質問主意書

鈴木宗男衆議院議員を総理特使に任命した経緯等に関する質問主意書 平成14年3月1日答弁受理

平成十四年二月二十二日提出
質問第三三号

鈴木宗男衆議院議員を総理特使に任命した経緯等に関する質問主意書

提出者  長  妻   昭

鈴木宗男衆議院議員を総理特使に任命した経緯等に関する質問主意書

一 小泉内閣において、二度、鈴木宗男議員を総理特使として小泉総理大臣の親書を持たせて、海外に派遣している。
それぞれの訪問国、期間、内容の詳細についてお示し願いたい。
二 二回の総理特使派遣にかかった費用は、それぞれ、総額いくらか。
三 それぞれの費用の詳細な明細もお示し願いたい。
四 それぞれの費用は、どのような会計上の費目から支出されているのか。
使用明細ごとに費目をお示し願いたい。
五 それぞれの費用における報償費は、いくらあったか。
六 報償費分の支出の使途の明細をお示し願いたい。
七 十万円以上の報償費の支出は、副大臣決裁となるルールがあるが、今回のケースでは、それぞれ十万円以上の支出があったのか。そして、副大臣決裁となったのか。
八 どのような経緯で鈴木議員が総理特使に選定されたのか。
九 誰が、どのような理由で鈴木議員に依頼をしたのか。
一〇 あるいは、鈴木議員から総理特使の申し出があったとすれば、誰に対して申し出があったのか。
一一 今回のケースにおける鈴木議員の選考基準を明確にお示し願いたい。
一二 今回のケースにおける選考過程の内部文書があれば、その内容を明らかにされたい。
一三 一般論として、総理特使を派遣すること自体の決定基準、及び、誰を総理特使とするかの選定基準をお示し願いたい。
一四 一三に関する内部文書があれば、その内容を明らかにされたい。
一五 なぜ、当時の田中眞紀子外務大臣の派遣でなく、総理特使として鈴木宗男議員を派遣したのか、理由をお示し願いたい。
一六 当時の田中眞紀子外務大臣の派遣でなく、総理特使として鈴木宗男議員を派遣する、という最終判断は、小泉総理大臣自身がされたものか。
一七 小泉総理の判断でなければ、誰が最終判断したのか。

右質問する。

 

内閣衆質一五四第三三号
平成十四年三月一日

内閣総理大臣 小泉純一郎

衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員長妻昭君提出鈴木宗男衆議院議員を総理特使に任命した経緯等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員長妻昭君提出鈴木宗男衆議院議員を総理特使に任命した経緯等に関する質問に対する答弁書

一について

小泉内閣における総理特使としての鈴木宗男衆議院議員(以下「鈴木議員」という。)の第一回目の派遣は、平成十三年十月七日及び八日(本邦発は六日、本邦着は九日)、訪問国は、タジキスタン共和国(以下「タジキスタン」という。)である。その目的は、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)における同時多発テロ事件に関し、我が国の立場の説明、国際的連携の確認及び難民対策に関する意見交換を行うことにあり、鈴木議員は、タジキスタンにおいて、アフガニスタンとの国境地帯を視察するとともに、ラフモノフ・タジキスタン大統領(以下「ラフモノフ大統領」という。)、ナザロフ・タジキスタン外務大臣(以下「ナザロフ外務大臣」という。)、ジヤエフ・タジキスタン非常事態大臣(以下「ジヤエフ非常事態大臣」という。)等と会談を行った。
第二回目の派遣は、平成十四年一月十五日及び十六日(本邦発は十四日、本邦着は十九日)、訪問国は、タジキスタンである。その目的は、アフガニスタン復興支援国際会議への協力を要請し、我が国とタジキスタンとの外交関係樹立十周年を記念するとともに、在タジキスタン日本国大使館(兼勤駐在官事務所)の開設レセプションへ出席することにあり、鈴木議員は、タジキスタンにおいて、アフガニスタンとの国境地帯を再度視察するとともに、ラフモノフ大統領、ナザロフ外務大臣、ジヤエフ非常事態大臣、ボボムロエフ・タジキスタン歴史考古学博物館館長等との会談等を行った。

二から四までについて

お尋ねの費用の費目、明細及び金額でお示しできるものは別表のとおりであるが、別表に記載したもののほかに、未処理の請求書等に係るもの等があるので、総額をお答えすることは困難である。

五から七までについて

報償費の具体的な使途等については、行政の円滑かつ効果的な遂行に重大な支障を生ずるおそれがあるため、公にしないこととしているので、明らかにすることは差し控えたい。

八から一一までについて

第一回目の派遣の経緯については、平成十三年九月十一日に発生した米国における同時多発テロ事件を受け、同事件に関する国際的な連帯強化の一環として、先進各国がアフガニスタン周辺の主要各国と接触を重ねたが、我が国としても総理特使を関係各国に派遣することとし、外務省としては、アフガニスタンと国境を接するタジキスタンの地政学的重要性等にかんがみ、特にタジキスタンヘの総理特使の派遣が必要であると考えていたところ、鈴木議員から、外務省欧州局に対し、総理特使としてタジキスタンを訪問したい旨の申出があったことを受け、鈴木議員が、タジキスタンを訪問した経験があること、ラフモノフ大統領ほか要人とも面識があり、ラフモノフ大統領からも再度の訪問を要請されていたことなどから、総理特使としての訪問は適切と判断し、小泉内閣総理大臣の了承を得た上、派遣決定に係る手続を行ったものである。
第二回目の派遣の経緯については、アフガニスタン復興支援国際会議の開催を控えていたこと、本年がタジキスタンとの外交関係樹立十周年に当たること、在タジキスタン日本国大使館(兼勤駐在官事務所)の開設を予定していたこと等を踏まえて、鈴木議員から、外務省欧州局に対し、タジキスタン訪問の申出があったものである。外務省としては、鈴木議員が既に総理特使としてタジキスタンを訪問している経緯も踏まえ、再度総理特使として派遣することが適切であると判断し、小泉内閣総理大臣の了承を得た上、派遣決定に係る手続を行ったものである。

一二について

お尋ねの内部文書に関しては、派遣手続に関する外務省内部の決裁文書があり、派遣の必要性及び意義、派遣者、派遣対象国、派遣の目的、派遣時期等が記載されている。

一三及び一四について

いわゆる総理特使とは、一般に、内閣総理大臣から特別の公の任務をゆだねられて外国へ派遣される者をいい、重要な外交問題に関し、内閣総理大臣のメッセージを親書や口頭で伝える必要がある場合等に派遣されている。総理特使を派遣することの要否及び総理特使の選任についての基準を定めた内部文書はなく、派遣に際しては、当該外交問題の性質等を踏まえて判断している。

一五から一七までについて

タジキスタンヘの総理特使には鈴木議員が適任であると判断した理由及び経緯は、八から一一までについてで述べたとおりであり、田中元外務大臣と比較して鈴木議員を選任したものではない。