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古い役所文化を変える闘い
この1年間、厚生労働大臣として役所文化を変えて、厚生労働省を「生活者の立場に立つ信用できる役所」に生まれ変わらせるべく、取り組んで参りました。大臣在任中の1年間、暖かいご指導を賜り感謝申し上げます。今後は、党の仕事が中心となりますが、引き続き、年金をはじめとする社会保障改革に取り組んで参ります。
政権交代前の厚生労働省や社会保険庁は、隠ぺい体質、ムダ遣い・天下り体質などが、国民の皆様から激しく批判をされていました。消えた年金の存在やC型肝炎の感染リストを隠し、年金保険料でリゾート施設を作るなど、無責任体質に染まっていました。
この古い役所文化を変えて、国民に奉仕する組織に再生すべく全力を尽しました。まずは、以下、ながつま昭が実現した役所文化を変える取り組みをご紹介致します。
この取り組みは、新しい厚生労働大臣にも続けるように要請し、新大臣も了解をしています。この取り組みを数年続ければ、厚生労働省の役所文化は変わると思います。
一.人事評価基準の大幅変更
これまでは、廃止すべき天下り団体を守る官僚は評価がアップし、予算を無理に全額使い切る官僚も評価がアップする、というように役所を肥え太らせると評価が上がっていました。
この時代錯誤の人事評価を変えて、廃止すべき天下り団体を廃止すると評価アップ、予算を効果的に使い節約した官僚は評価アップとしました。コスト意識を持ってムダ遣いを無くすと人事評価が上がるようにしました。
人事評価基準に、この「コスト意識」に加え、「業務改善」「情報公開」などの視点も加えました。
実際に、この評価基準で、平成22年4月に厚生労働省に新設した省内事業仕分け室(後述)の初代室長を同年7月にナンバー2の官房長に抜擢しました(全省庁で最年少の官房長)。
また、厚生労働省では初めて、ノンキャリアの職員を局の筆頭課長である総務課長に抜擢をしました。キャリア官僚(国家公務員一種採用)からは、自分たちの縄張りである指定席ポストが侵されるという反対の声が上がったが推し進めました。
人事評価基準については、ながつま昭が人選した有識者がメンバーの人事評価検討プロジェクトチームで議論・決定しました。
二.天下りポスト公募
天下り団体である独立行政法人の役員ポストを出来る限り削減した上で、民間人を公募するようにしました。現在では、ながつま昭の提案で全省庁でも同様の公募がなされています。
平成22年4月の厚生労働省所管の役員ポスト公募では、12あった天下りポストの天下りをゼロにしました。ポストの削減や、民間人就任によって達成させました。公募で就任した民間人は、従来の天下り役員よりも仕事の能率や達成度が高い人が多いです。
厚生労働省独自の取り組みとして、所管の財団法人や社団法人も天下り役員ポストの公募に踏み切りました。
三.新組織の立ち上げ
硬直的な組織の壁を打ち破るために、ながつま昭は省内に新たな組織を立ち上げました。主要な組織を紹介します。
厚生労働省事業仕分け室(省内仕分け室)
全省庁では、3000前後もの事業があり、蓮舫大臣の行政刷新会議の事業仕分けは、すべての事業を対象にすることはできません。サンプルとして事業を選定せざるを得えません。
そこで厚生労働省では、平成22年4月に省内事業仕分け室を設置して、主な事業や天下り団体を省内で事業仕分けをすることを常設組織で実施することとしました。
ながつま昭が選定した、厳しい有識者の方々を仕分け人にお願いして、大臣・副大臣・政務官ら政務三役も出席の下、マスコミオープンで有意義な議論がなされ、ムダがどんどん削られています。
省内からは、なぜ自分たちでムダを削る組織を作るのか「大臣はおかしい」、との抵抗もありました。
ながつま昭が繰り返し幹部に言ったことは、「最も税金を使う役所が、ムダを放置していたら国民の皆様に申し訳が立たない!」「今後、社会保障のために消費税率アップをお願いしなければならない時に、厚生労働省でムダ遣いが続いていたら、誰も消費税アップを認めてくれない!」「ムダ削減に取り組んで国民の皆様の信頼を得られれば、それは大きな力になる。ムダ削減に取り組めば、社会保障建て直しの道は必ず開ける!」ということでした。少しづつ職員の意識も変わりつつあります。
大臣政策審議室
大臣の考えや指示が省内で共有されるために補佐室を設置しました。また、大臣がなすべき仕事、発信すべき事を大臣に助言するアドバイザーの役割も有します。基本的に毎日、大臣と打ち合わせをしています。
アフターサービス推進室
国民の皆様からの苦情やご指摘を踏まえ、制度の改善に取り組みます。各局にアフターサービス担当を置いて、推進室と連携しました。民間から公募で室長らを選定しました。
これまで厚生労働省は、制度を作ったら作りっぱなしで、アフターサービスという考えがありませんでした。
わかりやすい文書支援室
年金通知をはじめ、厚生労働省が作成する文書やホームページは、非常に分り難かったです。そこで設置した「わかりやすい文書支援室」は、国民の皆様の目に触れる通知や文書を、分り易くすることを支援する組織です。
室長以下職員を公募をして民間から元新聞記者など、有能な方々が活躍しております。同時に、一般の方を公募して文書をチェックしてもらう文書モニター制度も運用をはじめました。
年金の通知を印刷する前に、一般の方に見ていただくモニター会議では、意味が分らないとの声が口々に上がり、年金担当の職員にとって貴重な経験となりました。これまでの年金通知は受け取った方が理解できるかどうか、お構い無しに文書を送っていた実態がありました。
四.発表の定例化
毎週この数値を定例的に発表する、ということにすれば、透明性も高まり、仕事の進み具合もチェックし易くなります。
役所には前例主義があり、悪しき慣行のように言われていますが、その前例主義を逆手に取って、良い前例をいったん作れば、役所はその前例を続けます。
今週の「国民の声」(毎週公表、ホームページ・記者配布)
これまで厚生労働省は毎週何千と寄せられる苦情や指摘の内容はおろか、件数さえも把握していませんでした。後期高齢者医療制度への苦情があったのか尋ねると、分りませんとの答えが返って来て愕然としたこともあります。このことがきっかけとなり、今週の「国民の声」の取り組みを始めました。
苦情や指摘は、企業では宝の山と位置づけて詳細な分析をしています。政権交代後、厚生労働省本省や地方出先機関に国民の皆様から寄せられた苦情やご指摘のみならず、地方自治体の職員から厚生労働省に寄せられた苦情や意見も集計し、主要なものについて改善策とともに公表しています。
厚生労働行政は、実務の多くを地方自治体が担っており、地方自治体の協力無しには厚生労働行政は動きません。だからこそ、国民の皆様のご意見のみならず、地方自治体職員の意見は重要です。
今週の改善(毎週公表、ホームページ・記者配布)
「国民の声」などで頂いたご指摘を踏まえて、省内各局が改善策を打ち出しています。その改善策を毎週集めてまとめて公表するようにしました。国民の皆様や自治体職員から頂いた、現場の声を行政に生かしていることを示すためにも、この取り組みは重要です。
今週の「消えた年金」(毎週公表、日本年金機構のホームページ・記者配布)
毎週、年金記録が何人統合されているのか、記録統合で戻った年金額はいくらかを集計して公表しております。また毎週、記録統合で戻った年金額の多いベスト10と、その記録が戻った詳細な経緯を公表しております。
「消えた年金」問題という戦後、最も大きな官僚不祥事を解決するプロセスで、重要なことは解決の進捗状況を完全にオープンにして、国民の皆様に報告することだと考えております。
成果の中には、ながつま昭が着手し、大臣退任後に実施されたものが含まれています
人事評価基準の変更
天下りポストの公募
役所文化を変えるための組織改革
1.省内事業仕分け室の設置
2.大臣政策審議室の設置
3.アフターサービス室の設置
4.わかりやすい文書支援室の設置
省や局の年度目標を初めて設定
省庁や局横断の36のプロジェクトチームの設置(別掲のコーナーをご覧ください)
寄せられた苦情などを毎週公表 『国民の声』
業務改善を促す『今週の改善』の公表
成果の中には、ながつま昭が着手し、大臣退任後に実施されたものが含まれています
1.人事評価検討プロジェクトチーム
2.若手プロジェクトチーム
3.厚生労働省 独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会
4.厚生労働省内事業仕分け
5.業務改善推進プロジェクトチーム
6.コスト削減・業務改善プロジェクトチーム
7.一般会計公共調達委員会
8.予算監視・効率化チーム
9.独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構の地方委託に係る契約調査チーム
10.遊休資産売却に関する省内プロジェクトチーム
11.予算の支出状況に係る情報公開に関するプロジェクトチーム
12.厚生労働省の研究助成等の在り方に関する省内検討会
13.統合医療プロジェクトチーム
14.看護師国家試験における用語に関する有識者検討チーム
15.新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム
16.雇用対策実態把握プロジェクトチーム
17.無料定額宿泊施設等の在り方に関する検討チーム
18.補助金不正事案の再発防止等の検討に関する会議
自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム
新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム
高齢者の住まいと地域包括ケアの連携推進検討チーム
療養病床再編計画実態把握プロジェクトチーム
24時間地域巡回型訪問サービスの在り方検討会
介護職員等によるたん(痰)の吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会
高齢者所在不明・孤立化防止対策チーム
介護・福祉ロボット開発・普及支援プロジェクト検討会
高齢者医療制度改革会議
審査支払機関の在り方に関する検討会
年金記録回復委員会
- 1.「年金記録問題への取組状況」の取りまとめについて
- 2.年金記録問題についてのこれまでの取組状況(主要データ)
- 3.年金記録問題についてのこれまでの取組状況について(厚生労働白書版主要データ集)
- 取り戻した年金額の上位10事例
社会保険オンラインシステムに関する検証プロジェクトチーム
ナショナルミニマム研究会
医療・介護・保育「未来への投資」プロジェクトチーム
社会保障に関する教育促進プロジェクトチーム
社会保障・税に関わる番号制度に関する省内検討チーム
耐震改修及びスプリンクラー設備の設置の推進に関する省内プロジェクトチーム
貧困・困窮者支援における労働と福祉の連携プロジェクトチーム
厚生労働行政の推進
政策面では、診療報酬を10年ぶりにアップして、特に小児科、産婦人科、救急外来に手厚くし、医療崩壊を食い止めたと自負しています。
後期高齢者医療制度を廃止して、年齢で区切る保険でない新しい高齢者医療制度を創設し、平成23年に法律を成立させ、平成25年度から新制度をスタートさせます。まず、今年の4月には、後期高齢者医療制度に伴い創設された75歳以上だけを対象にした医療抑制のための診療報酬は全廃しました。
「消えた年金」問題では、これまでに1500万人の記録が回復し、生涯額で約2.8兆円の年金をお戻ししました。実に国民10人に1人の記録が戻った計算となります。1人2記録以上戻った方もおられます。
年金記録が記された紙台帳との全件照合は7900万人分の照合が終了し、記録漏れに気付かない方に対しても記録回復が可能となりました。
雇用政策では、雇用保険が従来、適用されなかった非正規雇用の方にも適用を拡大しました。
従来より255万人の非正規雇用の方が新たに雇用保険に加入できる見込みとなります。さらに厳しさを増す新卒者の就業支援や、失業者の方が再就職できるよう、生活費付きの職業訓練を拡充するなど全力で取り組みました。
政府として初めて格差を表す相対的貧困率を公表し、貧困問題に取り組みました。政府が本格的に貧困問題に取り組むのは、この民主党政権になってからだと自負しています。
もう一つ重要な仕事は、「少子高齢社会を克服する日本モデル」という将来の社会保障の姿を国民の皆様と共有することでした。
先進国では最も早く、少子高齢化が進む日本で、世界のお手本となる福祉モデルを実現するのです。その姿は、全国1万ヶ所ある中学校の学区内で、基本的な一通りの福祉サービスが受けられる社会です。
中学校区ごとにある特別養護老人ホームや保育所に待機せずに入所でき、24時間型巡回介護・看護サービスや基本的医療サービスが在宅で受けられるというものです。次期、衆議院選挙では、消費税を社会保障目的税にして、国民の皆様にこの社会保障ビジョンを実現するための消費税率も一緒に提示して、信を問うことが重要です。
この社会保障ビジョンの策定は大臣時代、途中になってしまいました。今後、立場は代わりますがこの作業は続けて参ります。
成果の中には、ながつま昭が着手し、大臣退任後に実施されたものが含まれています
「消えた年金」紙台帳全件照合を開始 これまで1300万人の年金記録戻る
- 1.「年金記録問題への取組状況」の取りまとめについて
- 2.年金記録問題についてのこれまでの取組状況(主要データ)
- 3.年金記録問題についてのこれまでの取組状況について(厚生労働白書版主要データ集)
- 取り戻した年金額の上位10事例