日々の活動(旧)

2013年11月12日

社会保障プログラム法代表質問

 ようやく国会が始まりましたが、巨大与党が誕生し、衆議院と参議院の多数派が同じ政権党となり、ねじれが解消したことで、国会運営は残念ながら、与党ペースで進んでいます。
 審議時間がほとんどなく(ひどい場合は一日以下)、論点が整理されることもなく、重要法案がどんどん衆議院を通過する懸念があります。ねじれ国会の時は、世間から迅速に物事が決められない、というパターン化した批判を多く受けましたが、法律の成立は、本当に早ければ早い方が良いのでしょうか。
 私たちの生活に重大な影響を及ぼす法律については、時間をかけて審議して、問題点を明らかにして、修正をするなど丁寧な国会審議となるよう、野党の立場で取り組んで参ります。
 11月1日(金曜日)に、衆議院本会議場で民主党の目指す社会像の一端を示しながら、社会保障プログラム法について代表質問をしました。以下に目指す社会像の部分だけ抜き書きします。今後、重要なのは、私たちが目指すべき社会像を明確にして、発信し続けることだと考えます。ご意見をいただければ幸いです。
 また、私は、ツイッターやフェイスブックでの発信にも力を入れています。是非、ながつま昭ホームページからご覧ください。

平成25年11月1日衆議院本会議 長妻昭代表質問後半抜粋

 二つの保障、安全保障と社会保障は国家の礎です。安倍内閣は安全保障に比べ、社会保障を軽視しているようですが、社会保障や人への投資である格差是正策は、決して経済成長のお荷物でなく、むしろ結果として経済成長の基盤を作るものです。

 確かに社会保障は国の税金だけで年間1兆円ずつ増加しており、野放図に伸ばすわけにはいきません。しかし、社会保障を乱暴に切ると、かえってつけが国の財政に回ってきます。

 一例をあげます。介護の要支援の方々を介護保険の枠外にし、受け皿の無いままに地方移管するなど乱暴な削減が、プログラム法から垣間見えます。しかし、民主党の強い要請で、政府が初めて明らかにしたように、介護保険全体で8割もの方が一次判定で軽いものも含めて、認知症となっています。
 
 要支援といわれる分類の方も半分が認知症でした。介護保険サービスを受けている人のうち、要支援者は2割90万人もいらっしゃいます。
 乱暴に、介護を切ると、予防効果が薄れ、かえって重い介護度に進んでしまいかねません。

 介護するために職を辞めざるを得ない介護離職は現在、年間10万人もおり、年々増加の傾向にあります。団塊の世代全員が75歳以上になる2025年に向かって介護離職が急増しかねません。

 例えば、大手商社、丸紅の社内アンケートによると2011年時点で40代、50代で介護をしている社員が11%、しかし、2016年には84%が介護をする可能性があると回答しています。

 現在、働きながら介護をしている人は291万人で、介護をしている人557万人の半分以上が職を持っています。

 介護を乱暴に切って、第一線で働く人の介護離職が増えれば、短期的に介護財政は助かっても、安倍総理のおっしゃる成長戦略には大きなマイナスです。いかがお考えですか。

 負担増をお願いする際にも丁寧な議論と手法が必要です。
 余裕のある人が、そうでない人を支える、この考え方は、現役だけで高齢者を支えきれない今、必要です。

 しかし、本当に余裕のある人は誰なのか。この深い議論が政府に欠けています。単純に収入や資産だけで判断するのでなく、その人が持ち家か、賃貸か、扶養者はいるのかどうか、本人の健康状態など、いくつかの条件を勘案する必要があるのではないでしょうか。いかがお考えですか。
 
 また、国民負担率を乱暴に抑えると、かえって国民全体の負担は上がってしまう、という事実にも目配りするべきです。
 
 国民負担率は、税と保険料の国民所得に対する割合であり、これを乱暴に抑えれば、かえって窓口負担や自己負担、家族の負担等の全体の国民負担が増加して、格差が拡大しかねません。どうお考えですか。お答えください。

 そもそも日本のような国民負担率という概念は海外では一般的ではありません。社会保障給付費に自己負担が入っていないというのも、国民に誤解を与えます。
 
 政府は、社会保障削減方針に関しては、どの指標を目標としているのですか。かつては、財政赤字を含む潜在的国民負担率を50%を超えないとしていましたが、今後、給付費のGDP比を抑えようとしているのか、国民負担率を抑えようとしているのか、どのような指標に基づく基本方針を持っているのですか。お尋ねします。

 本来は、自己負担や家族の負担、介護離職、育児のための離職であるM字カーブ問題なども含めた金に換算できない国民全体の負担率を考えるべきではないでしょうか。いかがですか。

 日本が弱い分野で、最も力をいれなければならないのが、医療介護の予防です。
予防を徹底させれば、社会保障全体の供給量が抑制され、国民の本当の負担も抑えられます。特に、田村厚労大臣が立案した医療介護の予防による2025年5兆円削減プランの内容と意気込みをお聞かせください。
 
 最後に、今、深刻なのは、格差の拡大だと考えます。
 世界の格差・貧困問題が、テロの温床を広げ、日本の格差・貧困問題が、社会を不安定化して、経済成長の基盤も損ないつつある、と考えます。
 格差を示すジニ係数も悪化し、相対的貧困率は先進国で米国に次いで2番目に高くなりました。

 特に子供の格差が深刻です。現在、生活保護を受ける子ども4人に一人が大人になっても生活保護から抜けられません。新しい貧困層とでもいう階層が出来つつあります。

 親の年収による学歴格差についても、年収400万円以下では大学進学3割、年収1000万年以上であれば大学進学6割です。非正規雇用者も2000万人となり、正社員との結婚格差も2.5倍まで広がりました。
 
 我々は、格差が小さく、すべての人に居場所と出番のある社会、共に生きる社会を目指していますが、今の政府は、どのような社会を目指しているのか、明確ではありません。特に、日本の格差の深刻さについては、どのような認識をお持ちですか。
 
 地縁、血縁、社縁が薄れ、孤立化が進む今、地域になじみのある中学校の学区ごとに、医療、介護、保育、教育、町会、ボランティアなどが連携して、見守りのネットワーク、つまり、新しい地縁を、下から目線で、作る必要があると考えます。現在の地域包括ケアを拡充する概念です。いかがお考えですか。
 
 デフレ脱却は最重要課題であることは間違いありませんが、安倍内閣は、バブルを生み出す超金融緩和、短期的利益志向、雇用の規制緩和などアメリカ型資本主義をまっしぐらに、なぞっているように見えます。

 意図したか、意図せざるかは別にして、内閣支持率が株価と連動した内閣となり、株価維持を重視する、安倍総理は、証券会社の部長のようなマインドになっているのではないでしょうか。

 日本が目指す、日本型資本主義は、バブルや格差を拡大させるアメリカ型というよりも、GDPに現れない価値を重視し、長期的利益や安定雇用を目指すヨーロッパ型資本主義を参考にするべきではないでしょうか。

 バブルを起こさない成長を志向し、所得再分配や安心提供による消費拡大を狙うボトムアップ型の経済再生を目指すべきです。日本は死ぬときに一番貯金を持っている国で、老後の不安が消費を抑制しています。また、所得再分配政策が消費を喚起するのは、低所得者ほど所得を消費に回す、限界消費性向が高いからです。

 政府・与党は、安倍総理が目指す「世界一企業が活躍しやすい国」の先にある、高齢者人口が最大になる30年後を見据えた、社会像をお示し願いたい。30年後に向けて、政府は、どんな社会を目指すのですか、お答えください。

 それぞれの政党が、あるべき社会像を提言・議論し、競い合うことが国益に、かなうことだと考えます。

 我々、民主党は、その議論をリードして、目指すべき社会像、少子高齢社会に対応する日本モデルを確立するべく取り組んで参ります。ありがとうございました。

『ながつま昭を応援する会通信 2013年11月12日号』記事