2015年07月16日
2015年7月16日(木) 「国民・自衛官の納得が得られないままの強行採決だ」
※民主党ホームページより転記
長妻昭代表代行は16日午後、定例記者会見を開き、衆院本会議での安保法案の採決などについて見解を述べた。
長妻代行は、「昨日に続き強行採決がなされたことに厳重に抗議したい」と述べた上で、法案の内容について「今までは、わが国が攻撃されたときに命をかけて戦うのだという、国民と自衛官の納得性があった。しかし、今度はわが国が攻撃されていなくても命がけで戦うことになる。しかし、それがどういう状況、要件であるのかがはっきりせず、どんどん拡大していってしまうのではないかという懸念を持った」とし、「国家が武力行使を命令するというのは国家の最も重い決断であり、漠とした答弁のまま強行採決されてしまったというのは本当に残念でならない」と述べた。今後は、参院での審議を通じて政府を追い込んでいくよう、衆参で連携する考えを強調した。
さらに、衆院安保特の野党筆頭理事を務めた立場から、安保法案の審議中、委員長が引き取った理事会協議案件について報告した。それによると、「政府統一見解要求」26件のうち提示済みは17件、「資料要求」26件のうち提示済みは14件などとなっており、「政府の野党に対する情報開示が非常に消極的だった」と批判した。
今後民主党としては、今週末の3連休を活用して全国11ブロックで街頭宣伝活動を行う方針であると説明した。
記者団から、参院での審議について引き継ぐべき論点は何かと問われ、一例として「憲法論から離れて安全保障論の観点からこの法案を評価するとどうなるのか。安倍総理は、『中期防は変えない、防衛費は増やさない、自衛隊の人員も増やさない、装備も変えない』と言っているが、専守防衛の中で培われた日本の限られた軍事力をグローバル展開することで、日本周辺の守りが手薄になってしまうのではないか」といった点を挙げた。また、安倍総理の歴史認識や南シナ海の問題、外交・人的交流なども論点になるとの見方を示した。
安倍自民党への支持率が下がっていることが、必ずしも民主党への支持につながっていないとの指摘に対しては「あらゆる知恵を絞って国会論戦に臨んでいるつもりだが、不足しているところは謙虚に反省しなければいけない」としつつ、「問題点を追及している段階では追及している野党への支持が増える前に、一旦、無党派が増えて、そういう人たちがその後いずれかの政党を支持する、という傾向がある。その意味では、民主党の根本にある安全保障の考え方がにじみ出るような質問を心がけていくことが重要だ」とした。
また、新国立競技場の問題については「本当にきちんと見直しをしていただきたい」と述べ、かつて公共事業について国会で追及した経験から「当初の建設費用が最終的には2倍、3倍になるのが当たり前、工期も2倍ぐらいに延びるのが当たり前というのが実感だ。ただこの件は、東京オリンピックという期限が決まっているので、それを守ろうとすると、最終的な工費は数倍になるのではないかと懸念している。初めの金額で終わりではない」と述べ、事態の今後の展開を注視していく考えを示した。