きたい。
二六 「職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点」があるにもかかわらず、元札幌国税局長は問題を起こしてしまった。あっせんの必要性の理由の一つである「職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点」という点は有効性を失っていると思われるがいかがか。
二七 元札幌国税局長の脱税事件に対して、再発防止策としてはどのようなことをいつまでに考えているのか。
二八 税務実務に一定年数以上携わると税理士資格が容易に取れる現行制度を見直す必要があると考えるか。見直しの検討を始める予定はあるのか。
二九 検事総長OB、検事長OBに対する税務当局からの顧問先あっせんの事実はあるのか。
三〇 検事総長OB、検事長OBに対する税務当局からの顧問先あっせんの事実があるとすれば、あっせん会社数、あっせん報酬等、実態をお教え願いたい。

右質問する。

 

 

内閣衆質一五四第二四号
平成十四年二月二十二日

内閣総理大臣 小泉純一郎

衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員長妻昭君提出脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋等の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員長妻昭君提出脱税容疑で逮捕された元札幌国税局長への顧問先企業斡旋等の実態に関する質問に対する答弁書

一及び二について

先の答弁書(平成十四年二月八日内閣衆質一五四第八号)については、本年二月八日の閣議において決定しており、小泉内閣総理大臣も塩川財務大臣もその内容を了解している。

三について

先の答弁書は、国税局が税理士資格を有する職員に対して行っている退職後の顧問先企業のあっせんについて述べたものであるが、御指摘の答弁は、このほかに独自に国税局調査部等があっせんを行っている旨の河村たかし委員の指摘に対するものである。一及び二についてで述べたとおり、小泉内閣総理大臣は、先の答弁書の内容を了解している。

四及び五について

内閣が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十五条に基づき各議院の議長から質問主意書の転送を受けた場合、その質問の内容に関係する府省庁において答弁書を作成し、所管の大臣の閣議請議を受けて、閣議において決定している。先の答弁書についても、財務省において作成した後、塩川財務大臣が決裁をして閣議請議を行い、本年二月八日の閣議において決定している。

六及び七について

質問主意書に対する答弁書はすべて閣議において決定されており、内閣総理大臣はその内容を了解している。この答弁書も、本年二月二十二日の閣議において決定されたものである。

八から一一までについて

一般に、個人のプライバシーに係る事柄を公表するかどうかについては、具体的事例に即して個別に検討すべきものと考える。
御指摘の元札幌国税局長は退職後に脱税を行ったとして所得税法(昭和四十年法律第三十三号)違反により起訴されているが、このことと同人が受けた顧問先企業のあっせんとは別の問題であると考えられるので、そのプライバシーに配慮して、先の質問主意書(平成十四年二月一日質問第八号)においてお尋ねの事項は、同人のプライバシーに係る事柄であり、公表を差し控えるべきものと考えている。
なお、東京国税局が元札幌国税局長を含めて同人と同時期に退職した者に対してあっせんを行った顧問先企業の数は、平均して一人当たり九件であり、顧問料の合計は、平均して一人当たり月額六十三万八千円、年額七百六十六万円であった。

一二から一四までについて

御指摘のような新聞の報道があったことは承知している。八から一一までについてで述べたとおり、東京国税局が元札幌国税局長を含めて同人と同時期に退職した者に対してあっせんを行った顧問先企業の数は、平均して一人当たり九件であり、顧問料の合計は、平均して一人当たり月額六十三万八千円、年額七百六十六万円であったが、お尋ねのように元札幌国税局長に対して特別の取扱いをしてはいないので、同人が国税局から一億円の顧問料収入に相当する数の顧問先企業をあっせんされたという点については、事実の誤認があると考えている。国税庁は、当該報道を行った新聞社からの取材に対して、その旨のコメントをしているところである。

一五について

元札幌国税局長があっせんを受けた顧問先企業の数及び顧問料については、個人のプライバシーに係る事柄であるので、答弁を差し控えたい。

一六及び一七について

税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんについては、責任体制を確立する等の観点から、国税局の人事課が一元的に管理しているところであるが、企業の需要の把握等の具体的な事務については、人事課の指示の下に税務署の副署長、国税局の調査管理課長などに担当させる場合もある。
いずれにしても御指摘のような東京国税局調査部による独自のあっせん、税務署の副署長による独自のあっせん及び国税職員個人による独自のあっせんを行うことは認めていない。
税務署の副署長が当該税務署の管轄内の企業に対して、国税局長からの指示に基づき企業の需要を聴取し、税理士資格を有する職員の退職後の顧問先企業のあっせんの補助を行う行為は、当該副署長の職務であり、適正に行う限り法令に違反するものではないと考えている。

一八及び一九について

お尋ねの税務署の副署長があっせん行為を行っているのではないかとの点については、税務署の副署長が国税局長からの指示に基づき職務として顧問先企業のあっせんの補助を行っているのは事実であり、お尋ねのように、その事実の有無について特段の調査を行う必要はないと考えている。

二○及び二一について

御指摘の答弁は、国税局が税理士資格を有する職員に対して行っている退職後の顧問先企業のあっせんについて、納税者等から批判や疑惑を招かないようにすることが重要であり、今後、更にこの点を徹底していく必要があるとの趣旨を述べたものであり、こうしたあっせんは、適正に行われる限り、今後とも必要であると考えている。

二二について

お尋ねの調査は、平成十三年十一月二十一日の衆議院財務金融委員会において、顧問先企業のあっせんが押し付けとして行われているのではないかとの質問がなされたことを踏まえて、そのような事実がないことを確認するために行うこととしたものであり、できるだけ早く結果を取りまとめたいと考えている。
また、その結果は、基本的に開示することができるものと考えている。

二三及び二四について

税理士資格を有する職員に対して行っている退職後の顧問先企業のあっせんについての考え方は、先の答弁書で述べたとおりであるが、現在、納税者等から批判や疑惑を招かないためにどのような対策をとるのが適当か等について検討しているところであり、今後実施される公務員制度改革との調和等を踏まえつつ、できるだけ早く結論を出したい。

二五について

お尋ねの「職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等」とは、職員が在職中に退職後の生計に不安を感ずることなく、その職務に専念できるようにすることや職員の年齢構成の適正化を図り、組織の活力を維持していくことを指す。

二六について

元札幌国税局長は退職後に脱税を行ったとして所得税法違反により起訴されているものであり、このことと職員が在職中に職務の適正な執行を行うかどうかということとは別の問題であると考える。

二七について

国税庁においては、課税上問題があると認められる場合には、その者の過去の経歴等に関係なく、適時に税務調査を行うなどして適正かつ公平な課税の実現に努めているところである。今後とも、法令に基づいて厳正に対処していくことが再発防止のために重要であると考えており、本年一月十六日に臨時の国税局長会議を開催し、適正な税務執行に対していささかの疑念も生じないよう、厳正な執行について改めて指示したところである。

二八について

税理士は、税務に関する専門家として納税義務の適正な実現を図ることを使命としている。税務について十分な実務経験があることは税理士の業務にとって有益であるので、一定年数の実務経験を有し、国税審議会が指定した研修を修了した者に試験免除を認める現行の制度を見直すことは考えていない。

二九及び三○について

お尋ねのような検事総長経験者等に対する国税局からの顧問先企業のあっせんの事実はない。