日々の活動(旧)

2015年10月30日

2015年10月30日(金)10月30日の代表代行定例記者会見の模様です

■冒頭発言

○軽減税率の財源に総合合算制度を充てる政府・与党方針について
配布資料?

【長妻代表代行】
 毎度毎度申し上げることですが、いまだに国会が開かれない。我々は憲法53条に基づいて衆議院でも参議院でもきちっと要請をしているにもかかわらず、何の音沙汰もないということは大変由々しきことだと強く申し上げる。
 国会が開かれていれば、相当大きな問題が幾つもあり、私も申し上げたいことはいろいろある。一つは、大きな怒りを持っております、消費増税をする際に社会保障を充実する件。(資料?)お配りしましたが、その目玉が「総合合算制度」という、増税分の(うち)年間4000億円をかけて貧困・格差対策に充てると3党で合意したこの中身。この財源を軽減税率に使おうというような状況に今なっていると役所からは聞こえてきます。これは怒りをもって、この財源はきちっと総合合算制度に使う必要があると申し上げたい。
 これは厚労省も本気で検討して、この資料にありますが、詳細を詰めておりました。事実、当時の田村厚労大臣も、例えば平成25年11月6日の厚労委員会、わが党の柚木道義議員の質問に対して、柚木議員が、総合合算制度の実施を遅らせるつもりかと迫ったら、田村大臣は「総合合算制度は、あなた方のスケジュールでいっても同じようなスケジュールになりますから、その点は歪曲してお話しなされるのはやめた方がいいと思います。あなた方と同じようなスケジュール、なるべく早くはやりますけれども、それで進めてまいりたいと思います」と、我々と同じスケジュール感で進めることを明言しておられますし、同じ平成25年11月8日、別の日にもまた柚木議員が追及いたしましたら、田村大臣の答弁として、「どこまで範囲を入れるかというのはまだ決まっていないものでありますから、そこも含めて議論をいただかなきゃなりませんが、かなりの社会保障にかかわる部分に対しての総合合算制度、これを導入する」と言い切っておりますし、「いずれにいたしましても、これは、税と社会保障、このマイナンバーというものがしっかりと確立をしていかないことには動けない、そういうような制度でありますから、それが動き出した後、個人情報をしっかり保護できる、こういうような措置を組んだ上で、いろいろな問題や課題を解決して早期に対応ができるように、これからも努力をしてまいりたいというふうに思います」と。マイナンバーは、今は施行されるわけですから、これはどう考えても言い切っていることを反故にするというのは、国民の皆さんに対する背信と言わざるを得ません。
 加えて、こんなことはまさかないとは思いますが、消費税10%に増税させていただく時に、低年金の方に福祉的給付ということで上乗せ、これは年間6000億円の財源を確保しておりましたが、これも軽減税率で使おう、あるいは使わない、報道レベルでありますが、漏れ聞こえております。それはさすがにないと思いますが。前段の総合合算制度について、その財源を食ってしまうとすると、一体何のために消費税を上げるのか。上げないことと何が違うのだ。我々が苦労して3党合意した中身が相当骨抜きになって、何のためなのか。こういう軽減税率の財源として社会保障を削っていくと格差が拡大すると私は思います。
 軽減税率はお金持ちにも恩恵がある。その財源を使うことで、社会保障の格差・貧困(対策)の核心のものがなくなっていくということで、我々は給付付き税額控除、これはちょっと言葉が難しいので、私、個人的には「消費増税戻し給付」と言ったほうがいいと思うが、低所得者の方に対して手厚く戻す。これによって逆進性がフラットになる、そういう制度設計の仕方もある。そちらのほうが効果が高いということも強く申し上げたい。

○有効求人倍率・失業率の発表を受けて
配布資料?

【長妻代表代行】
 もう1点。今日、有効求人倍率、失業率が発表になりました。数字上はいい数字だとは思います。特に有効求人倍率。ただ、深刻な問題として、安倍総理もよくおっしゃっています「100万人雇用が増えた」、お配りした資料を見ていただいても、非正規雇用が増えて、正規雇用は減っている。差し引きで確かに100万人は増えているものの、深刻なのが安倍内閣のもとで25歳から44歳までの間で正規雇用が、これは季節調整もありますから同じ季節で比較すると、平成24月4−6月と、平成27年、今年の4−6月、この四半期ごとを比較すると、25歳から44歳まで正社員で100万人以上減っているという数字がある。
 今、労働生産性も先進国で20位まで下がっており、非正規雇用の方、スキルが上がらない、賃金も年齢とともに上がらない。こういう大きな問題に取り組まずして、「介護離職ゼロ」とか「1億総活躍」とか、なかなか難しいのではないか。人間の基盤をきちっと固めていく「人への投資」が薄過ぎるということを強く申し上げたいと思います。

■質疑

○消費増税時の負担軽減策について

【記者】
 軽減税率をめぐる与党協議は、自民党の一部に、3党合意を順守すべきだという考えもある一方で、公明党との協議において議論がなかなか深まっていないということだと思うが、長妻代表代行はこの自公の協議をどのようにご覧になっているか。

【長妻代表代行】
 そもそも論で私がわからないのは、何のためにやられているのだろうということです。逆進性、つまり低所得者の方ほど消費増税における負担の比率が高い。これを是正するため、でもないような議論だと思う。軽減税率というのはお金持ちにも恩恵があります。しかもそれをきちっと統計上フラットにするようなことはできない。ですから何か支援者に約束してしまったからやるのだと頑張っているような、それで自民党が引っ張られているような。それで肝心かなめの社会保障の財源を食い潰すと、じゃあ上げないのと同じではないか、こう言わざるを得ない。
 これはそもそも論をやはり胸に手を当ててきちっと考えていただきたい。その目的は一体何なのか。本当に逆進性が、データ的に、統計的にきちっと是正できるのか。政治家のパーティー券が相当売れるような世の中になるのではないかと、それは自分たちの業界を軽減してほしいという方々が政治に近づいてくるということをせざるを得なくなる状況を生み出すことだと思いますので、相当大きな問題だ。
 どこかの報道機関が、「軽減税率是か非か」と質問しておられて、やはり多くの国民は「是」だと。それはやはり質問の仕方として軽減税率だけ取ると、そういうほうがありがたいという気持ちはわかりますが、本当はそれに「逆進性をきちっと是正できる『消費増税戻し給付』と、どちらがいいですか?」と、こういうような質問というのも必要なのではないかと思います。

○TPPが農産品へ及ぼす影響と国内対策について

【記者】
 昨日、農水省が農産品21品目の影響分析をまとめて公開した。この中ではコメや小麦は「輸入の増大は見込み難い」と、影響はほとんど限定的だと結論づけているように見える内容だが、この見解についてどう考えているかということと、今、政府・与党も対策を検討しているが、こういった点、政府・与党がどういう対策をまとめるか、どういう点を質していきたいのかについて考えを伺いたい。

【長妻代表代行】
 いろいろ報道を見ておりましたら、自民党議員の発言などで、10年間ぐらいきちっとした対策が必要だという話がありまして、その対策の中身が、例のGATTウルグアイラウンドで6兆円、農業土木などでお金が浪費された。全部が全部浪費ではないと思いますが、その二の舞いにならないように、小泉進次郎部会長には頑張ってほしいし、我々も国会が開かれていれば、おっしゃった21品目についても本当に科学的・論理的なものなのか、農協の方も参考人でお呼びして議論をしたい。
 非常に一方的に、情報操作と言ったら言い過ぎかもしれませんが、一方で質す機会がないまま情報が流れて、やはりマスコミもそれは書かざるを得ないというか、報道せざるを得ないわけですから、非常に偏った形で流れて、その情報が確認されないまま国民の皆さんに定着していくのが怖いと思います。
 いずれにしても、予算委員会(閉会中審査)、1日、衆議院で開かれる予定ですが、そこでもきちっと質しますが、それだけでは不十分です。やはり臨時国会を開くことがすべての大前提だと思います。

○野党協力について

【記者】
 共産党との関係をめぐって、岡田克也代表は、政策協議を前提にはしていないが、選挙区の調整には前向きな発言をされている。一方で細野豪志政調会長は、そもそも協力自体、すべきではないと。執行部の中でも意見が分かれている状況だと思うが、長妻代表代行はどのようにお考えか。

【長妻代表代行】
 今日、御紙を見てみましたら、私に似た顔の漫画が、3匹の猿がいて、細野ザルと長妻ザルと岡田ザルで何か方向性が違うみたいな。私はあん
なハンサムではないから私ではないのかなとは思いましたものの。
 基本的には、細野さんの記者会見ももちろん拝見いたしましたが、初めから言っていることは党内で違うことはないのだと思っている。つまり端的に言うと、共産党のおっしゃっている連合政府、同じ政権を時限的であっても一緒に作る、これについては誰も、「そうだ」と言う人は今までの幹部の発言の中でない。ただ、細野さんも含めて、30以上ある参議院の1人区で野党がバッティングしてどうするのだと、これは共通しております。そのバッティングをしないためにどういうような形で一本化、結果としてなのか事前なのか含めて、それは議論をする。予断を持たずに、共産党含め各党と議論しましょうということも全部一致しております。
 あとは言葉のニュアンスの差で、相当濃密な選挙協力をして、細かい政策まで全部一致させるという選挙協力もありますし、そうでない、何も交わさずに、候補者を出さないという協力もあります。これは我々も地方自治体の首長レベルでよく一本化する時に、いろいろなレベルの発想でやっているわけですから、あとは、話し合いの中で決めていく。ですから、その両極端なところについては、しないと幹部で一致しておりますので、これはあまり違いはないと私は思っております。

【記者】
 結局、事前に調整するのか、結果として調整されているのかというのが、一番のこの問題の肝だと思うが、一方で岡田代表は1人区でバッティングしないほうがいいとおっしゃっている。長妻さんも、そこについてはなるべく事前に調整すべきとお考えか。

【長妻代表代行】
 既にバッティングしているところもありますから、それを事前というのか事後というのかわかりませんが、いずれにしてもこれは民主党議員も一致しているのは、何しろ30以上ある1人区で勝たなければ、参議院の与野党逆転は夢のまた夢の、夢物語ですから、やはり野党が(候補者を)一本化する。そこはみんな共通認識です。だから、それをする時に国民の理解が得られるような形で、民主党の支持者からも理解が得られるような形はどうあるべきか。いろいろな知恵があると思いますので、私は誠意を持って話し合えば着地できると思います。
 あとは細かいニュアンスの違いは、相手もあることですからその時々でニュアンが若干違ってくることもあるかもしれませんが、大きな流れはその流れで進んでいくということです。

【記者】
 維新の党とも政策協議の後に選挙協力(の協議)という形になっていると思うが、このタイムスケジュールと、共産党との事前協議、維新との事前協議、これは維新とやってから共産党とやるのか、3党で一緒に始めるのか。この辺の代表代行のお考えを伺いたい。

【長妻代表代行】
 協議というのは、別に一緒に集まるかどうかというよりは、できるところを早めにいろいろ協議していく。ただ、早めにと言っても、そんな一朝一夕にできるものではないと思いますので、それはどっちが初めとか後とか、そういうことではなくて、幅広く議論をしていく。当然、最後の最後は、それぞれのところとある程度の合意ができてくるという状況になると思いますが、維新については明日一つのイベントがあるということでありますので、来週ぐらいから、また政策協議を再開できるのではないかと我々は期待しております。

【記者】
 共産党の連合政府構想について「そうだ」と言う人は党内には誰もいないというご発言だが、これは連合政府構想を撤回しない限り、共産党と選挙協力の話はできないと理解してよろしいか。

【長妻代表代行】
 先ほど申し上げましたように、連合政府が「是だ」と言った幹部はいない。今まで幹部の発言で、それは聞いたこともありません。そういう意味では「撤回」というのは、これは他党がおっしゃっていることですから、我々がとやかく言うことではない。やはりそうでない形が模索できるのかどうか、話し合いになってくると思います。

【記者】
 ということは連合政府構想を撤回しなくても、選挙協力の話はそれはそれとして進めていくこができるという理解でよろしいか。

【長妻代表代行】
 「撤回」というのは、それ(国民連合政府構想)は共産党が上げていることです。連合政府でない形で進める、それを「撤回」と言うのだったら「撤回」かもしれません。ただ、それは共産党が決める話です。合意できないということは、先ほど申し上げましたように30以上の1人区で、こちらが相当頑張っても、結果はいずれにしても僅差になる。その時にバッティングするということは、できるだけ避けないといけない。こういうお互いの思いの中で、連合政府ということではない形で合意ができるように知恵を出し合うということで、最終的に連合政府というまま合意するということは、これはない。ですから知恵を出していく。

【記者】
 共産党の志位委員長は、閣内に入ることに必ずしもこだわらないという言い方をしているが、連立政権ではなくて閣外協力みたいな形だったら、のめる余地はあるとお考えか。

【長妻代表代行】
 これはちょっと私もニュアンスがわからないのですが、連合政府というのは、連立政権なわけですよね。連立政権ということは、政権を一緒にする、いわゆる与党ということでありますから、もしそういうことになると根幹的な政策が相当一致していなければそれは国民の信頼を得られないし、時限的と言っても、その時限の期間内に何の事件も起こらないということはあり得ないわけで、それは日米関係や、日本を取り巻く周辺の問題や、外交上の課題や、国内の問題が起こった時に、(対応が)ちぐはぐであっては、これは閣外・閣内問わず国民の皆さんの期待に応えられないと思いますから、基本的には、一緒に政府を作ったり、連立政権とか、そういうことは考えられないと私は思います。

【記者】
 維新は大阪側では明日結党大会が行われる予定だが、一方で執行部は民事提訴をする構えで、いつまでも対立が収まらない。このままだと野党第2党に共産党がなる状況だ。「一強多弱」に対抗するための、野党全体の課題は何だとお考えか。

【長妻代表代行】
 やはり産みの苦しみの部分もあるとは思いますし、今の自民党政権の根幹の価値観とは違う価値を国民の皆さんに選択いただけるような、そういう提示をする、そういう意味での野党のかたまりというのが重要だと思います。ですから立憲主義をはじめ、そういうところを一緒にする野党が、参議院選挙で1人区でバッティングしないようにしていく。そこが最大の課題だと思いますので、そこに向けて国民の皆さんの期待も一定程度あると思いますから、一歩一歩話し合いをしていけば道は開けると思います。