国会質疑

2014年04月25日

2014年4月25日(金) 年間359人が認知症で行方不明になり死亡 初期の認知症予防を強化せよ

 ※配布資料はこちら
 本日、ながつま昭は、厚生労働委員会で質疑に立ちました。
 現在審議している医療・介護総合推進法案では、従来、介護保険の予防給付でサービスを受けることができる要支援1,2の方の訪問介護と通所介護が、介護保険給付からはずされて、地方自治体が担う地域支援事業に移管されます。
 従来の介護給付では、訪問介護は、ホームヘルパーなど専門職でなければ認められなかったものが、新しい地域支援事業では、介護給付でなく自治体の事業との位置づけとなり、業務の多くをボランティアなどが担っていくことが予想されます。
 要支援1の43%、要支援2の53%が軽い認知症ですので、今後、ボランティアの方が認知症の方をケアすることが増えることが考えられます。認知症は初期段階の対応が大事です。認知症になっていない方へのケアも含めて、広い意味での認知症予防が必要となります。専門的知識のないボランティアの方にケアを委ねても、専門的な知識を持った介護専門職と同じレベルのケアができるか疑問です。ホームヘルパー(初任者研修旧2級)でも130時間の研修を受けてから現場に出ています。
 「要支援の方は重い認知症がいないからボランティアでも大丈夫」という考えは間違っています。要支援の段階で重い認知症にならないように認知症予防をすることが効果的です。本法案が通れば、結局、認知症の方が増え、家庭や社会、財政の負担がかえって重くなる可能性があります。
 また、介護の担当者が急きょ来られない時に、介護事業所が担っていれば、交代要員を見つけることができますが、ボランティアだと交代要員がいない、といった事態になる懸念もあります。
 ながつま昭の質問に対して、田村厚労大臣からこれらの懸念を払しょくする明確な回答はありませんでした。
 また、ながつま昭の質問で、認知症が原因で行方不明になった方の詳細が明らかになりました。
 警察庁によると、認知症が原因で行方不明になったとの届け出が、2012年に9607人分あり、死亡者が359人に上ることが明らかになりました。このうち、231人は2012年中に発見できず、2013年に入ってからでも53人しか見つかっていません。
 2012年に認知症が原因で行方不明になり死亡が確認された人数を都道府県別にみると、最も多いのは大阪府26人、次に愛知県19人、鹿児島県17人と続きます。
 ながつま昭は、今後の認知症対策のため、認知症が原因で行方不明者となった方のうち、特に死亡者359人について、「介護保険の適用の有無」「介護度」「行方不明になったのは自宅からか、施設からか」などについて分析することを要請。田村厚労大臣は、警察庁からデータの提供を受けて分析するとの趣旨の答弁をしました。
 2025年になると団塊の世代がすべて75歳以上になります。75歳以上になると認知症が増えていくため、今まで以上に認知症が社会問題となりかねません。独立行政法人長寿医療センターの「コグニサイズ」など、認知症予防に効果のある取り組みは数多くあります。効果のある取り組みを全国展開する必要があります。政府・与党が進めている法案では認知症予防が後退しかねないと懸念しています。これまで以上に認知症予防政策を強化すべきです。これこそが介護離職の増加を抑え、社会の負担や財政の負担を抑える国家戦略だと訴えました。