2013年10月14日
2013年10月14日(月) ジュネーブで国際会議
10月5日(土)から11日(金)まで、ジュネーブに出張しました。自民党国会議員4人、民主党国会議員2人と、IPU(列国議会同盟=Inter−Parliamentary Union)という162カ国の国・地域の議会が参加する国際会議に出席するためです。1889年に第一回会議がパリで開催され、日本は1908年(明治41年)に加盟しました。最近では、年二回開催されています。
IPUは、平和及び安全保障に関する第一委員会、持続可能な開発・金融及び貿易に関する第二委員会、民主主義及び人権に関する第三委員会が常設委員会です。2006年には、日本議員団の提案で、北朝鮮の核実験発表を非難し、核開発の即時放棄を求める決議が採択されました。
私は本会議を含め、いくつかの会議に出席しましたが、スピーチをしたのは、以下4つの会議です。
1.平和及び安全保障に関する第一委員会「核兵器の無い世界に向けて:議会の貢献」
2.国連に関する委員会「第四回 国連 後発開発途上国会議のフォローアップ」
3.国連に関する委員会「最近採択された武器貿易条約の内容と活動」
4.国連に関する委員会「国連安保理決議1540号(大量破壊兵器不拡散)の実施」
3の委員会で、通常兵器の貿易を規制する武器貿易条約に未加盟の中国、ロシアに加盟を求める演説には大きな拍手をいただきました。
2の会議では冒頭「世界の貧困問題を解決することこそが、世界の平和と安定につながり、先進国にとっても、大きな利益になります。このことを私たち、すべての議員が肝に銘じなければなりません。他国のためだけでなく、結果として、自分の国や世界にとっても大きな利益になるのがイスタンブール行動計画です」とスピーチしました。
イスタンブール行動計画とは、2020年までに後発開発途上国(the Least Developed Countries 49カ国)をより豊かにして、その数を半減させることを目標としています。日本政府もこの行動計画が立案された2011年以降、「人間の安全保障」という理念に基づいて世界の貧困問題に取り組んできましたが、まだまだ不十分です。
世界の格差・貧困がテロの温床を広げ、日本の格差・貧困が社会の不安定化をもたらします。世界にとっても日本にとっても、格差・貧困問題は取り組むべき喫緊の課題です。
また、国連に対する不平・不満が、援助を受ける国から噴出したのは意外でした。自国のニーズと国連の支援がズレている、もっと議会の言い分も聞いてほしい、などの意見が多く出されました。国連が縦割り行政になりすぎてきめ細かくニーズを拾えない、支援国の政府と議会がねじれていて国連が立ちすくんでいるなど数々の課題が示されました。
最後の全員が集まる本会議では、緊急決議案が提案されましたが、異論が多く出されました。これは、「化学兵器の破棄及び、その使用禁止を監視するに当たっての議会の役割」と題する、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの提出決議案です。
発言を求めた、キューバ、ベネズエラ、ニカラグア、シリア、パレスチナ、レバノン、ペルー、スーダン、アルジェリアなどは反対もしくは慎重意見でした。内政干渉を認めることになる、国際的なコンセンサスが得られていない、化学兵器を持っている国は他にもあるのに、などなどの意見でした。
しかし、最終的には、この決議案は採択されました。もちろん、日本議員団もこの決議案は支持しました。
多くの国の議会が集まる場では、米国やイスラエルに対する批判的な意見が目立ちました。
印象的だったのは、世界の多くの国会議員がIphoneやIpadを持ち、使いこなしていたことです。 また、多くの国の国会議員と昼食などで意見交換をしました。
ジュネーブの公営老人ホームやヒッグス粒子を発見したCERN(欧州原子核研究機構)、ILO(国際労働機関)、民間防衛の施設(核シェルター)、エイズ・結核・マラリアの三大感染症に取り組む世界基金(The Global Fund)などにおじゃまして意見交換をしました。
世界基金の幹部が偶然、私の友人の知人で、親しくお話しさせて頂き、詳しく実情をお伺いしました。CERNでは、日本の技術も大きな貢献をしていることを教えてもらいました。
公営老人ホームは、一階に美容院があり、天井がガラス張りで明るく、カラフルな作りが印象に残りました。笑いを取るピエロセラピーや認知症の方が部屋に戻れるように部屋番号の横に自分の好きな写真を貼るなど工夫がされています。100歳を超える男性ともお話ししました。
世界の議員と交流して、欧州の存在感やアジア太平洋地域の発信力不足、国連や米国の世界における評価の再認識など、視野がまた一段、広がりました。
世界の貧困を削減することも、安全保障につながります。今後も議員外交を通じて、日本を発信し、世界の貧困問題への貢献策を進めて参ります。
以上、簡単な報告ですが、詳細な報告書は作成中です。