2016年03月31日
2016年3月31日(木)代表代行会見の模様です
■冒頭発言
○民進党代表代行就任に当たって
【代表代行】
民進党代表代行として初めての会見ということで、今週1週間は「民進党デー」ということで、似合わないチーフをつけさせていただいておりまして、恐縮でございます。
新党は、ある程度順調にスタートいたしまして、今日、参議院の議長・副議長に執行役員でお伺いして、あいさつ回りが一定程度終了するということであります。
昨日はNC(次の内閣)も開かれ、常任幹事会も開かれました。私自身がこれまで取り組んでおりました「共生社会創造本部」も、新しい民進党で引き続き、維新の党から合流された方も役員に加えて立ち上げて、これを民進党の政策にもしていきたいと考えているところであります。
ダブル補選については、これは全力を挙げていくということでありまして、これで我々が勝利することで今の安倍内閣の暴走を止めるということにもなりますし、「この道しかない」という道ではない、もう一方の、もう一つの道、そのあるべき社会像をきちっと示す、その力も大きくなっていくと考えております。
今日は「報道ステーション」で古舘さんが最後だということであります。私もかつてマスコミの端くれにおりまして、気になりますのは、強く政府批判をする方がテレビからどんどん消えているような気がいたします。批判を忘れた国は必ず大きな過ちを犯す、これは70年前の戦争の反省であります。こういう憲法・立憲主義をないがしろにするような動き、民主党の時代にはなかった民進党の三つの旗印の「自由」「共生」「未来への責任」。この「自由」というのは権力からの自由という意味合いも強くあるわけでありまして、「言論の自由」「報道の自由」、そういうものが侵されないように我々も闘っていかなければならないと考えております。
そして安倍総理の3月29日の官邸での予算成立を受けた記者会見、お伺いしましたけれども、相当言いたい放題である。「介護離職ゼロ」とおっしゃりながら、介護の報酬を下げておられる。「50万人の介護の受け皿を整備する」とか「25万人の介護人材を新たに確保する」とかおっしゃりながら、要支援切りをしたり、報酬を上げないということもあります。「介護休業中の皆さんに支払われる給付を上げます」とおっしゃいますが、そもそも介護休業の取得率は非常に低いし、もっと言えばそもそも有給休暇の取得率が先進国で最も低い。こういう今の劣悪な働き方全体を見直さないで、一つの事象をスローガン的におっしゃっていく。我々が申し上げているところを争点潰しでおっしゃっていくような、非常に違和感があるわけであります。
「強い経済を確かなものにする」というふうにもおっしゃっておりますが、格差が相当拡大して、その大きな、そして厚く高い格差の壁をどうするのかということも触れておられないわけであります。
そして労働時間、残業時間の上限についても言及しておられます。これは我々も申し上げている三六協定の中の特別条項を廃止するというようなことで、法的に上限規制をするというようなことを(我々は)提言しておりますが、ぜひ安倍内閣におかれましても法律で残業時間を規制するというところに踏み込んでいただきたいということも、これから論点になってくるのではないかと考えているところであります。
安倍総理は介護福祉士の学生の例も会見でおっしゃいましたが、この資格を取得するにも、保育士の資格もそうでありますが、相当お金がかかる。やはり一定の所得以下の方には資格を取るについても相当な補助をしなければなりません。そもそも資格が取れないという、こういう根本問題もあります。
いずれにしましても我々としては、「この道しかない」今の政権に対して、もう一つの道、格差の壁を打ち壊して、共に生きる社会をつくっていくと。こういう道を大きく、高く掲げて、まずはダブル補欠選挙を戦っていきたいと思っています。
私からは以上です。
■質疑
○社会保障と税の一体改革について
【記者】
消費増税についてのスタンスが、前提条件がついていて非常にわかりにくい。現時点で引き上げには賛成なのか、それとも反対なのか、どちらか。
【代表代行】
これは昨日NC(次の内閣)でオーソライズされました民進党の基本政策、そこにもありますが、軽減税率の撤回を求めていく、それがなければ消費税の引き上げの条件は整わないと。こういうような考え方であります。
それに加えて、(軽減税率が導入された場合)社会保障について1兆円穴があくわけであります。そういうことも含めて、今安倍内閣がおっしゃっている、社会保障を削減しかねないような、財源の裏づけのない軽減税率。これらを撤回していただくことで初めて消費税引き上げの条件が整うと考えております。
今の時点では消費税引き上げの条件は整っていないと、私自身は考えております。
【記者】
撤回を求めていくということは、他の野党からも凍結法案提出の動きがあるが、民進党としてもこの凍結法案を提出していく流れに乗るということか。
【代表代行】
これはまだ正式には決めていないとは思います。先ほど私が申し上げましたように、まず軽減税率の撤回を求めて、社会保障に1兆円穴があくようなことが絶対にないというような確認をとっていく。まずはそれを、国会がまだ開いておりますので、粘り強く政府に訴えていく。
それでも振り切って、軽減税率もやる、1兆円も穴をあけるということでありますと、その次の段階に進んでいくのではないかと思いますが、今は粘り強く、その前提条件を整わせるように強く求めていく。というのも、我々はすごくこだわりがあるわけです、今回の消費税については。そういうことでまずは粘り強く前提条件を整わせるようにしていくということです。
○特定秘密保護法・情報監視審査会への不十分な情報提供について
【記者】
昨日衆参の情報監視審査会が今年度の報告書を出した。情報監視審査会の機能、役割の限界とか、政府が特定秘密の情報を出すことに極めて消極的だととられるような状況が浮かび上がってきたと言われている。このことをどのように受け止められているか。
【代表代行】
これは、残念ながら「やっぱりそうか」というような感じがしなくもありません。国権の最高機関と憲法で位置づけられている国会に設置された審査会に対して、相当軽い対応を政府はされておられるのではないかということであります。
これは与党も野党もありません。与党も国会の役割は十分、重要性を感じておられると思うので。国会のこけんに関わりますので、これは与野党結束してきちっと出させるということにしないといけません。
私が承知しておりますのは、例えば米国でありますと、秘密会で相当踏み込んだ中身を開示して、国民の代表たる国会議員がその是非を判断するというようなことが行われていると聞いております。日本国もアメリカ並みに、安倍総理の考えでは、集団的自衛権を行使したいと考えるのであれば、同時に、情報についてもできる限り国会に明らかにするということが車の両輪でなければ、危うい形になるのではないかと危惧しております。
特に与党の国会議員にもっと怒ってほしいなと思いますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○TPP交渉記録未作成問題について
【記者】
本日、民進党の「TPP交渉過程解明チーム」が立ち上がったが、政府は甘利・フルマン会談などTPPの交渉過程の重要な議事録は一切とっていないという立場をとっている。民主党政権時代、東日本大震災の関連会議の議事録が作られていなかったと当時の野党自民党は問題視し、国会で厳しく追及した。立場が変わったということで主張を真逆にしているのではないかと感じるが、この姿勢についてどのようにお考えか。
【代表代行】
野党の仕事の一つは、もちろん提言もありますけれども、政府の監視・チェックということでもありますので、今回もその意味で言うと、TPPの交渉の経過が明らかにされないというような趣旨のお話があったと聞いております。
いずれにしても、言うまでもなく条約は国会の承認事項。国権の最高機関に対して情報開示がなければ、その賛否も明らかにできないし、判断できないということであります。これは交渉が決着した後の話ですから、できる限り表に出していただくと。甘利さんも参考人としてまずは国会に来ていただいて――あるいは疑惑の点では証人喚問かもしれませんが、そういう開示をしていただかなければならないと考えておりますので、まずは衆議院、わが党の筆頭理事は近藤洋介さん、舌鋒鋭く厳しく追及していくと思いますので、委員会の推移を見ながら、我々もいろいろな手を打っていきたいと思います。
【記者】
情報開示の重要性もあるが、野党時代は議事録の重要性を追及していながら、そもそも議事録をとっていないという立場をとっていることについてはどのようにお考えか。
【代表代行】
これはお互い多少言えることかもしれませんが、自民党も我々が与党の時に情報開示とか議事録の点で相当攻め立てたわけであります。ところが今度、攻守所を変えると、以前言っていたこととかなり違うような論調になってしまうというようなことについて、やはりこれは我々も厳しくその矛盾も質していかないといけないと思っております。
いずれにしても、このTPPという、いまだ国民生活にどういう影響が出てくるのかさっぱりわからないと。私自身も非常に不思議だと思います。もうTPP、決着がついたはずにもかかわらず、国内に一体どういう影響が出てくるのかが全然わからない。イメージすら湧いてこないというようなことは非常に深刻だと思いますので、これについて徹底的に国会で明らかにしないといけないと思っております。
海外の著名な学者さんの中には、これは特定の業界にプラスになる色彩が色濃いのではないかと。こういう論調もあるわけですので、そういうところも含めて解明をしていく必要があると思います。
○次期衆議院選挙・参議院選挙について
【記者】
昨日の公明党の山口代表の発言はじめ、最近、自民・公明から衆参同日選に関する発言が相次いでいる。この時点でそういう発言が出る狙い、それに対してどう対抗していくのか伺いたい。
【代表代行】
同日選にしてもいろいろな思惑があって発言されておられるのでしょうが、いずれにしても会期末が、延長がなければ6月1日。40日以内に選挙ということになると、仮に7月10日が参議院の投票日だとすると、6月1日の解散というような計算になるのではないかと思います。
いずれにしてもいろいろな話が出ているということについては、4月24日の補欠選挙の結果が相当大きな影響があると思いますし、その後の世論調査なども相当大きな影響があると思います。サミットが5月26日ですか、そこの前後で消費税の判断などもあると思います。いずれにしても我々としては、直近で選挙の関係で言うと何しろダブル補選、これに勝つことが、日本の政治の将来についても相当重要であると。ここで我々が負けるようなことがあると与党に弾みがついて、ダブル選挙、3分の2、改憲、戦前回帰というような動きがトントントントン進んでいく危惧を我々は持っておりますので、ここの補欠選挙、総力を挙げて我々も取り組んでいく。
代表も今日も代議士会で「補欠選挙に先頭に立って取り組む」という宣言をいたしました。やはりそういう安易にダブルだなんだということを与党から非常に緩いような形で、解散・総選挙を弄ぶような言動がどんどん出てくることは、やはり我々がここで24日に勝利して、そういう軽い発言を封じていくことが重要だと思います。
【記者】
ダブル選があった場合、候補者の擁立について現状では190人程度になると思うが、2年前の選挙では過半数擁立にたどり着かなかった。今回の擁立の見通しについて代表代行はどのようなお考えをお持ちか。
【代表代行】
これも以前から、3月末ぐらいまでに200人程度というようなことを申し上げておりましたから、その時間軸からするとほぼその数字にはなっていると思いますが、まだまだ足りないと思っておりますので、これは急ピッチで候補者――複数の方がいらっしゃって、その方々を選考しているという過程の選挙区もありますので、これは急いでやっていくということです。
○TPP交渉記録未作成問題について
【記者】
衆議院特別委員会の委員長に就任した西川さんが著書を出すと。その著書の中で、TPPの交渉過程の内幕に触れている場面があるという話が出ている。TPPの特別委員長という職にある人がこういうことということで、いろいろ物議も醸している。これについて何かお考えがあれば伺いたい。
【代表代行】
早速私も――それ、もう出版されているんですか?
【記者】
まだ。
【代表代行】
まだ。じゃあちょっと予約して、購入していきたいと思います。
当然、これ問題になるでしょうね。問題というか、委員長に対して質問が出てくるのではないかと思います。委員長もそれについて、政府が開示していない話がそこに出ているのであれば、公の情報だと我々も承知してしまいますので、それは委員会でも同じ中身を政府にきちっと出させると。その本で開示した情報と同じ中身を正式な政府の文書として出させていくと。こういうことは最低限やっていかなければいけないのではないかと思います。