国会質疑

2014年08月04日

2014年8月4日(月) 危険ドラック撲滅のために法改正の検討を

 衆院厚生労働委員会で14日午後、危険ドラッグに関する閉会中審査が開かれ、民主党の1番手として、ながつま昭が質疑に立ちました。ながつま昭は自身の選挙区での光景を例に挙げ、「駅前で危険ドラック撲滅キャンペーンを訴えているそのすぐ近くにドラッグを販売している店がある。この状況を変えないといけない」と問題提起し、「当局は懸命に取り組んでいるが、『ヒト・モノ・カネ』が圧倒的に不足している。加えて、現行法の範囲内での対策では限界がある。法改正も視野に入れた検討が必要」と、質問に当たっての基本的な考え方を説明しました。
 ながつま昭は、危険ドラッグを使用して人身事故を起こした事案のうち、規制されていない薬物が検出された事件がどれぐらいあるのかを尋ねました。警察庁によると、2014年上半期では検挙事件数19事件(うち死亡事故3件)のうち、未規制薬物だけが検出されたのは14事件(死亡事故3件を含む)、13年では検挙事件数23事件のうち、未規制薬物だけが検出された事件は17事件で、いずれもその比率は74%になります。また危険ドラック使用者による交通事故数全体でみても未規制薬物の使用が7割を超えており、危険ドラッグを放置することが社会全体に極めて危険であるという事実が明らかになりました。
 また、ながつま昭が薬事法違反で検挙した危険ドラッグ事件の起訴率について尋ねたところ、警察庁は「13年は検挙37人に対し起訴は7人で、起訴率は18.9%」と回答。覚せい剤では80.1%、大麻では52.4%の起訴率があるのに比べ、極めて低い数字となっています。警察庁はその理由について「薬物事件では被疑者が『違法薬物である』と認識していることが必要だが、被疑者が認識を否定した場合に不起訴とされた事例もある」と説明。これに対し、ながつま昭は「やはり法律の限界があるのではないか」と指摘し、法律の未整備が危険ドラッグの蔓延に歯止めを掛けられない一因であるとの見方を示しました。
 このような事実を明らかにした上で、ながつま昭は田村厚生労働大臣に対し、「インターネット上で販売されている危険ドラッグをどう取り締まるのか」と質問しました。田村厚労大臣は「サイトの管理者に削除依頼をするなどの対応をしているが、権限として削除させることはできず、お願いベースだ」と答弁。ながつま昭が「お願いベースではなく、法律の改正をして対応することが必要ではないか」と重ねて質問すると、田村厚労大臣は「危険ドラッグは物質の特定ができない。特定せずに規制しようとすると、あらゆる物質が規制対象となり何も販売できなくなる」と述べ、法改正による危険ドラックの規制は難しいとする見方を示しました。これに対し、ながつま昭は、「現行の薬事法での規制対象は『指定薬物の疑いがある物品』となっているが、かなり蓋然性(がいぜんせい)がないと規制できない。これを『指定薬物と同等程度に精神に影響を及ぼす疑いがある物品』というように広げるのも一つのアイディアではないか」と提案しました。しかし田村厚労大臣は「現在でも薬事法に則って現場の判断で検査命令を出している」と述べ、あくまで法改正には消極的な姿勢に終始した。ながつま昭は「指定薬物はリスト化されたものだ。そのためリスト以外の薬物には広げられないのでは」と指摘し、アメリカでは暫定指定という手法が取られていることなども紹介して、あらためて法改正の検討を要請しました。あわせて、警察や麻薬取締部の人員不足、低予算で対策を打たなければならない現状に対し、「これは国民の危機管理だ」と述べて予算の増額を要請しました。