財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員が自動車メーカ出向者である問題に関する質問主意書 平成14年3月12日答弁受理
平成十四年三月五日提出
質問第三九号
財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員が自動車メーカ出向者である問題に関する質問主意書
提出者 長 妻 昭
財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員が自動車メーカ出向者である問題に関する質問主意書
財団法人自動車製造物責任相談センターのカラーのパンフレットを見ると
「もし、車が原因でトラブルになった時、解決に向けてお手伝いします」との大見出しの後に「日頃、便利にご使用になっているあなたの車で、思いがけない製品トラブルに出会った時、あなたならどうしますか。解決までに長い時間を要したり、お話し合いがまとまらなくて困った事はありませんか。財団法人自動車製造物責任相談センターは、そんなトラブルの解決方法を気軽に相談でき、さらに、解決のお手伝いをする裁判外の独立した、中立の紛争処理機関です。トラブルの相談には、事務局付弁護士を含めた専門のスタッフが対応します」とあります。
以下の項目に関し、政府の把握する事実及び見解について質問する。
一 財団法人自動車製造物責任相談センターの職員十人のうち、二人は社団法人日本自動車工業会からの出向者、一人(常務理事・事務局長)は、自動車メーカOB、あとの七人は、自動車メーカからの出向者(技術者)であることは間違いないか。その七人のうち、六人が相談員であることも間違いないか。
二 財団法人自動車製造物責任相談センターに相談を持ち込む前に、自動車メーカに相談をしている事例は財団法人自動車製造物責任相談センターに持ち込まれた相談全体の件数のうちどれくらいの件数か。
三 自動車メーカとの相談では解決しない場合、財団法人自動車製造物責任相談センターに相談を持ち込むケースも多いと考える。その財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員が自動車メーカの出向者であるということは、「中立の紛争処理機関」とのうたい文句に疑義が発生すると考える。今後、この自動車メーカからの出向を見直す予定はあるか。
四 多くの相談者は財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員(職員)が自動車メーカ出向者であるという事実を知っていないと考えるが、現在、財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員(職員)が、自動車メーカの出向者であるという事実は公表しているのか。また、今後、公表する予定はあるか。
五 公表をしていないのであれば、その理由は。
六 三で質問した自動車メーカからの出向を見直す予定が無い場合、相談を持ち込む方に対して、相談員(職員)が自動車メーカ出向者である事実を告知する必要があると考えるが、それを実施する予定はあるのか。
七 財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員(職員)が自動車メーカ出向者である事実に関して、問題は無いと考えるか。
八 財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員(職員)が自動車メーカ出向者である事実を公表していない現状に関して、問題は無いと考えるか。
九 財団法人自動車製造物責任相談センターの職員のうち、自動車メーカ及び自動車メーカからの出向者である方の、氏名、役職、担当業務、出向先の自動車メーカ名、出向直前の自動車メーカでの役職をお示し願いたい。
一〇 九が示せない場合、その理由は。
右質問する。
内閣衆質一五四第三九号
平成十四年三月十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員長妻昭君提出財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員が自動車メーカ出向者である問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出財団法人自動車製造物責任相談センターの相談員が自動車メーカ出向者である問題に関する質問に対する答弁書
一について
財団法人自動車製造物責任相談センター(以下「センター」という。)から聴取したところ、センターの事務局職員十人のうち、二人は社団法人日本自動車工業会からの出向者、一人(常務理事兼事務局長)は自動車メーカーの退職者、七人は自動車メーカーからの出向者であって、自動車メーカーからの出向者のうち五人が技術者であり、また、七人の自動車メーカーからの出向者すべてがセンターにおいて相談事業に従事する者(以下「相談員」という。)であるとのことであった。
二について
センターから聴取したところ、お尋ねの件数については把握していないとのことであった。
三及び七について
センターから聴取したところ、センターにおける相談事業には、自動車に係る技術的知識、自動車業界の商慣行、自動車流通の実態等自動車業界に関する十分な知識が必要であるため、自動車メーカーからの出向者が相談事業に従事することが適切であると考えており、今後自動車メーカーからの出向について見直す予定はないとのことであった。
また、センターでは、相談員に対して中立の立場での対応に努めるよう義務付けるとともに、事務局付弁護士による和解のあっせんや学識経験者からなる審査小委員会による和解のあっせん及び紛争の審査を行っており、センターの紛争処理機関としての中立性は保たれていると考えている。
四から六まで及び八について
センターから聴取したところ、相談員が自動車メーカーからの出向者であることを積極的に公表する必要はないと考えているが、相談者から問われれば自動車メーカーからの出向者である旨回答しており、今後も同様の対応を行うとのことであった。
このようなセンターの対応に特段の問題はないと考えている。
九及び十について
自動車メーカーからの出向者は、いずれもセンターの事務局の主管として相談事業に従事している。その他のお尋ねの点については、個人に関する情報であり、また、センターにおいて公表されていないため、答弁を差し控えたい。