2015年07月30日
2015年7月30日(木) 【代行記者会見】「日本周辺脅威を与党が強調するほど、より個別的自衛権での対応 が中心となる」
※民主党HPより転記
長妻昭代表代行は30日、国会内で定例の記者会見を開き、(1)安保法案の参院特別委員会での審議(2)労働者派遣法改正案への対応(3)最低賃金引き上げ――等に関して見解を述べた。
参院特別委員会で28日から始まった安保法案の審議に関しては、与党の質疑時間が衆院に比べて相当増えた印象があるとしたうえで、「与党の質問は日本周辺の脅威を相当強調している。日本周辺の脅威を強調すればするほど、個別的自衛権の範囲内に集約されることになって、なぜ集団的自衛権(が必要)かという意味合いについて非常に説得力が薄くなると感じた」と指摘した。
参院に引き継がれた安保法案審議の大きな論点としては(1)憲法違反や法案の中身の問題(2)安倍総理自身の戦争に対する考え方に関する問題――の2つを挙げた。「総理大臣が自衛隊に武力行使を命じことができる唯一の人物であるから、その姿勢が大きく問われなければならない。武力行使を命じたときに、なぜそれを命じたかについて国会で説明を行うことになるので、説明の姿勢も問われる」と語り、国会の事前承認に関して、「存立危機事態は緊急の場合、国会は事後承認になる。そうなると、総理大臣は武力行使について1人で命令を行う、ある意味では究極の命令を下す立場にある。そういう意味でも、法案の議論ではこの2つのカテゴリーが重要だ」と語った。
7月21日に閣議決定された防衛白書についても取り上げ、その中に挟み込まれた追記箇所を記した文書(PDFダウンロード参照)に関して言及した。文書は、東シナ海で中国がガス田を開発し、プラットホーム建設を拡大していることに関して追記したと説明する内容で、防衛省は昨年8月、今年3月、5月、6月とガス田の土台が設置されていることを順次確認している。安保法案が衆院で採決された後の22日にこの東シナ海での中国によるガス田開発の情報が政府から報告されたことに関して、「(日本政府が確認した)その都度の公表ではなく、急きょこの時期に写真を含めて公表したことは、法案の可決についてなかなか理解が深まらないので、この機に公表することで法案への理解を高めて行こうという裏の狙いがあるということだとすると、公表の時期や方法の是非について議論が必要だと考えている」と述べた。
労働者派遣法改正案の実質審議が参院厚生労働委員会で始まったことについては、「施行日の変更、修正は避けられないし、相当な問題点も明らかになっているので、与党としては撤回すべきである」と指摘した。「ここで成立させないと来年4月から大量の大卒の新入社員を雇おうとしている派遣会社に支障が出るといったことも言われているが、企業の都合で強行に法案を通すということは本末転倒だ」と批判した。
また最低賃金が過去最高となったことについて「民主党政権時がこれまでの最高だったが、それを抜いたということでいいことだ」と評したうえで、「付言をすれば今回は消費税が上がったなかでの最低賃金の上昇であるし、これから消費税率10%へのアップが控えているなかで、もう少し上げ幅を上げることができなかったのか。その余地があったとも言われているので、政府としてはさらに努力してほしい」と注文をつけた。