写真日記

2021年04月06日

「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」を衆院に提出

※ 立憲民主党ホームページからの転載です。

 立憲民主党は7日、「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」(閣法「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」への対案)を衆院に提出しました。立憲民主党から西村智奈美、長妻昭、山井和則、川内博史、津村啓介、山内康一、稲富修二、尾辻かな子、早稲田夕季各議員が参加しました。

 法案は、後期高齢者支援金の額の更なる縮減を通じて、いわゆる現役世代の負担の軽減が図られるようにするため、令和4(2022)年度以降の年度における後期高齢者負担率の算定に係る当分の間の特例を定めるとともに、後期高齢者医療広域連合が当該後期高齢者負担率の改定に対応することができるよう、政府は保険料の賦課限度額を引き上げる特例を設けるものとし、後期高齢者医療広域連合がその被保険者に課する保険料の見直しを行う際の中・低所得の被保険者の保険料の減額措置に係る費用に関する国の負担について定める等の必要があるため、提出するものです。

 法案提出後に記者団からの取材に提出者が応じました。社会保障調査会長の西村議員は、「今なすべきことは高齢者の皆さんの窓口負担を2倍にするということではなく、まず医療体制を整え、そして誰もが安心して医療を受けることができる体制であろうと考え、コロナ禍で2割への引上げは容認できないと考えてきた」と述べました。加えて、「政府の考え方では、現役世代の負担軽減を720億円分にすると言っているところ、われわれとしては窓口で病気になった高齢者からの負担を2倍にするのではなく、高額所得の方々から少し保険料をプラスしてご負担いただき、それによって現役世代の負担軽減を図りたい。また、720億円のためにはそれだけではなく、公費負担も必要であり、そのことを可能とする対案」と説明しました。

 厚生労働部会長の長妻議員は、「(窓口負担を)1割から2割に倍増することで、だいたい1880億円の財源が出てくる」と政府の見込みを述べる一方で「政府に確認すると増収分は980億円で、あとの900億円は長瀬効果(患者負担が増加する制度改革が実施されると受診行動が変化し、受診率が低下したりすること)だ」と説明しました。こうした受診率を抑制して財源を生み出そうとする政府の姿勢に「(病院に)行かないことで重症化して、かえって医療費が上がるケースがあるのではないか」と懸念しました。

 川内政務調査会会長代行は、「コロナの状況で、高齢者は毎日家にいないといけないので大変だ。こういう状況で、窓口負担を倍にする法律を出す感覚を疑う」と述べました。

 山井議員は、「何が何でも未来永劫、高齢者の2割負担に反対ではなくて今後引き続き議論する必要がある。審議したり採決したりするのは4、5月でいつ緊急事態宣言が出るかという医療崩壊の危機が叫ばれるさなかにおいて、後期高齢者の2割負担を成立させるのは困難ではないか。同時に現役世代の負担を上げるのも困難なので、軽減は政府案と同じにしましょうと。コロナの緊急事態的な感染拡大状況期にはこの対案の考え方が妥当と考えている」と述べました。

【「高齢者医療の安心確保のための全世代支え合い法案」(「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」)の考え方】

1.後期高齢者医療における窓口負担割合の原則1割維持
 コロナ禍においては、政府案(全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)で予定されている後期高齢者医療における窓口負担割合に2割負担を導入する改正は行わないこと。
2.令和4年度以降の年度における後期高齢者負担率の特例
 令和4年度以降の年度における後期高齢者負担率は、当分の間、現行の算定方法により算定された率に、後期高齢者支援金の額の更なる縮減を通じて現役世代の負担の軽減が図られるようにするとの観点から定められる率(特別調整率)を加えたものとすること。
3.保険料の算定に係る基準の特例
 政府は、後期高齢者医療広域連合が2の後期高齢者負担率の改定に対応することができるよう、速やかに、保険料の賦課限度額を引き上げる特例を設けるものとすること。
4.国による費用負担
 後期高齢者医療広域連合は、2の後期高齢者負担率の改定に対応するための保険料の見直しを行うに際し、中・低所得者の保険料を減額することができるものとし、国は、当該減額に係る費用を負担すること。
5.施行期日等
 この法律は、公布の日から施行すること。
 高齢者の窓口負担の割合その他の高齢者の医療に要する費用の負担の在り方について、検討規定を設けること。