2015年03月12日
2015年3月12日(木) 共生社会創造本部(第6回)を開催 駒村康平慶大教授より 『中間層消滅』を聞く
民主党は12日夕、党共生社会創造本部(本部長・岡田克也代表)第6回総会を国会内で開き、慶応義塾大学経済学部の駒村康平教授から「『中間層消滅』成長としての再分配政策」と題する講演を聞き、意見交換しました。
開会のあいさつで、ながつま昭(同本部長代行)は、「今日の予算委員会で安倍総理と格差の議論をしたが、相対的貧困率とか格差にはあまり関心がない。答弁のために少し勉強して話す感じで、この関心のなさは本当に深刻だ」と指摘しました。駒村教授については、「今度『中間層消滅』という本を出された。印象に残っているのは、『成長重視だから私は右派』『分配重視だから僕は左派』といったイデオロギー的な単純な二分法は忘れるべきである、どれが日本の国の社会にとってプラスか――ということを書かれている」と紹介しました。
駒村教授は、問題意識として「成長重視派も分配重視派もお互いに断絶するようなことになると、落とし所のない社会になってしまう。また政治的にも経済的にも社会のかなめ石になるはずの中間層の取り分が落ちていくということで、どういう社会をもたらすかということを、全員で社会的問題として意識しなければいけない」などと指摘しました。
「高所得層が経済全体の取り分をどんどん増やし、上位10%の高所得層が経済のかなりの部分を占め、残りを下位90%の人が分け合うというフランス革命前夜のような上か下かしかない社会で社会が安定するのかどうかということを、われわれは考えなくてはいけない。このことは経済発展の阻害要因になるのではないかとILO、IMF、OECDなどからレポートが出てきている。日本の議論はかなり時代遅れになっている」とも述べました。
格差拡大が経済成長を鈍化させる原因として、(1)学費を払えないことで、優れた人材が教育機会を失う(2)親の所得が子どもの所得に影響するなど親子間での貧困の連鎖(3)格差を放置すると必要な改革の阻害要因になる(4)信頼という公共財が失われることで経済成長が鈍化する(5)高所得者ほど消費性向が低くなる(6)低所得層にローンの機会を提供すると金融危機の原因になる――などを挙げ、格差の拡大が経済成長の足を引っ張っていくルートを紹介しました。最後に、駒村教授は、「格差拡大は不本意非正規労働者を増やして出生率を下げ、高齢化問題を深刻にして財政問題につながっていく。格差と少子化問題と財政問題は一体としてつながっている問題だ」との考えを示しました。