2015年10月27日
2015年10月23日(金)【定例記者会見】「臨時国会を速やかに開催すべきだ」
■冒頭発言
○マンション傾斜問題について
【代表代行】
不適切な基礎工事の問題の波紋が広がっていますが、これについてわが党の国土交通部門を中心に、今後徹底的に追及していこうということで、
今、準備をしております。
○共生社会創造本部のドイツ視察報告
【代表代行】
先日ドイツに行ってまいりまして、今日、共生社会創造本部の役員会で、ドイツの視察報告書を提出して了承されました。
やはり感じますのは、「自分の時間が週に半分以上持てる社会」、こんな印象を受けました。1日の労働時間が10時間以上は禁止ということで、週でも最大50時間でありますから、睡眠時間・通勤時間を引くと、労働時間よりも自分の時間のほうが長い、こういう社会。「残業は悪だ」という言葉も聞きましたし、「自分の時間を持つ権利がある」という言葉も聞きました。
今、日本は長時間労働の弊害が顕在化しております。「介護離職ゼロ」というのも、やはり長時間労働を是正しないと実現できない部分もあります。あるいは効率性の低下、あるいは精神疾患が増えていく。ドイツは日本よりも短時間労働の国でありますが、一人当りの労働生産性もGDPも日本よりはるかに高いということで、非常にこれからの政策の参考になりました。
そして「デュアルシステム」ということで、企業で実習する。高校を卒業してすぐに就職する人はいません。基本的には3年間の職業訓練、企業での実習を経て、その後就職する。大学を卒業して就職する方も、基本的には複数の会社でインターンを経験する。日本と違って、卒業して即就職、あるいは卒業して自分のお金で学校に行って資格を取って就職ということではなくて、卒業した後に企業に入るまで1ヵ月数万円の手当が出て、それで職業訓練の卒業試験に受かって就職する。これも大変日本の参考になります。
○軽減税率の財源に総合合算制度を充てようとする政府・与党方針について
【代表代行】
3番目といたしましては、「総合合算制度」という3党合意で決めた目玉の制度。つまり消費税を増税した時に増税分の1%分を社会保障の充実に充てる、その内年間4000億円は「総合合算制度」という、これは医療とか介護とか障害者福祉とか保育とか、その自己負担が一定以上になるとそれ以上は負担を求めないという、貧困・格差対策の目玉であるものを決めた。しかし、その4000億円を使って軽減税率の財源にしようなどという議論が政府の中であるということで、役所にも確認しましたら、「そういう動きがある」ということです。これはとんでもない話で、この「総合合算制度」はきちっとやる必要があります。
○日本年金機構の保有宿舎について(配布資料添付)
【代表代行】
(資料を)お配りしましたが、日本年金機構の問題です。私も日本年金機構の設立に関わったので、大変これは残念です。こういう無駄な施設は自主的・自発的に是正する、そういうことを日本年金機構に口を酸っぱくして申し上げているが、後手、後手に回っている。
わが党が要求した資料をお配りしましたが、13ヵ所で職員宿舎に入居者がいらっしゃらない。そして売却するのか、別に使うのか、これも決まっていないということで、不備な点が見つかりました。我々も、今は野党ですが、こういう問題を是正させるように取り組んでまいります。
やはり自民党も年金機構などへの関心が薄れているのではないか。大臣・政務官・副大臣、願わくはもう少しこういう年金の執行機関についても関心を持って、チェックを不断にしていただきたいこともお願いしたい。
○3メガバンク政治献金再開検討の報道について
【代表代行】
報道によると、メガバンクが献金を再開すると。再開すると18年ぶりということになると思います。それを検討しているということであります。
四つの大きな利権が広がりつつあるということで、これから来年の国会、本来は臨時国会を開くべきですが、これを追及する必要があるのではないか。「マイナンバー利権」「オリンピック利権」「TPP・農業対策で税金バラマキ利権」、そして「軽減税率利権」。自分たちの業界に軽減税率を入れてほしいといろいろ攻勢を強めるというような問題の中で、献金がかなり激しさというか、量を増しているのではないかと実感しております。
何しろ問題山積ですので、臨時国会を、これは憲法上の規定でもありますので、開くということを与党は速やかに決断していただきたい。
■質疑
○日本年金機構の保有宿舎について
【記者】
年金機構の宿舎の問題は、結局、特殊法人であるがゆえに今回こういったものが残ったままだと思うが、独身寮の宿舎の売却や処理にとどまらず、今後こういった問題をなくすにはどのようにしていくべきだと長妻代行はお考えになるか。
【代表代行】
これは特殊法人だから残ったというか、独立行政法人でもそういうルールはあるものの、私どもが資料要求すると、3年間入居者ゼロのものでもなかなか方針がないような状態になっているということでありますから、ルールがあっても不断にチェックしないといけない。
この日本年金機構、特殊法人にはルールがないというのは、無駄なものを残していいというルールはもちろんないわけで、それを売っても国庫にお金を返せないというだけでありますから、それは売って、その資金を有効に活用するというのは誰だって考える話です。それについて常識的なところの動作ができていないことについて、やはり理事長はじめ執行部がもっとガバナンスを強めてチェックをしていただくことに尽きるのではないか。地方を含め少し統制が弱まっている感じもしますので、やはりここは政務三役の一人が定期的にそこをチェックしていく態勢を、ぜひ今の政務三役にはお願いしたいと思います。
○マンション傾斜問題について
【記者】
民主党でチームを作るということだが、最近お姿を見ない馬淵澄夫先生を含めて民主党にはプロがいたと思うが、どんな形でチームができるのか。
【代表代行】
これはチームというより、もう体制が、「次の内閣」がありまして、そこで荒井聰衆議院議員がネクスト国土交通大臣になっておりますので、そこを中心に。ただ、今、役所に問い合わせても「確定的に答えられるものは何もない」と。11月上旬になれば確定的な資料が出るということでもありますので、いろいろ水面下で調べている。
名古屋方面からは今日も私にも連絡があって、愛知県のほうでも(データを改ざんした現場管理者の関わった物件が)相当出ているということなので、心配の声が周りからも上がっているようですので、我々この解明にも取り組んでいきたい。
そういう意味では、本来は臨時国会が開いていれば相当急ピッチでいろいろ進む可能性もある。これについても臨時国会を早く開いてほしいという理由の大きな一つだと思います。
○民主党の経済政策について
【記者】
経済界・財界は、先ほどの四つの利権という意味では、アベノミクスに草木もなびくような中で、同友会の小林喜光代表幹事は、(安倍政権の掲げる名目GDP)600兆円はあり得ないし、軽減税率のこの時期での利権的配分のようなものは税制を歪める、という話をされる。経済界の中にもそういう人が出てきているが、受け止めを含めて、民主党は共感するものなのかどうか伺いたい。
【代表代行】
これは「1億総活躍」という話もありますが、600兆円という規模ありきで、それに資するように労働力も減らさないための「介護離職ゼロ」だし、それに資するために女性を活用していこうとか、それに資するために出生率を上げていこうというような発想は、どうも順番が逆のように私には思えるわけです。600兆円といいますと、ほぼベストシナリオで成長して、名目3%、実質2%とか、そのくらいのものが持続すると達成できるということだと思うのですが、それを前提に社会の仕組みやいろいろなものが組み立てられてしまうと、それが達成できない時に財政赤字だけ残ってしまったということになりかねないので、あまりそれを前面に出していく手法というのはいかがなものかと。
私どもは、やはり人間の基盤、あるいは経済の基盤をまず固めていくことが必要だと。格差の拡大で能力の発揮が阻まれている。男性でも、初めて職に就く人で非正規雇用が3割も今いらっしゃる。スキルも上がらない。長時間労働も、ドイツに行って改めて思いますが、(日本は)放置されている。いろいろ負の要因が出てきて、これは中長期で考えて経済の基盤が固まっていくのかというような問題意識を持っております。
やはり国民の皆様に一定程度余裕のある生活、そして余裕のある社会を実現することで、結果として経済にプラスに働いていく、こういうような考え方。どちらかというと安倍総理は昔のアメリカ型新自由主義を追いかけているのではないか。私どもは、日本型でありますが、どちらかといえばヨーロッパの発想で、バブルと格差を生まない経済政策というようなことに尽力する必要があると思います。
○新安保法制の今後の対応について
【記者】
岡田克也代表が、安全保障関連法案について(少なくとも違憲部分に関する)廃止法案を通常国会に提出したいという考えを述べられた。一方で民主党内には安全保障・集団的自衛権をめぐってはいろいろな考えがあるかと思うが、党内で見解を一にしたり議論する機会はあるか。
【代表代行】
これは党内のしかるべき部署で、今みたいなお話にしてもどの部分とどの部分なのか、やはり明確に議論する必要がある。そういう議論をこれからしていくということです。
【記者】
具体的にスケジュールはあるか。
【代表代行】
まだ具体的にはありませんが、今、安全保障総合調査会、あるいは政調会長、こういう枠はありますので、そこで議論をしていくということだと思います。
○維新の党との政策協議について
【記者】
昨日の協議会で、最初にあった6項目に加えて、新たに「憲法」が協議の対象として加わったということだが、これはどういう経緯でそういう話がまとまったのか伺いたい。
【代表代行】
これは維新のほうからご要請があって「憲法」も加えるべきだということで、
我々も「そうだ」ということで加えた。
○維新の党との政策協議について
【記者】
維新の党は離党者が出たり、かなりの混乱状態というか、まとまっていない状態が続いている。今後の協議に関して代行はどのような見通しをお持ちか伺いたい。
【代表代行】
政策協議と選挙協力と、こういう二つの枠の中で協議会が設置をされて、昨日は政策の部分で私も出席いたしました。やはり、今のような状況があるので、いずれにしても、政策協議にしても最終的には党内にお互い持ち帰って党内合意をとるという手続が必要ですから、そういう意味でも、今の維新の状況の中でペースを少しスローダウンして、もう少し見極めがついた時に速やかに政策議論を着地させると、そんなような話をいたしました。
ですから維新の中でもいろいろなイベントの日にちというのが上がっておりますから、そこを越えてある程度めどがつけば、速やかに再開していく。相当、ベクトル・方向性については合意をしているところであります。
【記者】
安保法制などでかなり野党がまとまって対抗してきた経緯があるが、維新が今こういう状況になることで、野党全体に対するイメージダウンがあるのではないか。その点はどうご覧になるか。
【代表代行】
これは国民の皆さんが判断されることだと思います。自民党の中は、ある意味では官邸の意向に逆らわない人たちばかりというような、むしろ静か過ぎるようなものの一方で、維新がこういう状態だということで、非常にコントラストがあると思います。我々、今、外から見ているわけですが、本当に早めに収束してほしいと思っています。
【記者】
他党のことかとは思うが、こういった維新の党の混乱が、ひいては有権者の政治不信を招きかねない。さらには低投票率を生む原因の一つになると思うが、代表からご所見があれば伺いたい。
【代表代行】
あまり長引くことはよくないと思います。ただ、やはり政策の違い、理念の違いというのがあるわけですから、きちっとけじめをつけることは重要だと思いますので、なるべく早めにそういうことが着地していくことが重要だと思います。
○自民党・憲法改正推進本部長の交代について
【記者】
自民党の人事に関してだが、憲法改正推進本部長が船田元さんから森英介さんに交代したが、この交代の受け止めについてと、本部長がかわったことによって今後の憲法論議に期待することというか、どういうことを望むかという2点について伺いたい。
【代表代行】
新聞には「更迭」と書いてありましたが、船田さんも長いので、定例的な人事という見方もあるのではないかと思います。ただ、森さんは昔から憲法をやられていたのかな?とも思います。
いずれにしても、憲法論議を進めるということは、議論自体はいいと思うのですが、安倍総理の憲法観は我々と相当離れておりますので、ここは慎重にやっていかなければいけない。
それ以前の問題として、憲法53条、自民党のホームページに今もおそらく改正案が載っていると思いますが、「要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」、こういう自分たちの改正案があるわけですから、まずそういうところを守っていただきたい。
あとは、おそらく自民党は来年の参議院選挙で、与党で3分の2の勢力ということを目指してやってくると思いますので、我々はむしろ与野党逆転するくらいの迫力をもってそれに対抗していくことになると思います。来年の参議院選挙でどういう成果を出せるかによって憲法議論が相当大きく影響されますので、まずはそこに我々としても注力していくということです。
ただ、議論をしないということではなくて、憲法審査会を開いていろいろ議論をすることは、我々は別に妨げるものではないということです。
○共生社会創造本部のドイツ視察について
【記者】
ドイツのことを少し伺いたい。大塚耕平さんと行かれたが、たぶんドイツは今、国政上は難民が最大の問題になっていると思う。いずれ日本もそういうことがあるかもしれないが、何かそういうものについても欧州で見てこられたものはあるか。
【代表代行】
そこもいろいろ意見交換をしてまいりました。例のミュンヘンの中央駅にも参りました。メルケル首相の支持率も、我々が行った時は9ポイントぐらい下がっておりました。
やはり感じましたのは地方自治体、地方も州で分権ですから「政府」と呼んでおりますが、バイエルン州などでその政府の幹部とも意見交換をしました。そうすると、やはり、難民を受け入れる地方、州の責任者の意識とメルケル首相との間に、相当ギャップがあるのではないか。実務的にやる現場の人間にとっては、「これはもう限度を超えている」と口々におっしゃっていて、「メルケル首相の理念はすばらしい。ただ、現実はこうだ」と、こういう話をいろいろお伺いしましたので、これは相当大変な問題だ。
日本についても、今お金の協力をしているわけでありますが、それにしてももう少し人的・資金的にきめ細やかな協力ができないかどうか、我々も向こうの日本大使館とも議論したが、これは相当大変な難問だと思います。