日々の活動(旧)

2016年02月06日

2016年2月6日(土)【徳島】共生社会創造フォーラム 初回を徳島市内で開催

※共生社会創造本部中間とりまとめ資料

 民主党は6日午後、全国10カ所で開催予定の共生社会創造フォーラムをまず徳島市内で開いた。党本部から同本部長代行の長妻昭代表代行と田嶋要衆院議員が出席し、民主党が目指す「1人ひとりを大事にする社会」の実現のための政策の具体化に向け、地域で市民の助け合い活動を進めている団体の関係者や四国ブロックの自治体議員、地元の党員・サポーター、市民など約100人と意見を交わした。

 共催する党徳島県連からは仁木博文県連代表、高井美穂県連副代表らが出席。党が次期参院選で徳島県・高知県選挙区の候補として推薦を予定する大西聡弁護士も参加した。

 仁木県連代表は冒頭の主催者あいさつで、「安倍政権のもとで公正な分配が行われず、貧困の連鎖が続き、能力を発揮する機会が奪われ格差が拡大している現状を打破するため、民主党は一人ひとりを大事にし『居場所と出番』を実現する政策をつくっていきたい」などと表明した。

■フォーラム第1部 地域での取り組み報告

 第1部では(1)高知市内で中学生を対象にした学習支援「高知チャレンジ塾」を運営する高知市前教育長の松原和廣氏(2)フードバンクとくしまの川上健太氏(3)放課後等の子どもたちへのデイサービスの取り組みを行う有限会社いずみソーシャルサポートの和泉芳枝氏――の3氏から取り組みの紹介を受けた。

(1)高知市前教育長の松原和廣氏
 松原氏は、高知市の生活保護率が全国平均を上回り、年々その率が高まっているなかで、貧困と子どもたちの学力低下が相関関係にあると指摘。貧困家庭の子どもたちは中学での学習に困難さを感じるケースが多く、市内の中学生の学力の平均が全国平均を下回る状況だと説明した。

 こうした状況を打開するために貧困家庭の子どもたちの学習を支援しようと2011年度に同市の教育委員会と健康福祉部が連携して「高知チャレンジ塾」を開設。退職教員らが週2回、貧困家庭の中学生約70人を集めて高校進学可能な学力をつけることを目標に学習指導を行っている。松原氏は「効果が上がってきた手応えを感じている。子どもたちが夢や希望、自信を持てるような状況を作って行きたい」と話した。

(2)フードバンクとくしまの川上健太氏
 日本で年間500万〜800万トンもの食材が食べられるにもかかわらず捨てられていると見られる状況のなか、川上氏は2015年に特定非営利活動法人としてフードバンクとくしまを立ち上げた。(1)廃棄される食材を貧困状態にある人等に届けることなどを通じた「もったいない」から「ありがとう」への支え合い(2)この活動に引きこもりの若者などに関わってもらうことでの中間就労の場の創造や就労へのサポート(3)生活保護世帯や高齢独身女性、シングルマザー世帯などへのフードバンクを通じた食糧支援や日用品・衣料品の提供などを行うことで行政サービスでもカバーしきれない人たちへの最後のセーフティーネットにつながる活動――等を行っていると説明した。

(3)放課後デイサービスを行う有限会社いずみソーシャルサポートの和泉芳枝氏
 有限会社いずみソーシャルサポートは、「住み慣れた地域、生まれ育った家で暮らし続けたいと望んでいる方々を、人生の最期まで最大限サポートをする」という理念のもと、2000年から訪問介護、居宅介護支援、通所介護事業などを行っている。12年からは児童福祉法に基づき、知的障害、発達障害、精神障害、身体障害のある小学校から高校生までの子どもたちの放課後等のデイサービスも提供。サーファーや元サッカー選手など専門家のサポートを受けてサーフィンやサッカーなどのスポーツに取り組んでいる。「大会などでも結果を残すことで達成感を経験し自信をつけてもらい、子どもたちの『作業記憶』や『作動記憶』といったワーキングメモリやコミュニケーション能力を伸ばすことを実現し、子どもたちをより良い状態に引き上げている」などと和泉氏は話した。

■フォーラム第2部 共生社会の創造を目指して

 第2部では長妻代表代行が党共生社会創造本部が昨年末に中間取りまとめを行った
報告案を説明した。

 このなかで長妻代表代行は、現状分析として、OECD平均を超えて米国に次いで先進国で第2位に位置するほど日本の相対的貧困率が高まり、格差の拡大が止まらないと説明。特に保護者の年収が子どもの進路を左右する状況が深刻化し、
 「格差の壁その1」として「将来の希望を奪う教育格差の壁がある」と述べ、(1)年収400万円以下の世帯では大学進学率3割(2)子ども6人に1人が生活保護世帯並の年収で暮らす貧困状態(3)1人親世帯の半分が貧困状態――といった実態にあると指摘した。

 「格差の壁その2」として「雇用格差の壁」を挙げ、(1)非正規雇用が4割を超える(2)非正規雇用は社内教育が不十分で熟練度・賃金も生涯上がらない(3)非正規社員は正社員と比べ結婚率も半分――という状況が日本中に広がっていると問題視した。

 「格差の壁その3」として「男女格差の壁」に注目し、(1)女性が初めて就く職が非正規である割合が5割(2)管理職に占める女性比率の国際比較で日本は最低レベル(3)女性の年金格差は深刻で、単身高齢女性の約半分は貧困状態――だと指摘した。

 「民主党が問題視するのは個人の能力では乗り越えられない、あきらめと絶望にもつながるこれらの格差だ。この格差の壁が人々の能力の発揮を拒み、社会基盤や経済の潜在力を弱めている。こうした状況にあるにもかかわらず安倍政権では社会の変化に適合した『公正な分配』がなされていない」と長妻本部長は安倍政権の政策を批判した。

 こうした現状分析に基づき、壁を打ち破るための具体的な解決策として長妻代表代行は次の政策課題を挙げた。

教育の格差の壁の打開策
*給付型奨学金
*1人親家庭への支援
*相対的貧困率低下へ向けた具体的目標数値設定のうえでの取り組み

雇用格差の壁の打開策
*厚生年金の適用拡大
*最低賃金の大幅引き上げ
*雇用は「期間の定めのない直接雇用」を原則とするなど「雇用の入口規制」の検討

男女格差の壁の打開策
*同一価値労働同一賃金
*選択的夫婦別姓の実現
*男女間の年金格差の是正
*男性の育児参加の促進

 長妻代表代行は、「『人への投資』を手厚くすることを軸とする『公正な分配』が行われれば、格差の壁が打ち破られ、人々の安心と意欲へとつながり、一人ひとりの能力が発揮され、持続可能な経済成長が実現できる。一人ひとりを大切にする政策こそが日本には不可欠だ」と強調。「民主党は、誰も置き去りにしない支え合う社会、『新しい公共』を確立していく」と訴えた。

 田嶋衆院議員は、視察したデンマークの現状に関して報告。「医療費も教育費も全部無料で、教育費は大学まで無料のほか、保護者のもとを離れて暮らす場合は住居費用も国がまかなう。国民の年収平均は500万円で、1日8時間以上働いてはいけないという規制もある」などと説明し、「デンマークでやっていることをすべて輸入しろとは言わないが北欧諸国の国づくりは深く見ていく必要がある。格差の大きい米国型の国づくりではなく北欧諸国の国々を参考にすることが大事だと思う」と問題提起した。

 これらの報告に続いて、共生社会の創造を目指していくうえで何が必要かについてパネルディスカッションを行った。

 パネリストとして発言した大西弁護士は、「選挙に立候補しようと決意したのは安保法や憲法の問題もあるが、この格差是正の問題が非常に大きな比重を占めている。安倍政権はアベノミクスと称する経済政策を打ち出したが、貧困格差は広まるばかりだ。消費税の増税があり、国民の生活は良くならないなかで、法人税は減税されて300兆円という国民には想像できないような内部留保ができ、国民生活と何ともアンバランスな状況になっている。これは何としても変えなければならない」「非正規雇用の不安定化をさらに進める安倍政権の労働法制改悪を止めなければならない。中長期的に見てこのままでは日本はだめになってしまう」と訴えた。

【ぶらさがり記者会見】

 長妻代表代行はフォーラム終了後に記者団の取材に応じた。

 安倍総理が「同一労働同一賃金」の法制化を検討すると衆院予算委員会で答弁したことに関連し、民主党と自民党の考え方の違いを問われ、長妻代表代行は「そこまで踏み込んだ発言があったことはありがたい。法律案の土俵でお互いに丁々発止議論して、よりいいものにしていきたい。『同一労働同一賃金』つまり同じ仕事なら同じ賃金というだけでは非正規の底上げにはあまりつながりにくいので、『同一価値労働同一賃金』つまり同じ価値の仕事であれば同じ賃金、異なる仕事であっても労働に同じ価値があれば同一賃金とすべきだ。安倍総理に踏み込んでいただいたからには、それをきっかけとしてこちらが後押ししてよりよい方向に持っていく。とっかかりができたということではいいことだ。(安倍内閣が)やらなければ徹底的に追及する」などと述べた。

 JR徳島駅前で同日行った街頭演説で長妻代表代行は、民主党が参院選で推薦を決めた大西聡弁護士について、「立憲主義に反して安倍内閣が強引に成立させた安保法制に危機感を覚えて立候補を決意した人物だ」と紹介。衆院予算委員会での安倍総理との論戦にも言及し、「日本社会のあり方に関して民主党と安倍内閣とでは方向性に大きな隔たりがあると感じた。安倍政権に見られる安保法をはじめ憲法をないがしろにする動き、マスコミへの圧力と取られかねない言動、小中学校で道徳の授業が教科化され、道徳心や愛国心が受験の内申書にも反映される動きなど、政府批判を抑え込もうとする動きがある。かつての戦争のときのように、気が付いたら社会全体が軍国主義一色に染め上げられてしまったような流れは作ってはならない。民主党がその流れを止めていく」と訴えた。

 大西弁護士は、「安倍内閣は発足当初からアベノミクスと称する経済政策を前面に打ち出しているが、景気は良くならずに庶民の暮らしはますます苦しくなるばかりだ。その半面、法人税は減税され、大手企業は300兆円というものすごい額の内部留保を抱えている。企業の利益も大事だが、あまりにもアンバランス。これは変えなければならない。経済成長につながる公平な分配が必要だ」と述べ、民主党とともにその実現に力を尽くす考えを表明した。

 長妻代表代行は同日、フォーラムに先立って開かれた大西聡参院選候補予定者の第1回選挙対策会議にも出席。連合徳島会長らと意見を交わした