2012年10月04日
2012年10月2日(火) 東日本大震災復興予算の流用の疑いについて
19兆円に上る東日本大震災の復興予算が被災地の再建という本来の目的とはかけ離れた事業に流用されているのではないか、との指摘がある。
例えば、2012年度予算において、復興特別会計予算のうち、文部科学省が所管する高速増殖型炉「もんじゅ」などを運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)の核融合エネルギー研究費に42億円が計上されている。
この42億円は、日本やEU(欧州連合)などが共同で進めている核融合エネルギーの研究に使われており、青森県六ケ所村と茨城県那珂市にある拠点施設で研究されている。
核融合エネルギーの研究は重要だが、本来は被災地の再建や放射能の除染に使われるはずの復興予算を使ってまで進めるべきものか疑問だ。
長妻昭は、10月2日火曜日に、文部科学省の担当者を呼んで話を聞いた。
長妻 :原子力機構には復興予算からどのくらいの資金が流れている?
文科省:2012年度予算で107億円。そのうち、放射能の除染の研究や、原子炉の廃炉の研究に65億円。核融合エネルギー研究に42億円を計上している。
長妻 :2011年度までは、原子力機構の核融合エネルギー研究は、どのように実施していたのか。
文科省:2011年度予算では60億円を一般会計で計上していた。
長妻 :一般会計から復興特別会計に付け替えた?
文科省:一般会計で実施していた事業を復興特別会計に移行したのは事実だ。
長妻 :復興予算は復興のために使うべきではないのか?
文科省:復興予算については、『東日本大震災からの復興の基本方針』に基づいて執行している。
この事業については、「5復興施策(3)地域経済活動の再生?企業、産業・技術等」の項目の(?)に該当する。
※?該当するとしている部分
「(?)被災地域の大学・大学病院・高等専門学校・専門学校・公的研究機関・産業の知見や強みを最大限活用し、知と技術革新(イノベーション)の拠点機能を形成することにより、産業集積、新産業の創出及び雇用創出等の取り組みを促進する」
長妻 :復興と関係ない予算は一般会計にすべきだ。来年度(平成25年度)予算では、復興特別会計からの支出は止めるべきだ。
文科省:・・・・・
従来から一般会計で実施してきた事業を復興予算に入れるのは止めるべきだ。
この42億円も、核融合研究に使わなければ、復興のための予算になったはずである。
核融合研究が無駄だとは思わない。むしろ必要であるが、それならば、と一般会計に計上するべきだ。
背景にあるのは、特別会計という制度だ。
一般会計は財務省の厳しい査定を受ける。場合によっては国会の追及も厳しく受ける。特別会計による事業は財務省の査定もそれほど厳しくない。各省庁にとっては自分たちの裁量の余地が大きい「別財布」になりがちある。
復興の名を借りて各省庁が好き放題に事業拡大をすることは止めなければならない。
今後とも是正に取り組んでまいります。
資料1 『青森、茨城における国際的な核融合研究拠点形成 (幅広いアプローチ(BA)活動)』
→2012年度予算42億円の核融合研究予算の説明ペーパー
資料2 『東日本大震災からの復興の基本方針 抜粋』
資料3 『平成24年度9月21日平野文部科学大臣記者会見録 抜粋』
資料4 『青森、茨城における国際的な核融合研究拠点形成 (幅広いアプローチ(BA)活動)の予算推移について』
→平成23年度(2011年度)以前は一般会計である。