2015年06月11日
2015年6月11日(木)【共生社会創造本部】中野麻美弁護士が「女性・非正規(派遣)労働の問題点と制度 改革の課題」をテーマに講演
※ 民主党ホームページより転記
共生社会創造本部(本部長・岡田克也代表)は11日夕、第15回総会を国会内で開き、NPO派遣労働ネットワーク理事長の中野麻美弁護士から、「女性・非正規(派遣)労働の問題点と制度改革の課題」をテーマに講演を聞き、意見交換した。
中野弁護士は、労働市場の二極化、仕事と所得の格差について、「経済的利益を分配するシステムの主要な柱である労使関係、日本型雇用慣行と言われるものに大きく規定される状況があった。これが時代の変化とともになかなかうまく機能しなくなったことが労働市場の二極化を深くすることになってきた」との問題意識を述べたうえで、非正規雇用の現状については、その約7割が女性であり女性の問題として捉えれること、諸外国に比べ日本では同一労働あるいは同一の価値の労働に従事するパートとフルタイムで働く正社員との賃金差が格段に大きいこと、1994年以降、派遣労働者の平均時給額が年々下がっていることなど非正規雇用、特に女性が置かれている厳しい現状を説明。生涯賃金や労働・生活時間の男女間格差の実態にも触れ、雇用での男女間格差の要因はワークライフバランスの欠如だと指摘、「利益配分システムに構造化されたジェンダー問題の不在」をどれだけセンシティブに対応できるかということが政策的に後回しになってきたのではないか」と述べた。
非正規雇用改革としては、民主党政権下での労働契約法の改正や契約法・パート法の改正、労働者派遣法改正を「画期的な改革」と評価。一方で、安倍政権が進める今回の労働者派遣法の改悪については、「期間制限緩和と許可制はキャリアアップと雇用安定化につながるのか」「個人単位と派遣先単位の機関制限で常用代替防止は可能か」「意見聴取制度で常用代替防止は可能か」などをあらためて問題提起し、労働者の自由を確保するための時間規制としての労働時間制度改革やジェンダー平等を中心に据えた「働き方」と雇用改革の必要性を説き、その具体策を提案した。
出席議員からの「ヨーロッパ並みの均等待遇が日本で実現するとどういう状況になると考えられるか」との質問に中野弁護士は、「格差があるところをどれだけ解消できるかという観点から、不合理なものについては解消させていくアプローチを取るべき。遅々として進まないように見えるかも知れないが、その不合理性を問われたときに、経営者はどう配分していけば合理的なものになるかを考えていく。それを労使の対話のダイナミズムのなかで分配のシステムを構築していく展望を持つべきではないか」と評価する考えを示した。