日々の活動(旧)

2015年01月29日

代表代行として初の定例会見をしました

■冒頭発言

〇定例記者会見について

【代表代行】
このたび代表代行になりまして、定例の木曜日に会見をさせていただくことになりました長妻でございます。代表代行が2人おりますので、隔週
交代で会見をさせていただきます。

〇本日の予算委員会での質疑について

【代表代行】
本日午前中に予算委員会で、光栄なことにトップバッターとして質疑をさせていただきました。「格差」の問題、「戦後70年」の安倍総理の認識の問題、そしてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用の問題などを質問させていただきました。
私が感じましたのは、特に戦後の認識の問題で、(村山談話にある)「国策を誤り」という箇所について、国策を誤ったのか誤っていないのか、何度聞いてもお答えにならない。これはびっくりいたしまして、非常に深刻だと思いました。
格差の問題についても、格差を是正する必要性はおっしゃいますけれども、多くの項目のうちの一つが格差の是正と、そんなような非常に矮小化
された認識しか持っておられないのではないかということも感じまして、これも大変深刻であると感じました。

〇共生社会創造本部について

【代表代行】
「共生社会創造本部」、民主党が目指す社会像を明確にする、この本部について今役員の選定をしておりまして、正式には来週には第1回目を開
けるのではないかと。看板を掛けることもやらせていただこうと思っておりますので、そのような段取りで今考えております。

■質疑

〇格差問題への対応について

【読売新聞・須藤記者】
今日の予算委員会の質問の中で、最初に格差問題を取り上げた狙いはどのようなところにあるか。

【代表代行】
私自身は、格差ということが国際的にもわが国の中においても、最大の問題の一つだと思っておりまして、格差が拡大していることで成長の基盤がぼろぼろになりつつある、成長の基盤が揺るがされているという強い問題意識を持っております。
その意味でその意識をぜひ共有してほしいということで、総理に丁寧に、国会図書館の(職員に)OECD(経済開発協力機構)のレポートも読み上げてもらい説明してもらった上で質問させていただいて、願わくは安倍総理に「格差是正」ということ、適切な分配がなければ持続的な成長はできないのだと、このことを強く持っていただくことを狙ったのですが、なかなか総理の腹に落ちたとは思えないわけであります。これは粘り強く総理を説得し切るくらいの質疑を今後とも心がけていきたいと思います。

【日本経済新聞・朝田記者】
今日の質問でトマ・ピケティ氏の著書の内容を取り上げられて、総理も「1945年以降、日本は格差の顕著な拡大は見られない」というようなピケティ氏の著書の内容を引用しての反論をされていた。総理のピケティ氏の主張への理解をどう評価されるか。それと、ピケティ氏の言葉を取り上げられた狙いを改めて伺いたい。

【代表代行】
私は、「ピケティ教授がくしくも来日されている」という枕言葉で申し上げただけでありまして、質問はしていなかったのですが、総理からピケティ氏(の著書の内容)にかなり踏み込んだ言及があって、今おっしゃったことに加えて、「格差の拡大はあるけれども、ピケティ氏は成長を否定していない」と強調されていました。私もピケティ氏は別に「成長は悪だ」とか、そういうことをおっしゃっているとは思っていないので、あえて聞いていないことをおっしゃったことに非常に、過剰反応と言ったらいいかどうかわかりませんが、そういうことを感じました。
やはり今、世界的な論調があるのは、成長は重要だけれども、ただ成長、自然体でいくと、やはり資本による収益のほうが労働による収益・蓄積を上回るわけで、どんどん格差が拡大していく。そして社会が不安定になって、教育の機会等々、貧困層の能力の発揮が損なわれて、結局は成長の足を引っ張ってしまうのだと。こういう論調が、ポール・クルーグマン氏もジョセフ・スティグリッツ氏も、IMFも、S&P(Standard & Poor?s)も、OECDも、論調が出ていると思っております。
何か総理は、何度質問しても誤解されているのがもどかしいのですが、我々は「成長するな」と、それ(成長)を否定しているわけでは勿論ありません。格差を論とする人たちについて非常な誤解が総理にあるのではないかというのが懸念材料です。もうちょっと格差について有識者、周りの方々を集めた研究会なども時間がある時に官邸等でやっていただくとありがたいと思っております。

〇GPIFの年金積立金運用比率変更について

【IWJ・佐々木記者】
代表代行の質問主意書に対して政府は、運用の株式投資比率を格段に高めたことで想定される(最大)損失額については(変更前の)2倍になるとの答弁書を閣議決定している。仮にリーマンショック(時の経済状況)を当てはめると損失は26.2兆円、当時の(実際の損失額の)3倍になると。国民の年金資産をハイリスクな投資につぎ込みながら、政府は運用実績や利回り確保を強調するばかりで、仮に損失が出た場合の運用責任について「法定上は厚労大臣にある」とするばかりで明言を避けている。万が一損失が出た場合の責任の所在について代行の見解を伺いたい。

【代表代行】
これは私自身は、今日あまり時間はなかったのですが、非常に深い憤りを持って質問したつもりです。株(株式への投資比率)を、これまで25%だったものを50%に引き上げる、倍に引き上げたわけです。そうした時に国民の皆様方に、こういうリスクがあります、ということを真摯に説明する義務が政府にはあると思っておりますが、今日は一切そういう説明がない。しかも、先ほどおっしゃったような「Value at risk(最大損失額)」という、95%の確率で生み出されるであろう損失額についても、私がしつこく質問主意書で聞いて初めて出てきた。あるいは仮にリーマンショックが起こった時に、新しいポートフォリオだと幾ら損失が出るかということも、私がしつこく質問主意書を出して初めて
渋々出てきた。リスクに対して説明する姿勢が非常に薄い。しかも、今日の質疑でもおわかりのように、「下振れリスク」というようなリスクの概念を持ち出して、株に100%投資したほうが国内債券100%よりもリスクは低いと。こういう一般の方から見るとおかしなリスク基準を持ち出して説明して、「株に半分投資したけれども、リスクは下がったのだ」と、こういう一方的な説明をしていることについて大変誠意を疑うということです。
責任はどう考えるのかということですが、私は政府のリスクに対する責任、説明が非常に不十分な責任は追及したいと思いますが、しかし現実は株で損失が出て、仮に保険料が上がる、あるいは税金で補填する等々の措置が出た時には、おそらく政府の責任者は、数年後でしょうから(現在の)総理も厚労大臣もおられなくて、責任は誰もとらない。結局は国民の皆さんが責任をとらされる。こうなることを私は大変恐れておりますので、私どもが国民の皆さんに成りかわって問題点をこれからも追及していくことで、おかしなことができるだけ起こらないように監視をしていきたいと思います。

〇戦後70年の談話について

【テレビ朝日・小池記者】
代表選の時に長妻さんは、政府が出すよりも先に民主党としての談話を出すことも考えるべきだとおっしゃっていたが、代表代行という今の立場でどのように考えていらっしゃるか。また、今日の予算委員会で総理は、談話について国会の中で議論することに関して否定的な見解を示していたが、これについても考えを伺いたい。

【代表代行】
代表選の時に戦後70年の談話について確かにおっしゃったようことを私は意見として申し上げました。その時に岡田克也代表は、談話を出すというよりも、安倍総理が出される談話をきちっとしたものにするように国会等々で努力して取り組んでいく、そんな趣旨のお話をされたと思います。代表選の結果として岡田代表となったわけでありますので、これは私も大変関心の深いところでありますが、まだ岡田代表とはこの件で代表になった後お話をしておりませんので。
いずれにしても、実は毎年民主党として8月15日に談話というかコメントを出しているのです。それは同じように出すと思いますが、その規模とかやり方などについては、いろいろ意見交換をしていきたいと。基本的には代表の意向を尊重するということです。
それと、私が今日聞いたポイントの一つをおっしゃっていただいたのは、実は集団的自衛権の時も同じようなことを民主党は主張したのです。国会できちっと議論を重ねた上で閣議決定するのであればと。国民的議論をした上でということ。しかし、それを無視して、国会での議論もほとんどなく集団的自衛権を閣議決定した。今回も私は同じような不安を覚えていまして、8月15日に有識者で議論したものがパッと表に出て、「これです」というようになるのはよくないと思うわけであります。
確かに内閣が決める談話という性質ですが、戦後70年というのは戦争が「経験」から「歴史」に変わる節目であって、非常に特別な時だと思います。一内閣というよりは国民的議論・国会的議論をきちっとした上で総理として、これは一内閣ではなくて日本の将来にもかかわる大変大きな問題だと思います。そういうつもりで質問をしましたが、総理は非常にそっけない答弁でした。今日のやりとりで私はまたまた総理に対して非常に大きな危惧を持ったわけです。今後とも同僚を含めて、国会あるいはいろいろな場所で、国民的議論をきちっとした上でそういう談話を出す必要があるのではないかということは主張し続けていきたいと思います。

【時事通信・石垣記者】
総理の今日の答弁では、「戦禍を繰り返さないことが最大の教訓だ」という発言もあった。先ほど代行は「深刻に受け止めている」とおっしゃったが、どういうふうに深刻に受け止めているのか、もう少しお話しいただきたい。

【代表代行】
総理は常に、(歴代の)談話を「全体として引き継ぐ」という言い方をしておられると思います。であれば、「全体として」というのは骨格を引き継がれると普通は思うわけでありますが、まず、その入り口である「村山談話」にある「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り」という文言のところ、国策を誤ったのかどうかという入り口の基本認識のところではっきりとおっしゃらないということは、談話全体を引き継ぐということにはならない可能性が高いのではないのかという意味で危惧を持ったと。日本が戦後積み上げてきた、サンフランシスコ講和条約から独立して国際社会の中でわが国が歩んできた積み重ねでこういう談話が出ていると承知しておりますので、そういう意味から言ってもこれらの積み重ねを覆すのではないかという懸念を持ったということです。

〇「共生社会創造本部」について

【共同通信・小野塚記者】
来月から始めるということだが、どういうテーマから始めて、どういうスケジュール感で、どういう形のものを出していきたいか、進め方、回し方について伺いたい。

【代表代行】
まず進め方については、初めは有識者の方々からいろいろヒアリングをすることを全議員対象にしていく。あるいは有識者抜きで全議員の方から、それぞれの議員の思いをお伺いしていく。こういうことを積み重ねていくことだと思います。そして最終的にはアベノミクスに対抗する「オカダノミクス」――と言ったら語弊があるかどうかわかりませんが、ちょっと狭い概念ですが、「オカダノミクス」に加えてもうちょっと広い社会像、これは社会保障・経済のみならず、教育や社会のあり方も含めた社会像をきちっと提示していく。その社会像は絵そら事ではなくて、ちゃんと実現可能な政策を積み上げて、あるいは財源の一定程度の背景もある中でそれを打ち出す。基本的には中間取りまとめは、来年の夏に参議院選挙がありますので、それを目指していく。その時にはそういうイメージをご提示して、国民の皆様にもお見せできるような中間取りまとめが望ましいと思っております。

【NHK・渡辺記者】
今後、民主党としてこれをどういうふうに位置づけていくか。

【代表代行】
これは非常に重要な本部で、岡田代表自らが本部長でもあります。そういう意味では中長期の民主党が目指す社会像を具体的に詰めていく、民
主党の背骨を作る本部だと承知しております。民主党はご存じのように綱領を作りまして、そこに「共生社会を目指す」とあります。そこに書いてあるのは非常に概念的なものでありますので、ある意味ではそれを具現化するというような、綱領に連なる非常に重要な仕事であると、そのような位置づけです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
これは代表選後の民主党の一丁目一番地ということでいいのか。それから長妻さんは代表選で、格差の広がりが行き着くところまで行き着いている、これは喫緊の問題であるという訴えかけをして、それは新鮮だった。来年の夏までに共生社会創造本部でビジョンを作っていろいろやるということと、あの時に訴えていた喫緊の問題をどう解決していくかということとはどういうつながりになるか。

【代表代行】
これは我々、政治の反省として、中長期の本当に骨太の社会像をこれまできちっと作ってきたのかどうかという、私個人はそういう反省がありますので、今回、腰を落ちつけて、来年の夏に、最終報告ではなくて中間報告と申し上げたのですが、最終報告はもう少し時間をかけてじっくり練り
上げることが必要だと私は思います。
ただ、おっしゃったように喫緊の課題、格差の拡大、これについても今日、予算委員会で私も具体的に子どもの貧困、介護、あるいは非正規(雇用)の問題等々予算が少ない、この部分がほころびがあることを指摘しましたし、山井和則議員も今の喫緊の課題を指摘しております。そういう意味ではその喫緊の課題、今そこにある格差、行き過ぎた格差を緊急的に是正しなければいけない。こういう問題については政調と連動しながら国会論戦、各委員会に回ってくるわけでございますし、私自身も厚生労働委員会のメンバーでございますので、そういうところで具体的に指摘していくということであります。
ただ、全体の本当に格差を是正する社会像を作り上げるには、私は最終的には政権交代をして、我々が政権の中枢に入って社会像を作り上げるこ
とで完結すると思っておりますので、そういう中長期の視野を持った策定をこの本部でする。そういう役割分担であると私自身考えております。
そういう意味では本当にどんどんどんどん、具体的な格差問題についてはあらゆる委員会で、政調にも協力をいただいて是正するようなこともあわ
せて取り組んでいきたいと思います。

〇シリアにおける邦人人質事案について

【毎日新聞・村尾記者】
今日、維新の江田代表が会見で、「イスラム国」の対応に関連して、安倍総理は与野党党首を呼んでしっかりした説明をするのが筋ではないか、国が一致して対応しないといけない時には与野党を越えて総理が説明することも大事ではないか、とおっしゃった。社民党の吉田党首も先日の会見で同様の趣旨のことをおっしゃった。こういった考えについてどうお考えになるか。

【代表代行】
これは今かなり緊迫している時ですので、一義的にはやはり政府がご判断をされることだと思います。野党に声をかける、かけないも含めて。
今日、午前中に新たな情報も出たやに聞いておりますし、一秒一秒、非常に緊迫した時間が今推移していると承知していますので、そういう意味で
は今は人命救助に政府は全力を尽くしていただきたいと私は考えます。