2014年05月28日
2014年5月28日(水) 70年前の反省に立って謙虚な議論すべき
※動画 ※パネル ※資料
衆院予算委員会で28日に開かれた集団的自衛権等に関する集中審議で、民主党質疑者3番手のながつま昭は(1)集団的自衛権の解禁をなぜ正式な憲法改正手続きに訴えないのか(2)「消えた年金」問題で残り2097万件の未統合記録にどう取り組むか(3)最大400万人という違法な年金・健保未加入の解消にどう取り組むか――を安倍総理らにただした。
集団的自衛権問題で、ながつま昭は「素朴な質問だが、先日、憲法改正手続きの改正法案が衆院で可決、参院でも来月には成立の見込みで、戦後初めて改正の手続きが全部調うにもかかわらず、正式な憲法改正の手続きをしない理由は何か」と質問。これに対して安倍総理は「安全保障環境が大きく変化している。わが国をわが国だけで守ることはできない。私は国民の暮らしを守る責任を負っている。事例で説明したように近隣国で紛争が起こって逃げてこようとする邦人が乗った船を自衛隊が守れなくていいのか」などと質問とは無関係な答弁に終始。ながつま昭は「閣議決定というのは、はっきり言えば物理的には5分くらいでできる。そういう軽い形で日本の戦後の大きな考え方を変えていいのかということを私は聞いている。与党の議論は、つい70年前にわが国は国家存亡の危機になるような戦争があって、アジアの皆さん方にも多大な損害を与えた、国策を誤ったという経験があるわけで、二度とこういうことがないとは言えないという謙虚な気持ちを持ちながら、PKOも含めて一つ一つその都度議論して、世界の理解も得ながら1歩1歩進んできたものを、一足飛びに網を広げて、あとは政治が判断するからいいんだと。これは70年前の反省に立って1歩1歩進めるという発想とはほど遠い」と安倍政権や与党の謙虚さを欠いた議論の姿勢を批判した。
年金記録問題では、今年3月に6億枚の紙台帳とコンピュータ記録の全件照合が終わったが、なお2097万件の記録が統合されずに未解明となっていることについて強い危機感を表明。「これまでに1370万人の記録、生涯年金額で2.1兆円が回復した。この2097万件、インターネットで自由に検索するとか、金融機関に呼びかけてPRして検索を促進するとか、いろいろ策はあると思うが、それ以外は能動的に働きかけることはもうしないのか」と今後の取り組み方策を尋ねた。田村厚生労働大臣は「年金ネットによる突合で国民の協力をいただいて記録を回復していく。これ自体かなり成果が上がっていて、22万件検索されて2万件の記録回復につながっている。年金相談の記録をデータベース化している社会保険事務所もあるので、それを調べることも考えている。回復するために膨大な費用をかけるわけにはいかないが、費用対効果あるものは検討していきたい」などと答えた。これに対して、ながつま昭は「費用対効果を全否定するわけではないが、これは何か新規事業をやっているのではなくて、自民党政権の時の不手際だ。第1次安倍内閣の時に『最後の1人に至るまで徹底的にチェックをし、そしてすべてお支払いする』と何度も大見得を切って約束した」などと述べて政府が引き続き積極的な方策を講じるよう求めたが、安倍総理や田村厚生労働大臣からは前向きな答弁はなかった。
会社で働いていながら厚生年金や会社の健保に加入させてもらえずに国民年金や国民健康保険に加入している人々が推計で最大400万人いる問題では、毎年23万企業を訪問調査して3万5千人は適法状態に是正されているという政府の説明に対して「これでは是正に114年かかる」と指摘。自営業者が中心のはずの国民年金第1号被保険者に被用者が35.9%いるという厚生労働省の調査結果を示し、この国民年金第1号被保険者をサンプル調査して、違法な厚生年金未加入状態に置かれている人がどれくらいいるかをまず把握すべきだと提案した。「安倍総理は『世界で一番企業が活躍しやすい国、日本』ということで、法人税減税などいろいろ優遇しているが、それは法律を企業が守るというのが前提だ。法律を守らない企業に勤める労働者が将来無年金、低年金になって、結局生活保護が増えて国も負担が増えるし本人も不幸になる。ぜひ鋭意調査していくと答弁してほしい」と最後に安倍総理に迫ったが、総理からは答弁はなかった。