日々の活動(旧)

2012年07月05日

3党合意の意味 社会保障先送り批判に反論 〜社会保障と消費税増税〜

今回、私は、自民党と公明党と3党との、社会保障法案と消費税増税法案の修正協議を担当しました。結果としては、自民党も公明党も修正の上、法案に賛成することとなりました。
今回の修正協議は、社会保障先送りとの批判もありますが、誤解に基づくものも多いため、ご説明申し上げます。
まず、今回の修正協議の対象となった法案は、衆議院特別委員会で審議中の法案7本(消費税法案2本と社会保障法案5本)と新法1本でした。
修正協議は、社会保障チーム(民主党は細川・長妻両衆議院議員)と、消費税チーム(民主党は藤井・古本両衆議院議員)とに分かれて、自民党と公明党と話し合いを始めました。両チームの統括役となったのが、民主党では前原政調会長でした。
社会保障チームでは、衆議院特別委員会で審議中の社会保障法案5法案(年金の下支え2法案と子育て支援3法案)と自民党から提起された新法である社会保障制度改革基本法(以下、基本法という)の合計6法案を協議しました。
当初、自民党からは、基本法の丸飲みが交渉の前提だと強く要求されました。しかし、基本法を丸のみしたならば、民主党の掲げる年金制度改革(最低保障年金+全年金の一元化)や高齢者医療制度改革(後期高齢者医療制度を廃止して国保を都道府県で実施)を断念しなければなりません。そうなれば、制度改革は止まってしまいます。基本法には年金制度や高齢者医療制度については「現行制度を基本として」という条文があったのです。
長時間の交渉の結果、自民党は、基本法を丸のみしなくても良い、基本法を修正する、と方針転換がありました。結果として、「現行制度を基本として」という文言は削除されて、年金制度は国民会議で1年以内に議論して結論を出すこととし、高齢者医療制度も必要に応じて国民会議で議論して結論を出すこととしたわけです。

政局抜きで社会保障を議論する国民会議

民主党の新しい年金制度は、前回の衆議院選挙のマニフェストでも来年、国会に法案を提出すると書かれていますので、国会議員も入った国民会議(20人以内で構成され、首相が任命する)で、野党の理解も得られる案を決めて参ります。
年金制度は国家100年の計に当たる、長期的な制度です。政権交代の度に制度が変わっていては、最も迷惑するのは国民の皆様です。政権交代が可能な政治体制になったからには、主要野党と年金制度は合意をしなければなりません。
さらに現実には、参議院がねじれ国会の中では、野党の協力と合意が無くては法案は一本も成立しません。このような厳しい現実の中で、政局抜きで与野党で年金制度を議論できる土俵ができたことは、ありがたいことと考えています。
国会議員も入り、有識者とともに社会保障制度を決める会議体の必要性については、政権交代後の有識者会議でも社会保障諮問会議という名前で提言されているものであります。政権交代後、ながつま昭も厚生労働大臣時代から、野党に年金制度の協議を呼び掛けて参りました。
今回、民主党が、自民党案では有識者だけで構成される国民会議に、国会議員も入れるように提言してそれが実現できたものです。
そして、もう一つの協議は、衆議院特別委員会で審議中の社会保障5法案を対象としたものでした。この5法案は、年金関係が2法案、子育て支援関係が3法案です。
結論をいえば、当初の案の骨格は維持したまま修正をして3党で合意できました。法案は参議院でも成立の見込みとなりました。

年金の格差を是正する合意

3党で合意した具体的内容を申し上げます。
まず、年金については、

?基礎年金(国民年金、厚生年金の一階建て部分)の半額を税金で補助する対策を恒久化する。
?低所得かつ低年金の現在の受給者約500万人に年金額を上乗せする。
?低所得の現在の障害年金受給者(障害者対象)約180万人に年金額を上乗せする。
?年金の受給資格を保険料払い込み期間を延べ25年から10年に短縮することで、現在の無年金者17万人が新たに受給できるようにする。
?これまで厚生年金や企業健保に加入できなかった非正規雇用者25万人が加入できるようにする。
?民間に比べて優遇されていた公務員の共済年金を厚生年金と一本化して、公務員の特権を無くす。
?産休期間中の厚生年金・健康保険料の負担を労使双方ともに免除する。
?遺族基礎年金の支給を母子家庭だけでなく、父子家庭にも拡大する。

高所得の年金受給者の年金を削減する項目だけは今後の検討課題となりましたが、それ以外は修正の上、合意できました。これらは、消費税が上がると同時に実施する所得格差、官民格差、非正規格差を是正する年金格差対策です。

幼稚園と保育所を内閣府一本で所管

子育て支援については、ガラガラの幼稚園と満員の保育所を一体にして、待機児童を減らすことが主眼の新法である「総合子ども園法案」をはじめ3法案が審議されていました。自民党と公明党の主張にも配慮し、現在ある「認定子ども園法」の改正という形で決着しました。当初の民主党の狙いであった、幼稚園と保育所の認可や財源の一本化が達成できるため決断しました。
これまでは、幼稚園の認可は文部科学省、財源も文部科学省の私学助成、保育所の認可は厚生労働省、財源も厚生労働省の補助金、と別れていました。今回初めて、幼稚園と保育所の認可も財源も内閣府一本で、取り扱うこととなり、同じ建物で幼稚園を保育所が一体で運営できるようになります。
さらに格差対策としては、今年すでに成立している法案として、低所得の国保加入者400万人の保険料を軽減する対策も消費増税と同時に実施することとなっています。

24時間訪問介護・看護サービス開始

医療・介護については、診療報酬や介護報酬を今年4月からさらに上げて、下支えを強化しました。また同時に24時間の訪問介護・看護サービスもスタートしました。自宅で深夜でも介護や看護が受けられる体制です。ヨーロッパからは10年遅れですが、遅ればせながら今後、充実を図って参ります。
消費税を5%上げさせていただいた場合の使い道は、1%が社会保障の充実、1%が基礎年金の半額を税金で補助するため、3%がこれまで借金で実施していた社会保障を消費税で実施するため、です。
以上が、社会保障と消費税の法案や政策の現状です。社会保障の先送りといわれないようにさらに、前に進めて参ります。

行革と成長戦略もさらに前へ

そして、同時に忘れてはならないのは、より一層の行政改革と経済成長戦略の実施です。政権交代後3年間の新規財源ねん出は20.7兆円ですが、マニフェストの3年間の目標は32.9兆円であり、まだ6割の達成です。これからも手綱を緩めずに取り組んで参ります。
強い強い危機感を持って民主党の改革にも取り組んで参ります。

『ながつま昭を応援する会通信 2012年7月5日号』記事