国会質疑

2012年05月17日

「社会保障と消費税の一体改革」審議入り初日の代表質問 〜強い危機感を持って政治を前に進めます〜

5月8日(火)に「社会保障と消費税の一体改革」の審議が、野田総理大臣の参加の下、衆議院本会議場で始まりました。その初日の最初の質問に私が立ちました。初日のテーマは2015年の消費税アップと同時に実行する年金2法案でした。
この年金2法案は、?低所得者で低年金の受給者約500万人に年金を上乗せ支給する最低保障機能の強化、?これまで延べ25年間、年金保険料を支払わなければ受給できないものを最低10年間支払えば受給できるようにすること、?公務員年金と厚生年金を一本にして公務員の優遇を無くすこと、などを内容としています。
この質問の中に、私の考える社会保障の基本的考え方と現状認識がありますので、今回は、質問と答弁を一問一答形式に再構成して、その概要をご報告申し上げます。さらに強い強い危機感を持って政治を前に進めて参ります。

新しい社会システム:少子高齢社会の日本モデル

○長妻昭
日本社会が激変しています。1億総中流は、もはや過去のものとなりました。日本は、このままでは、2050年前後に人口1億人を切ります。急激な人口減少社会となります。2005年から人口減少に転じ、現在、一日当たり344人の人口が減っております。
15歳から64歳の生産年齢人口、いわゆる現役世代も、2010年の8173万人から、50年後の2060年には4418万人となり、半減します。支え手が激減し、肩車社会と言われる、現役一人が65歳以上の高齢者約一人を支える時代となったとき、現在の社会システムや働き方のままでは現役世代は潰れてしまいます。

20年後には男性3人に一人は生涯未婚

現在、日本では、100歳以上の方は4万8000人いらっしゃいます。平均余命で見ると、現在50歳の方は、男性81.5歳、女性87.6歳まで寿命があります。人生90年時代に社会システムが十分対応できておりません。
地縁、血縁、社縁が薄れ、孤立化も進展をしております。現在のまま推移すると、20年後には、男性の3人に一人は生涯結婚をいたしません。家族が当たり前でない時代がやってまいります。2010年には、ひとり暮らし世帯が3割を超え、最も多い世帯となり、これまで最も多かった家族連れ世帯は3割を切りました。現在、離婚は3組に1組で、このままでは、20年後には子供のいる世帯のうち3世帯に1世帯は一人親になる見込みです。
格差も拡大をしております。所得の格差を示す指標の一つである相対的貧困率は、OECDが統計をとり始めた1985年に日本は12%だったものが、最新統計の2009年では16%に上昇し、G7では米国に次いで高い国となっています。

正社員と非正規雇用者の結婚格差

非正規雇用が被用者の中で4割近くまで上昇し、厚生労働省の調査では、6年以内の結婚率も倍、正規雇用者の方が高いという結婚格差を示す結果も出ています。
少子高齢化のみならず、孤立、格差が日本社会に重くのしかかっています。
社会保障は、現時点でも既に年間給付費が百兆円を超えました。サービス水準を現行のままでも、高齢者の増加に伴って、国の税金だけで毎年約1兆円ずつ支出がふえていくという自然増という重荷も背負っております。
日本の中位数年齢は45歳で、先進国で最も高齢です。熟年国家日本として、さらに強く押し寄せるグローバリゼーションの波と相まった社会の激変に対応するためには、あらゆる社会システムを大きく変革する必要があります。先進国最速で少子高齢社会が進む日本が、世界の手本にもなる持続可能な新しい社会システム、少子高齢社会の日本モデルを打ち立てることが必要です。
残念ながら、日本はこれまで、少子化対策は先進国の中でも後手後手に回っていました。政権交代後、保育サービスの定員を毎年5万人ずつふやす5カ年計画や、中学生までの手当創設などを始めました。これら少子化対策については、後日の趣旨説明質疑に譲ります。

「共助倍増」と「起業倍増」がポイント

新しい日本モデルでは、地域におおむね中学校区単位で、新しい地縁とでもいうべきネットワークをつくり、行政メニューを住民が選び、参加も可能とする、いわゆる共助倍増や、社会的起業も含めた徹底したベンチャー支援を進める、業を起こす起業倍増もポイントとなると考えます。
政府はどのような社会システムの変革を目指していますか。野田総理より御説明を願います。

○(答弁)野田総理大臣
まずは、少子高齢社会の日本モデルについてのお尋ねがございました。
世界最速の超高齢化に対応した新たな社会保障制度に変えていくため、一体改革では、全世代対応型の社会保障制度としていくことや、地域での医療、介護、子育てなどの支援を充実していくことを大きな柱にしています。
具体的には、医療、介護、生活や住まいの支援などが一体的に提供される地域包括ケアシステムを、おおむね人口1万人程度の中学校区を単位として実現し、介護や医療が必要となっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを続けることができるようにすることとしています。
さらに、NPOなど社会的企業については、地域の身近な問題に市民の目線で取り組むという強みを生かし、子育て支援、障害者福祉、介護や貧困、格差対策など多様な分野で大きな役割を果たしていただくとともに、こうした社会的企業自体が地域における新たな雇用の担い手になっていただくことを期待しています。
このため、多様な主体が参入できる仕組みとするなど、今後とも、新しい公共の考え方に立って、NPOなどと協働した社会保障施策を推進し、少子高齢化時代における新たな社会システムを構築していきたいと考えております。

社会保障改革の3つの狙い

○長妻昭
EUは、ことし2012年をアクティブエージング元年として、高齢化社会への対応を見直し、若者が高齢者を支えるという従来型から脱し、ともに支え合う社会へのパラダイムシフトを目指すとしています。日本でも同様の文脈に、今回の社会保障と税の一体改革は位置づけられます。
社会保障と税の一体改革における一連の社会保障改革は3つの狙いがあると考えております。
一つは子育て支援を初めとする人生前半の社会保障、もう一つは格差是正、最後に中学校区ごとに見守りの新しい地縁を構築する在宅福祉の強化です。この3つごと、それぞれに、今回の社会保障改革の内容を小宮山大臣より御説明願います。

○(答弁)小宮山厚生労働大臣
今回の社会保障改革の内容についてですが、現在、社会保障制度を取り巻く社会経済情勢は、少子高齢化といった人口構成の大きな変化、非正規労働者の増大など雇用基盤の変化、家族形態、地域基盤の変化など、大きな変化が生じています。また、毎年1兆円規模の社会保障の自然増が不可避となっている中で、給付に見合った負担を確保できていない状況です。
今回の社会保障改革では、まず、子供や子育てへの支援を強化するなど人生前半の社会保障を手厚くすること、年金の低所得者への加算や国民健康保険の保険料軽減の拡充など社会保険制度の低所得者対策の強化、就労促進や生活支援戦略の策定に取り組み、分厚い中間層の復活を目指すこと、できる限り住みなれた地域で在宅を基本とした生活の継続を目指す地域包括ケアシステムの構築に取り組むことなど、社会保障の充実や安定化を図ることにしています。
こうした改革を進め、高齢化が一層進んだ社会でも、より受益感覚が得られ、納得感のある社会保障を実現していきたいと考えています。

なぜ、格差是正が必要か

○長妻昭
今回議題となっている年金2法案は、年金格差是正法とでも呼ぶべき内容です。格差対策は日本にとって大きな課題です。米国、中国を初めとする主要国も格差の拡大を国家のリスク要因として捉えるようになっており、格差を一定以内に抑えることが社会全体のリスクとコストを下げるという実証研究も発表されております。
例えば、イギリスで研究結果の書籍がベストセラーになった、疫学者であるリチャード・ウィルキンソン氏の格差研究では、格差拡大と犯罪増加、子供の学力低下、精神疾患増加などは相関関係があるとされています。
私は、民主党政権は、格差対策は社会全体の利益になるという考えのもと、格差対策に正面から取り組んでいる政権であると自負をしております。

社会保障は経済成長の基盤を創る

これまで社会保障は経済成長のお荷物であり、経済成長と社会保障は、一方を重視すれば他方が犠牲になるトレードオフの関係にあるとの考え方もありました。しかし、私は、適正な社会保障の整備は、むしろ経済成長の基盤をつくるものであると考えております。
この考え方に対する野田総理の御所見をお伺いします。

○(答弁)野田総理大臣
社会保障と経済成長の関係についての御質問をいただきました。
長妻議員御指摘のとおり、社会保障の充実と安定化を図り、全世代を通じた国民生活の安心を確保する今回の一体改革を通じて、社会保障が需要、供給両面で経済成長に寄与していくことが期待されます。
具体的には、医療、介護、保育サービスの充実により、大きな潜在需要に応えていくことで雇用が創出されるとともに、社会保障の充実、制度の持続性確保により、老後の安心が確保されて過剰貯蓄が消費に回るなど、経済活動を拡大させることができ、さらに、ライフイノベーションを通じて健康分野を成長産業として位置づけることで、経済成長に結びつくといった効果が見込まれるところであります。

政権交代後の社会保障の実績

○長妻昭
政権交代後の社会保障の具体的実績について、小宮山大臣にお伺いをいたします。
政権交代後、社会保障でもマニフェストが実現できていない部分があり、次期総選挙前にきちっと総括をして、国民の皆様に謝罪すべきところは謝罪しなければなりません。
ただ、これまでの実績については説明をする必要があります。
例えば、医療崩壊を食いとめ、非正規雇用者、推計221万人を雇用保険に加入させ、最低賃金を大幅に増加させ、年金記録を1274万人回復し、生涯額で1.6兆円の年金を取り戻し、母子加算、父子手当を実現したなどなどです。
これらも含む実績について、わかりやすく説明を願います。

○(答弁)小宮山厚生労働大臣
政権交代後の社会保障の実績ですが、この政権では、政権交代後、国民の生活が第一という基本理念のもと、社会保障の充実に取り組んできました。
具体的には、政権交代後、社会保障費の毎年2200億円削減は行わず、自然増も含め必要な社会保障費を確保しています。診療報酬のプラス改定を実現するとともに、医学部定員をふやすなど医療従事者の確保に取り組んでいます。年金記録の訂正により、少なくとも総額およそ1.6兆円の年金を回復しています。また、雇用保険の適用範囲を、6カ月以上雇用見込みから31日以上雇用見込みへ拡大しています。最低賃金については、新成長戦略で掲げた目標に向けて、着実な引き上げに取り組んでいます。このように、着実に実績を上げてきています。
今後は、社会保障・税一体改革に政府を挙げて取り組み、社会経済情勢の変化に対応した全世代対応型の社会保障を構築するとともに、制度の持続可能性を確保していきます。

3つの老後格差を是正する年金2法案

○長妻昭
今回の議題となっている年金2法案は、3つの老後格差を是正するものであります。3つの老後格差とは、所得格差、官民格差、非正規格差です。
生活保護受給者に占める60歳以上の比率は高まり、2006年には初めて半数を超え、2009年には87万人となり、この10年間で倍増いたしました。生活保護受給者の急激な高齢化です。
年金受給年齢に達する65歳以上の生活保護受給者を見ると、無年金者が37万人、年金受給者32万人です。
これは、年金の最低保障機能が弱く、無年金者や低年金者など大きな年金格差が存在することも要因であると考えますが、小宮山大臣の御所見をお伺いします。
また、本法案にある3つの老後格差を是正するポイントを、3つの格差それぞれごとに小宮山大臣より説明願います。

○(答弁)小宮山厚生労働大臣
生活保護受給者の高齢化の要因と、御指摘の3つの老後格差の是正についてですが、生活保護受給者のうち60歳以上の高齢者の占める割合は、平成21年でおよそ52%、受給者の数はおよそ87万人となっています。10年前と比較すると、その数は2倍に増加しています。このような高齢の生活保護受給者の増加の要因はさまざまあると考えられますが、高齢化の進展に加え、御指摘のように、無年金者や低年金者の増加もその要因の一つであると考えられます。
御指摘の3つの老後格差について、今回の年金2法案では、まず一つ目の所得格差に関しては、無年金者・低年金者対策として、受給資格期間の短縮と低所得者への加算を行うとともに、高所得者の年金額の調整を行うことによって、年金制度の最低保障機能を高め、また、高齢世代内と世代間での公平を図ることにしています。
次に、官民格差に関しては、公務員も私立学校の教職員も厚生年金に加入し、同じ保険料で同じ給付にそろえていく被用者年金制度の一元化を実現することにしています。
さらに、非正規格差に関しては、労働時間が週20時間以上で一定の条件を満たす短時間労働者に厚生年金の適用を拡大することで、被用者としての年金、医療保険の対象にして、セーフティーネットの拡充を図ることにしています。
このように、年金2法案では、御指摘の3つの老後格差を是正するための措置を講じています。

最低保障年金と年金一元化について

○長妻昭
私は、年金の最低保障機能を強化しなければ、将来、高齢者の生活保護受給者が急増するのではないかとの強い危機感を持っております。生活保護は、職についていただき、自立を促す制度であるため、新しい職につくのが困難な高齢者は、本来は、年金でしっかり支えることが重要であります。
総合研究開発機構の調査によると、現在35歳から44歳である就職氷河期世代が65歳になると、10年前の世代より生活保護を受ける人が77万人ふえ、その世代が亡くなるまでに受ける生活保護費は最大19.3兆円必要になるとあります。
最低保障機能の強化を狙いとする民主党の新しい年金制度についてお尋ねをいたします。
最低月額七万円を保障する最低保障年金創設、どんな職業についても変わらない一つの年金制度を実現する年金の一元化、それぞれの実現についての野田総理の決意と、今回の議題となっている法案との関係についてお聞かせください。

○(答弁)野田総理大臣
新しい年金制度への決意と年金2法案との関係についての御質問をいただきました。
新しい年金制度は、我が国の人口構成や産業構造が大きく変化する中で、現行制度が抱える課題に対応するため、全ての者が同じ年金制度に加入する所得比例年金を創設し、制度を一元化するとともに、消費税を財源とする最低保障年金を創設し、高齢期に少なくともこれ以上は受給できるという年金額を明示することで、国民が高齢期の生活設計を立てられるようにすることなどを提案しているものです。
また、新たな制度の創設までに一定の時間を要することや、制度発足後も当分の間は現行制度からも年金が支給されることになるため、年金制度の目指す方向性に沿って、できる限り早期に現行制度の改善を図るべく、所要の法案を提出いたしました。
今回の法案では、働き方やライフコースの選択に影響を与えないような制度とする観点から、短時間労働者への厚生年金の適用拡大や被用者年金制度の一元化などの対策を、また、ひとり暮らしや低所得の高齢者の増加に対応して年金の最低保障機能を強化する観点から、低所得者への年金額加算や受給資格期間の短縮などの対策を、さらに、国民から信頼され、財政的にも安定した制度とする観点から、基礎年金国庫負担2分の1の恒久化をそれぞれ講じることにしています。
政府としては、まず、これらの法案の早期成立のために全力を尽くすとともに、新しい年金制度に関する法案を平成25年に提出することを目指し、党とともに検討を深めてまいります。

政局抜きで年金の与野党協議を

○長妻昭
日本国民が惨めな老後を過ごさないためにも、今後の年金のあり方や年金財政の検証方法を与野党で協議することの必要性は、多くの国民や議員も共有することだと考えております。年金制度改革をなし遂げたスウェーデンでは、超党派の年金協議会を設置して、途中、政権交代を経て、7年かかって法案を成立させました。
日本でも、政権交代可能な政治体制ができた以上、政局抜きで、与野党の年金協議会を設置して、年金財政の検証方法も含めた議論を進め、合意を図っていかなければなりません。政権交代のたびに年金制度が変わることは許されないからです。これまでも野党の皆様にお願いしてまいりましたが、実現には至っておりません。この協議会設置について野田総理の御所見をお聞かせください。
年金は、国家百年の計であります。日本国民の生き方にも、日本の経済にも大きな影響を与える年金百年の計を与野党でしっかりと協議しなければなりません。改めて、野党の皆様に年金の協議を強く強くお願い申し上げます。

○(答弁)野田総理大臣
与野党の年金協議会についてのお尋ねがございました。
長妻議員御指摘のとおり、年金制度は、長期にわたり多くの国民の生活にかかわる制度であり、政権交代のたびに変更されるべきものではありません。国民的な合意、与野党の多数の合意を得て、制度をどのようなものにしていくのかを決めていくことが不可欠であります。
したがって、現行の年金制度の改善と新しい年金制度の創設の双方について与野党が議論していく中で、国民が信頼できる持続可能な年金制度を確立していくべきと考えております。
年金協議会という御提案も一方策かと思いますが、与野党による議論の場をどのようにしていくかを含め、国民の立場に立って、ぜひ野党の皆さんに協議に応じていただくよう、重ねてお願いをいたします。

行政改革の実績

○長妻昭
最後に、行政改革について岡田大臣にお尋ねいたします。
消費増税を国民にお願いするには徹底した行革が必要です。政権交代後に始めた独立行政法人の役員公募によって、国家公務員OBが189人から45人に減少しました。独法数を102から65に減らす法案も提出予定です。また、政権交代後、国家公務員人件費は平年度約5千億円が削減され、これでまずは人件費1割削減となりました。ことし3月には、公共事業の特別会計を廃止する法案を国会に提出しています。
これらの事実関係の確認と、このほか、行政改革全般について具体的進捗を数字などでお示しください。
また、政権交代後、事業仕分けや埋蔵金等によって幾らの新規財源が生み出せたのか、新規財源と、新規財源をフローとストックそれぞれに分けて金額をお教えください。
今後とも、政府・与党一体となって行革を進めてまいります。

○(答弁)岡田副総理大臣
行政改革の進捗状況についてお尋ねがありました。
本年1月に、政府一体となって総合的かつ強力に改革を実行するために、行政改革実行本部を内閣に設置したところであります。また今般、行政改革に関する重要課題を大所高所から御議論いただくため、行政改革に関する懇談会を設け、昨日、その第1回会合を開催したところです。
具体的な進捗について申し上げます。

独立行政法人の改革

まず、独立行政法人については、その大胆な統廃合により、法人数を委員御指摘のように102法人から65法人へと4割弱削減するなど、制度、組織の抜本的な見直しを進めることについて閣議決定し、今国会での法案提出に向け、作業を行っているところです。
また、これまでに約2兆円の不要資産が国庫納付されたほか、国からの財政支出も、独立行政法人に対して、政権交代前と比較して約1割削減、すなわち21年度3兆4000億円を24年度3兆1000億円としたところであります。
さらに、独法等の役員人事については、公務員OBポストの後任者を任命する場合には公募を行うこととした結果、役員についている公務員OBの人数は、自民党政権時代189人から現在45人に大幅に減少したところであります。

公務員人件費、まずは年5000億円1割カット実現

公務員人件費の削減につきましては、国の業務のスリム化等による定員純減、あるいは人事院勧告に基づく給与改定などを着実に進めてきたことに加え、国家公務員給与の平均7.8%削減を内容とする法案が成立したことで、委員御指摘のように、5000億円以上、約1割の削減となっているところです。また、総人件費削減の一環として、平成25年度の国家公務員の新規採用者数について、21年度比で56%減という厳しい抑制を実施することとしたところであります。

公共事業の特別会計を廃止

特別会計改革については、特別会計数を17会計から11会計、勘定数を51から26とする特別会計改革の基本方針を本年1月に閣議決定するとともに、社会資本整備事業特別会計の廃止や、租税収入は一般会計に計上して国全体の財政状況の総覧性を向上させることなどを基本理念とする特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を本年3月に国会に提出したところであります。
このように、政権交代以降、さまざまな見直しを進めてまいりました。しかし、行政改革の取り組みはまだ道半ばであり、社会保障と税の一体改革とあわせて車の両輪として強力に進めていかなければなりません。引き続き、政府一体となって行政改革に全力で取り組んでまいります。

約8兆円歳出削減、21兆円の税外収入

財源確保の状況についてのお尋ねがございました。
政権交代以降、例えば24年度予算で確保した恒久財源については、歳出削減について、事業仕分け等の結果なども活用し、対21年度比で2.9兆円程度、税制改革について1.1兆円程度、税外収入については3.7兆円程度となっております。また、22年度、23年度、24年度の3年間の合計で見ますと、対21年度比で、歳出削減については7.8兆円程度、税制改正については3.3兆円程度、税外収入については21.5兆円程度となっているところでございます。

結びに

○長妻昭
国、地方合わせて借金は1000兆円を超えました。2012年度予算では、国の利払いだけで10兆円になります。世界に類を見ない借金を続けている、より重い責任は政権与党にあります。政権交代前は自公政権に、政権交代後は我が民主党政権にです。お互いに、この大きな責任を分かち合うためにも、一丸となって、少子、高齢、格差、孤立という、歴史的な激変に対応できる社会システムを構築しなければなりません。
何とぞ皆様の御協力を伏してお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)

『ながつま昭を応援する会通信 2012年5月17日号』記事