国会質疑

2014年11月05日

2014年11月5日(水)  「生涯派遣労働」を解禁する派遣法改正案は撤回を

 本日、ながつま昭は、衆院厚生労働委員会で、民主党の1番手として質問に立ち、与党公明党からも修正案が提示された政府案を撤回し再提出すべきだと強く求めました。
 本日の委員会開催は、法案の撤回・再提出を求める野党側に対し自民党の渡辺委員長が職権で決めたものです。法案は10月31日に委員会審議に入る予定だったところ、当日朝の理事会で与党の公明党が修正案を提示したため野党側が「政府案は欠陥法案だ」と反発、再提出すべきだと抗議し流会となった経緯があります。公明党は修正案を撤回しました。
ながつま昭は、公明党が修正案を提出したことについて、「閣法(内閣提出法案)について修正案を出すということは、閣法では不十分、あるいは補足したいという思いで出されたと思う。そのような法案であればもう一回じっくりと議論し、閣法をもっとしっかり作って国会に提出するのが筋だ」と主張。修正案の骨子には、改正案には書かれていない「臨時的かつ一時的なものである」という派遣の原則を書くべきだとあることから、「書き込まないとまずいという意識があって出されているのではないか。不完全な法律を議会で質問しろと言われても、不完全なものを成立させてしまうことになりかねない。非常に不可解だ」と述べました。
 また、ながつま昭は、厚労省のアンケートでも、派遣社員が派遣という働き方を選んだ理由として「正社員として働きたいが職が見つからなかった」との回答が一番多数を占めているとしたうえで、正社員と比べてセクハラやパワハラが多いこと、産休・育休の取得が困難なことなど派遣労働者の厳しい雇用実態をあらためて指摘。製造業で働く派遣労働者の1千人当たりの事故率、労働災害が4.8と全労働者の2.8の約2倍であることや、安全衛生教育を受講していない派遣労働者が44パーセントと臨時・日雇い労働者の35パーセント、パート・アルバイトの32パーセントと比べて多いことも取り上げ(ともに厚労省調査)、派遣労働者への安全教育を軽視する派遣先の姿勢を問題視し、「公明党もそこの問題に気づいたのではないか。もう一度閣議決定やりなすべきではないか」と重ねて訴えたが、塩崎厚労大臣は「政府としては閣議決定をし、ベストのものだと法案を提出した」などと強弁しました。
 ながつま昭は、ヨーロッパでは派遣労働は「臨時的・一時的」が原則であることを伝えた上で、今回の改正案は、個々の努力で正社員になることはあっても法律的な仕立てとして「生涯派遣労働者」という働き方を解禁するものだと指摘ました。これに対し塩崎厚労大臣は「派遣で働いている人全体のなかで無期雇用になっている人、期間制限がかからない人は17%だと聞いている。一生派遣というが、派遣元の方で長期的な観点からこういう方々にもキャリアアップの義務はかかっている。そこから先はそれぞれの方の選択がある。基本的には一時的・臨時的な働き方、使い方という認識は変わらない」などの答弁に終始しました。ながつま昭は「法律が通れば無期雇用の派遣労働者は急増する。法案のメリット、デメリットを事実として認めて議論しなければ国民の皆さんに誤解を与える」と指摘しました。
 また、ながつま昭は、今回の改正案は、内閣府の規制改革会議の提言にもあった、EU並みの均等待遇とセットで改正すべき、との趣旨の提言も無視した内容だと指摘。改正案は「派遣労働者の均衡待遇の確保」のための取り組みを強化するとしているものの、規制会議での提言にあるような歯止めにはならず、一生派遣を解禁するものだ。均等待遇に是正する考えはないか」と迫りました。塩崎厚労大臣は、「同一労働をしていれば同一賃金が保証される仕組みをつくっていくことは重要な考え方だと承知しているが、それぞれの国の報酬のあり方が違う。職能給が一般的な日本では同一労働同一賃金をストレートに導入することは難しい」などと答え、同一労働同一賃金には消極的な姿勢を示しました。