2015年02月19日
2015年2月19日(木) 共生社会創造本部第3回総会 子どもの貧困と貧困対策の効果についてヒアリング
民主党は19日夕、党共生社会創造本部(本部長・岡田克也代表)第3回総会を国会内で開催しました。
ながつま昭は、同本部の取りまとめ役を務めています。
総会では、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩(あべあや)応用分析研究部長の「子どもの貧困の現状と社会的投資の可能性」と題する講演を聞き、意見交換をしました。
また、あしなが育英会「あしなが心塾」塾生らが経済的理由で進学を断念する高校生の存在について述べ、遺族年金と児童手当の20歳までの支給延長の必要性を訴えました。
ながつま昭は、あいさつの中で、「阿部部長には、民主党政権時、貧困のご家庭に就労支援などの投資をするとどれほど効果があるのかというような、具体的、数値的な試算をしていただきました。新自由主義的な人たちを説得するには、格差是正が成長や財政にもマイナスではないということを示していく必要があります」と述べました。
<以下は阿部部長のご説明です>
阿部部長は、まず子どもの貧困の現状について(1)厚生省による子どもの貧困率は、2012年の最新数値で16.3%と初めて子どもの貧困率が相対的貧困率を上回った(2)子どもの貧困率を世帯タイプ別に見ると、ひとり親と未婚子世帯で上昇したと報告。
一方、父親・母親の年齢層別貧困率を見ると、子どもの貧困率は、父親の年齢に関係しているという調査結果を示し、「若い親を持っている子どもの貧困率は、圧倒的に高い。20歳から24歳の父親をもつ子どもの貧困率が高いのは、父親の抱えている状況を反映している。一方、高い年齢層の男性の貧困率が、失業などによって上がっており、その子どもの貧困率も上がっている」と述べました。そして、非正規労働者の子どもの貧困率(33.4)は、正規労働者の子どもの貧困率(6.7%)を大きく上回っていると紹介しました。
また、政府の再分配によるひとり親世帯の貧困率の削減率は、日本は先進国中最低であるということをお話しされました。
次いで、阿部部長が近年関わっているという「子どもの貧困と栄養の関係」について、「日本の子どもの貧困の影響が、もう食の面にまで来ている。世帯収入と児童の朝食・食品の摂取頻度を調べてみると、貧困の子どもには大きなリスクがかかっていることがわかる。週に1回以上インスタント麺を食べる頻度が、非貧困の子どもに対して貧困の子どもは2.6倍というのが事実だ」と数字を示しました。
また、「子ども手当の効果」という実証研究では、10万円の手当の純増によって、その世帯における心理ストレスの緩和効果が確かめられたと紹介しました。
(1)父親・母親の主観的健康感が上昇(2)母親がイライラする確率の低下(3)父親が「仕事に集中できない」を否定する確率が上昇などだ。阿部部長は、「子ども手当は効果があった」という最初の証拠で、これからもいろいろ調査結果が出てくると述べました。 そして、米国の子どもの貧困対策の金銭的効果について、米国における対貧困プログラムは収益性があるという推計を紹介しました。加えて、日本で就労支援プログラムが実施された場合、プラスの投資効果があることが推計されたと説明しました。