日々の活動(旧)

2016年02月07日

2016年2月7日(日)【大分】「一人ひとりが幸せな地域どうつくる」共生社会創造フォーラムを開催

※共生社会創造本部 中間とりまとめ資料

 民主党は、全国10カ所を回る「共生社会創造フォーラム」の第2回を7日、大分市で開いた。約200人の党員・サポーター、市民が参加。元大分大学副学長の椋野美智子氏がコーディネーターを務め、先進的な障害者支援の取り組みを県内で行っている3氏と学生団体の代表らが、党本部から出席した長妻昭代表代行(共生社会創造本部・本部長代行)、フォーラムを共催した党大分県連の足立信也代表(参院議員)と意見を交わした。

 最初に足立議員が「民主党は綱領の中で、私たちの立場、目指すものとして『強くてしなやかな、共に生きる社会を作る』と掲げている。これからの人口減少社会で、私たちが将来作り上げなければならない社会を議論してほしい。そこから得られる成果をこの参院選で、私たちが目指す将来の姿として示したい」とあいさつ。

 コーディネーターの椋野氏は「もともと大分は小藩分立で多様性のある地域。共生社会を作る取り組みをしている4人の方々と国政の場で活動している2人の政治家と、どうやってこれから大分の地でもっと一人ひとりが能力を発揮し、一人ひとりが幸せな地域を作っていくか、いっしょに考えていきたい」と前置きし、4人のパネリストを紹介した。

 身体障害者のための洋服作りをしている服飾デザイナーの鶴丸礼子氏は、これまでの歩みを紹介しながら「身障者の服が作れる人はどんな服でも作れる技術がある。私の着地点は大分県でそういう服を作るための専門学校をつくること。洋服は、からだの痛みは治せないが、前向きに生きるためのカンフル剤になることができる。それを大分に根付かせたい。ライセンスを公的なものにしてこの仕事で自立できる人たちをどんどん作っていきたい」と今後の目標を語った。

 スペシャル・オリンピックス大分の事務局長として、知的障害を持つ人々がスポーツを通じて社会参加や自立を目指す活動に取り組んでいる青柳俊氏は「ただスポーツをすることが目的ではなく、障害者が自分たちのしたい場所でスポーツをして、地域の中で楽しんでいく、そういうことを広めていこうというのが活動の趣旨。障害者権利条約の中に『社会モデル』という考え方がある。障害は個人の問題ではなく、社会のひとりひとりの問題として取り上げて生活する環境を作っていこうというもの。社会が今そういう方向に向かっている」と活動の意義を紹介した。

 大分市の知的障害や精神障害を持つ人たちの生活支援や就労支援を長年行っている社会福祉法人博愛会の釘宮謙悟氏は、昨年4月にオープンした大分県立美術館で運営している「カフェ・シャリテ」の取り組みを紹介。「カフェで出す久住高原サラダに障害者と健常者との共生社会を作る秘密がある」として、野菜生産、カット野菜工場、ドレッシング製造、カフェの厨房、フロアでそれぞれ多くの障害者雇用が生まれる仕組みを説明。「お客さんがたくさん来ていただける魅力的な店を作ることで雇用が生まれ、給料によって地域で生活ができるようになる」と報告した。

 学生団体「大分ナンバーワン学生交流会」代表の安藤達哉氏は「地域活動を4年間大学生活の中でやってきた。その中で、大分を盛り上げるために私たち学生が何をできるのか、学生が大分という地域でどんな働き方ができるのか考えた末に、学生たちが大学内だけでなく地域社会に実際に出ることで、社会人としての仕事をする上での問題点や不安をぶつけることで学びの機会をつくろうと考えた」として大学の授業とも連携して学生の事業化相談などを行っていると活動内容を紹介。交流会に参加しているあしなが学生基金大分事務局の学生も、県内での募金活動の状況を報告した。

 続いて、長妻代表代行が、共生社会創造本部がまとめた中間取りまとめの内容を、スクリーンに資料を映しながら報告。3つの「格差の壁」があるとして、その実態を分析し、その打開策を説明した。(詳しい内容は6日の徳島フォーラム記事をご覧ください)

 後半では壇上のパネリスト全員がこれらの報告をもとにディスカッション。「障害者の優先調達推進制度があるが、ワンストップで行政に相談できる窓口づくりを県や市に進めてほしい」(釘宮氏)、「街頭募金だけでは九州の全ての遺児の奨学金を賄うまではできない。今度どんな政策の可能性があるか」(安藤氏)、「自分らしく生きる手段としてスポーツを使っている。先日、卓球のプログラムが県内でスタートし、(民主党の)小嶋・大分県議がチーフコーチに。特別な経験がなくても誰でも参加できる」(青柳氏)、「洋服を作った私が感動したりする出来事がいっぱいある。社会で理解を示すことも大事だが、当事者自身が、実は障害が特権であり個性であることに気づくきっかけになっている」(鶴丸氏)――などの発言が続いた。

 足立参院議員は、これらの話を受け、「医者の立場から見て、機能的に一人ひとりに合った服を着ることで、欠けたと思われていた機能が戻って来る話をきいた。ならば、スペシャルオリッピックでも競技力が向上する服が考えられるのでは」と提案。さらに「共生社会でなくさなければならないのが『人種の壁』だ。昨年国会でヘイトスピーチ禁止法案を出したが、自民党が相手にしてくれない」と付け加えた。

 最後に椋野氏が「多くの話をいただいた、何かヒントになって、ここから一歩を踏み出していただければ、明日の日本や世界につながっていくと思う」と熱心な議論を締めくくった。