2016年06月16日
【記者会見】「民進党の重点政策:国民との約束」を発表
※民進党の重点政策:『国民との約束』はこちら
岡田克也代表は15日、参院選の選挙公約となる「民進党の重点政策:国民との約束」を発表した。
岡田代表は、「今、時代の大きな分岐点にある。そういう中で2つの大きな論点がある。それを中心に『国民との約束』の中で具体策を述べた」と報告。「国民との約束」には11の約束が盛り込まれているが、裏表紙には「経済と暮らしを立て直します」「憲法の平和主義を守ります」の2つの約束が抜き出して書かれている。岡田代表は「この2つがそのまま参院選の争点だ」と語った。
その上で「安倍総理は『民進党には具体策がない』と言うが、『よく言うな』と思う。われわれの経済政策の基本的な考え方は、成長と分配の両立だ」とし、民進党の考え方は長妻昭代表代行を中心とする「共生社会創造本部」で約1年をかけて練り上げてきたものであるのに対し、「1億総活躍社会」などと言って民進党の政策と似て非なる政策をかぶせてきたのが安倍政権だと批判した。
岡田代表は「具体的な政策はこれをご覧いただきたいが、私たちは『成長と分配の両立』というしっかりした政策を打ち出した。これを実現することが持続的な成長につながる、ということを申し上げていく」と力を込めた。
記者団から「マニフェスト」という呼称を止めたねらいを問われ、「『マニフェスト』は訳すと『政権公約』。参院選は政権を争う選挙ではないということもあり、『国民との約束』という表現にした。とはいえ『国民との約束』は非常に重い。実現可能な政策をしっかりと書かせていただいた」と説明した。
岡田代表が「大きな2つの争点」とした憲法に関して、憲法9条改正への考えをあらためて問われ、「私は9条を今改正する必要はないと考えている。安倍総理が目指しているのは9条2項を変えて集団的自衛権の行使を限定なく認めるものだ。これは認めるわけにはいかない。憲法の平和主義に真っ向から対立するものだ」と述べた。
民進党結党にあたって岡田代表が「今回がラストチャンス」と発言したその思いに変わりはないかと問われ、「この参院選挙で安倍政治の暴走に歯止めをかけ、政治の流れを変えることができなければ、おそらくしばらくの間、今の自民党政治がさらに極端な形で続いてしまうことになるだろう。いったん分岐点で右に道が選ばれると、元に戻すのは簡単なことではない。その意味で『ラストチャンス』と申し上げた」と、その思いに変わりのないことを強調した。
自公両党が最近になって「成長と分配の好循環」という、「成長と分配の両立」に擦り寄った表現をしていることから、違いを問われ「むしろ自民党、安倍総理に聞いてほしい。私は昨年の代表質問で申し上げたことだ」「『好循環』の意味は、成長で得られた果実を分配する、つまり税収の上振れを介護や子育てに充てるとしているようだが、そういう考え方自体が間違っている。予算の配分そのものを組み替えて、安定した財源として出すべきだ」と説明した。
「国民との約束」の詳細については、党マニフェスト検討委員会委員長の長妻昭代表代行が概略を、同事務局長の山尾志桜里政調会長が11の約束の各論を説明した。
長妻代表代行は「国会議員や自治体議員など、今までになく意見を聞いて作り上げた自信作だ」と胸を張り、「分配と成長の両立」を実現する3つの柱は「人への投資」「働き方革命」「成長戦略」だとし、「問題意識は、『格差が拡大して、富とチャンスが偏り、人々の能力の発揮や個人消費が阻まれている』ということ。安倍総理がここに手当てをしていないのが問題だ」とした。平和の問題、政治とカネの問題などにも触れて、「今、格差が拡大して子どもたちや若者の能力がつぶされている。日本は二極分化した残酷な社会になりつつあるという危機感を持っている。これを公正な分配による人への投資、これに注力して持続可能な社会・経済を作り上げていきたい」と抱負を述べた。
山尾政調会長は、「国民との約束」として掲げた、「1 ふつうの人から豊かになる経済」「2 チルドレン・ファースト 子ども第一」「3 働く人を守る、働き方を変える」「4 女性の声で社会を変える」「5 シニア世代の安心を守る」「6 次世代にツケをまわさない」「7 地域経済を立て直す」「8 被災地復興と防災力の強化」「9 国を守り、世界に貢献する」「10 憲法の平和主義を守る」「11 国民の自由と人権を守る」――の11の約束について説明。
その上で、「私たちは通常国会で64本の議員立法を提出した。政府提出法案が56本と聞いているので、それを上回る法案を対案として示した。これは『対案から逃げている与党』を浮き彫りにする数字だと考えている。私たちは『対案を示す政党なのだ』ということを、この『国民の約束』とともに訴えていきたい」と述べた。
【中国海軍の情報収集艦の領海侵入について】
「国民の約束」の発表記者会見に先立って岡田代表は、本日未明に中国海軍の情報収集艦が日本の領海に一時侵入したことについてコメントした。岡田代表は「政府は、これが無害通航※に当たるか当たらないかを確認しているということだが、いずれにしても非常に紛らわしい行為で、中国政府に対してこうした緊張感を高めるような行為がないように求めたい」とした上で、政府の対応について「一つ間違えれば大変な事態になったかもしれない。無害通航ではないということになれば、領域警備の必要性も出てくるという話になる。そういう非常に重要なことであるにもかかわらず、官房長官も総理も地方に出て官邸が空になっているというのは極めて遺憾だ」と官邸の危機管理のあり方に疑問を呈した。
これについて記者団から、政府が海上警備行動の発令や中国大使への抗議などを行っていないことについて見解を問われ、「(領海から出たのは午前5時頃とされていることから)現時点(15日13時)になってもこれが無害通航かどうか分からないというのは理解できない。相手の意図も大事だが、判断するのは日本であって相手の考えで決まることではない」として、何ら対応をしていない政府の対応を批判した。
(※沿岸国の平和・秩序・安全を害さないことを条件として、沿岸国に事前に通告をすることなく沿岸国の領海を他国船舶が通航すること)