日々の活動(旧)

2016年02月13日

2016年2月13日(土)【兵庫】共生社会創造フォーラムin神戸を開催

※共生本部中間とりまとめ資料

 民主党は、全国11ブロックで開催する「共生社会創造フォーラム」の第4回を13日、兵庫県神戸市で開催。共生社会創造本部の本部長代行の長妻昭代表代行、幹事の田嶋要衆院議員が出席、兵庫県連代表の水岡俊一議員がコーディネーターを務めた。第1部で「共生社会の創造」に向けた地域での取り組み事例についてパネリスト6人が登壇し、その現状と課題を報告。第2部で同本部の中間報告について長妻代表代行が説明し、それを受け第3部で共生社会の創造に向けて意見を交わした。

 一般社団法人・生活困窮者自立支援全国ネットワークの西岡正次さんは、自治体の就労支援や自立支援の全体状況について報告。民主党政権時に法制化され、昨年4月から施行された生活困窮者自立支援制度について、対象を細かく決め込んだ制度になっておらず、具体的なサービスや支援の対象をどうするかなどが自治体委ねられているため、自治体によって取り組み状況に差が出ていると指摘。低所得者層、キャリアがなく求人等に対応できずハローワークを利用できない人が増えるなか、キャリア面での「模索・検討者」を対象に職業紹介等に加え、さまざまな困難に対応した包括的な個別支援による自立就労支援、企業等の支援を一体化し進める取り組みを紹介した。自治体担当者による継続した個別支援とともに、企業等への支援も含めた定着支援や就労継続支援を行うなかでキャリアを開いていけるチャンスをつくることができると強調する一方で、このキャリアを開いていくための現場をつくるような組織や力、権能を与えられた経験のない生活保護制度の担当者がこの制度を担当する自治体では、小さな生活困窮者支援にとどまってしまうと問題提起した。

 特定非営利活動法人・ワーク・ライフ・コンサルタントの藤島一篤さんは、「若年層と非正規雇用」「女性と非正規雇用」「中高年者と非正規雇用」とそれぞれ厳しい現状について説明し、今後さらなる増加が懸念される背景として、ブラック企業による非正規労働化や正規雇用への転換ができない仕組みと意識、性別役割分業意識の固着、シングルマザー等の仕事と育児の両立困難、中高齢男性の介護離職などを指摘。未来に向けて、ワーク・ライフ・バランス企業の増加や男女ともに家庭生活を担える社会の形成、非正規から正規雇用への転換促進、無業者・非正規雇用者への高度キャリア形成支援、同一価値労働同一賃金の実現、公契約条例の制定・施行を提案した。

 特定非営利活動法人・多文化共生センター大阪の理事の山本千恵さん、現場スタッフの小野杏奈さんは、多文化共生社会の創造に向けた活動をするなかでの、日本で暮らす外国人を取り巻く状況の変化や世界から見た日本の言語学習制度の大きな遅れ、外国にルーツを持つ子どもたちの状況と必要な支援について報告。子どもたちへの支援では、成績の改善や不安感の解消が見られることや学習支援教室を利用した子ども全員が高校進学したことなど確実に成果は出るとする一方、課題としてそのための人材と運営資金が慢性的に不足している実態を指摘し、地域全体で子供を見守る仕組みの必要性を訴えた。

 NPO法人・女性と子供支援センター「ウィメンズネット・こうべ」代表理事の正井禮子さんは、電話相談からセミナーの開催、シェルターの開設や就労準備支援など、DVに苦しむ女性や子どもの支援の取り組み状況について報告。高卒資格がないために安定した仕事や希望職種に就けない女性が少なくないことから、DV被害女性やシングルマザー、若年無業女性等を対象に保育付きで学習支援を行ったり、若い世代へ向けたデートDV防止授業にも取り組んでいるという。公的な財政支援は少なく、苦しい財政状況のなかでボランティアの熱意と意欲で運営しているため、若い人材を雇用できず、世代交代も難しく、心が折れてしまいかねないと窮状を訴え、DVに苦しむ女性や子どもの最後の砦となっているこうした取り組みへの理解と支援を求めた。

 奨学金問題と学費を考える兵庫の会の佐野修吉さんは、電話相談や出前講座などを中心に活動内容について報告。「現在の奨学金制度は、奨学金を借りて大学に進学することは失敗すれば一生借金地獄という、人生を賭けたギャンブルになっており、若者が蝕まれる社会になっている」と問題視。2013年4月以降、猶予が5年から10年に延長されたものの、5年猶予適用者はあと3年で期限切れとなることから3年後には返済できない人があふれる可能性があるとして、延滞金の廃止や猶予制度の柔軟な運用など制度改善の必要性を訴えた。「高等教育の受益者は社会全体であり、無償化に踏み込まなければいけない」とも主張、世界の常識である給付型奨学金の実現を要望した。

 大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合「エル・チャレンジ」理事長の冨田一幸さんは、障害者雇用を進める大阪府の総合入札条例の組みについて報告。「働くことに困難を抱えた人」のための「働き始める職場(中間就労)」を、自治体がゼロ・コストで創出する試みとして、大阪府が2003年から公共のビルメンテナンス市場に導入した、「価格」「技術」に加え「公共性」を評価項目に入れることで障害者や母子家庭の雇用を後押しする「総合評価一般競争入札」を紹介し、これまで大阪府や大阪市などからビル清掃等の清掃業務を受託し、仕事を通じた実践的訓練を行い、これまで600人以上の訓練生を就労に導いてきたと話した。

 第3部の意見交換では、長妻本部長代行による「中間取りまとめ」の報告を受け、パネリストらからは、DVや外国人についての記載の明記や「民間の力の活用」「最低賃金1000円の実現」「同一価値労働同一賃金の推進」を求める声、移民政策について「単に労働力の補完という側面からではない、移民とともにこれからの日本をどうつくるかというビジョンを示してほしい」といった声が上がった。長妻本部長代行は、最終的な取りまとめに向けこうした意見を検討していく考えを示した。

 フォーラムでは、田嶋衆院議員が昨年末のデンマーク視察についても報告した。