2015年12月11日
2015年12月11日(金)代表代行記者会見
ながつま昭の代表代行記者会見の模様です。
○共生社会創造本部で「中間取りまとめ案」を了承
【代表代行】
まず、昨日、共生社会創造本部の総会を開催し、中間取りまとめ素案をご了解いただきました。これにNC(「次の内閣」)大臣等々からのご意見を反映させたものを、今月22日の「次の内閣」で了解いただいたら、来年から全国を回ってご意見をいただいて、最終版を作り上げていこうと思います。
この中間取りまとめ素案のタイトルは、「能力の発揮を阻む格差の壁を打ち破り、支え合う力を育む」。格差の小さい先進国のモデル国家を目指すということであり、モデル国家を目指して、共生社会を実現する。人への投資で、幸福のための成長を実現する。人への投資による公正な分配、格差是正によって、能力の発揮を阻む格差の壁を打ち破って、一人一人の能力の発揮、そして支え合う力を増して分厚い中間層を復活させる。そして、(民主党)綱領にもあります、一人一人の幸福のための持続可能な経済成長、これを結果として実現していくというものです。
○社会保障と税の一体改革について
【代表代行】
もう1点は、お配りした資料ですが、これは2012年4月に内閣官房・政府が国民の皆さんにマイナンバーの有用性・必要性を説いたチラシです。そのいの一番に、なぜマイナンバーが必要なのか、国民の皆さんに大きなメリットがありますと、きめ細やかな社会保険給付を実現できますと、総合合算制度の導入を挙げています。「医療・介護・保育・障害に関する自己負担の合計額に、上限を設定する『総合合算制度(仮称)』の導入」、これによって低所得の方がお困りにならないというのが大きな意義だと。
これは我々だけが言っているのではなくて、安倍政権になってからも、私、あるいは柚木道義議員が厚労委員会で質問して、田村厚労大臣(当時)も、総合合算制度は我々と同じようなスケジュール感でなるべく早く進めていく、そういう趣旨の答弁をされている。
そしてもう一つ、このマイナンバーは給付付き税額控除をやる。これも低所得者対策、消費税の逆進性対策、このために必要なんだと説明しています。今、政府が言っている複数税率は別にマイナンバーとは関係ない。
ですから私は、この総合合算制度や給付付き税額控除をやらないのであれば、国民のためのマイナンバーの意味がなくなってしまうと思う。役所のためのマイナンバー、役所が便利になるためのマイナンバーであれば、導入する意義が薄くなる。
我々が強調したいのは、マイナンバーを入れるのは、国民の利便性が高まる、国民にメリットがあるからでした。(マイナンバーの導入には)手間も運営費で税金もかかる。あるいは漏洩のリスクもある。ただ、それを超えるメリットが国民の皆さんにはあるからお願いすると。
そもそも、私も大臣の時に官邸で、今でも覚えておりますが、マイナンバーの議論があり、私は医療情報については絶対にひも付けはしないでほしいと強く申し上げた記憶がありますが、そういうことについても大きなクエスチョンが出てくるような今の政府の対応ではないかと思います。
いろいろな学者の先生が試算をしておりますが、やはり給付付き税額控除、我々は「消費税戻し給付」と呼んでおりますが、これを、低所得者の方を中心にピンポイントで的確に導入すると相当低い財源で逆進性がフラットになる、こういう試算をしている学者の先生方もおられる。
私は、今回の、総合合算制度をなくして複数税率を入れるということは、相対的貧困率、つまり格差が拡大する、今の社会問題に逆行するようなことになりかねないと思います。
新聞を見ておりますと、複数税率の金額が相当上積みになっているのではないか。例えば昨日の朝日新聞の朝刊を見て驚きましたが、見出しは『軽減税率、対象拡大で自公合意』。その中に、政府高官は「公明に協力してもらわなければ、選挙でどれだけ負けるのか。政権安定のためにどうするか考えるのが政治だ」と。もろ、選挙のために税金を使うというような趣旨の話をされておられる。また、今日の産経新聞でも、見出しは「軽減税率 暗闘の舞台裏」ですが、自民党の二階代議士が、周囲に「公明党への選挙協力費として、財源の上積みは避けられない」と語り出すと。あるいは自民党幹部は「たった数千億円で自公の関係がガタガタしては良くない」と周囲に漏らし始めた。あるいは財務省幹部は「10%増税を見送られるくらいなら1兆円は安い」と。
これはもう言うまでもなく、ワンショットの金ではなくて、今後、例えば消費税が中長期で10%以上に上がる時も、「軽減税率やめた」ということにはならない。後世・末代まで税の穴があいて、かえって、必要な税に穴があくということは、消費税率はどんどん、もっと上げなければならなくなることにつながる。子々孫々、末代までの非常に大きな失政の始まりであると言わざるを得ません。
こういうことを言うと、「民主党は、じゃあ低所得者にどうするのだ」と。これは先ほど申し上げた給付付き税額控除であり、そこも強調しておきたい。
今回の税制大綱もそうですが、安倍総理は「成長と分配の好循環」とおっしゃっていますが、どこが分配の好循環なのかと、今回の税制大綱を見て強く思う。わが党は分離課税の金融所得について、20%から先進国並みの25%に上げると、税制調査会でも議論して決定している。中長期では累進性強化、格差是正の税制を我々は目指していますが、相当、逆行をした今の政府の方針ではないかと強く申し上げたい。
■質疑
○共生社会創造本部の中間取りまとめ案について
【記者】
例えば日本に住む外国人に対する社会統合の推進とか、そういった日本に住む外国人に対して何かしら対策や方針が書かれていたら伺いたい。
【代表代行】
我々、多様性ということを申し上げており、今回のペーパーには直接個々の政策は入っておりませんが、ヘイトスピーチを禁止する法律も国会に提出しています。そういう意味ではすべての人、LGBTも含めて、差別は許さないという立場です。
ただ、当然、マニフェストには入れると思いますが、個々の政策については、この共生社会でやるのか、どこで検討するのかということはこれからの議論です。
【記者】
外国人実習制度の問題や難民の受け入れ、そういった具体的な政策面で今考えていることがあったら伺いたい。
【代表代行】
難民について我々申し上げていますのは、ニーズも含めてよく見極めた上で、今の認定数は、ヨーロッパ諸国で胸を張って言えるような人数ではない。それをどうやって拡充していくか。検討する必要があるとは考えています。
ただ、難民を受け入れるといっても、一時的に受け入れて、それでお帰りいただくということではなく、定着して、職を探して仕事をしていただくということも考える必要があると思います。日本全体のある意味では移民政策にも連動してくるので、そこもトータルで考えていかなければいけない。ですから、それをマニフェストに大きな政策として入れるかどうかというのはこれからの検討課題だと思います。
【記者】
共生ビジョンについては、昨年1月の代表選の時からかなり議論されていて、そこから1年という月日がたったわけだが、今この段階で中間の素案ということだが、民主党内でこの中身についてどういう対立点とか論点でぶつかっているのか。やはりスピード感という意味では、私はよくわからないが、その辺の議論でいうと、あと何を議論しているのか、どこが論点となっているのか、その辺を伺いたい。
【代表代行】
哲学、基本的考え方の論点は基本的にはほとんどなく、ただ個々の実態を見た的確な個別政策について今詰めている。
そもそも共生社会創造本部の目的というのは、来年の参議院選挙に向けたマニフェストに直結させる、これが一つの目的・目標でありました。早めに出して中間報告、そしてブラッシュアップするというような考え方もありますが、この間、様々な現場を代表含め視察に行って、多くの当事者等からのご意見を聞いて、一定の中間報告を取りまとめ、それにさらに来年、全国を役員が手分けして回って、実態に即した個別政策を入れて、来年の参議院選挙のマニフェストの素材として間に合わせていくというようなことを考えております。特段、何か問題があって遅れている、出せないということではありません。
【記者】
長妻さんがずっとおっしゃっている経済的格差をどうするかというのが対立軸なのだろうと思う。そうすると結局、国民が聞きたいことは、所得課税あるいは相続税の課税。相続税についてはかなり代表もおっしゃっているが、そういうものについて具体的に書き込んでいくような、ビジョンの中で見出しが立つような話が出てくるのか。また、そういう問題については民主党内でも議論があると思うが、それはどこでコンセンサスを取るのか。
【代表代行】
政策を決めるのは「次の内閣」がありますし、ここは代表が主宰するものであり、そういうところで整合を持って決めていく。
先ほどの繰り返しになりますが、我々は中長期で累進性を高めていくということ。一つは累進の率もありまが、所得控除から税額控除の流れを進めることで格差を是正するような税制ということです。
実際に、既にご存じのように、相続税と所得税の累進は民主党政権の時に一部強化をしている。それを今も、実行中ですので、直ちにということではありませんが、中長期ではそういう対応をとると。
短期で財源を出すという意味、そして格差を是正するという意味では、先ほど申し上げましたように、金融所得ですね、株の譲渡益や配当や金利の収入、これについては20%から25%に上げて、そこで数千億円の財源が出ますので、それを児童扶養手当、第2子・第3子は相当低いので、それを上げていく。あるいは、今は18歳までですが、20歳までに上げていく等々、短期の財源として使う。
そういったことを含めて、提案・提言をして、最終的にはマニフェストとして結実させていきたい。
【記者】
来年に入ってから幹部の皆さんで全国を回るということだが、ブラッシュアップするために、全国を回ってどういったところの声を聞いて回りたいのか、特に力を入れたい分野があれば伺いたい。
【代表代行】
役員といっても、予算委員会もありますので、基本的には私とかこの共生社会創造本部の役員が手分けをして全国を回るということになります。意見を伺うというのは、特に地方の県連・地方議員はもとより、NPOとかフードバンク含めて、我々カテゴリーで分けているのは「女性」「若者」「子ども」という三つのカテゴリーに注力していますので、そのカテゴリーに即した、地域の草の根的に活動している団体も含めたところもお集まりをいただいて、公開討論のような形で意見をお伺いしていく。そんなことを考えております。
○社会保障と税の一体改革について
【記者】
代行も触れたように、複数税率、軽減税率の自公協議が大詰めに来ている。民主党としては軽減税率が貧困層の対策にならないという考えだと思うが、この間の議論をご覧になっての感想を改めて伺いたい。
【代表代行】
前原誠司衆議院議員もこの前の閉会中審査で質問していたが、安倍総理は、なぜ複数税率なのか理屈を説明できていない。理屈が説明できないまま税金を投入していくというのは、やはり報道にあるように選挙目当て。「選挙協力費」という報道がありますが、選挙協力費として巨額の税金を使う。しかも、「たった数千億円」とか、「1兆円は安い」とかいう言葉も報道にある。これはやりきれない、究極のバラマキだと言わざるを得ません。来年の予算委員会でも、どういう理屈でそういうことになっているのか、(安倍総理は)後付けの理屈を言うと思いますが、それをきちっと論破して、白日のもとにこの問題点を国民の皆さんにさらしていくことが必要です。
やはりぜひ皆さんにも我々申し上げないといけないのが、「民主党は全部それに反対だから、ひどいじゃないか」ということではなくて、我々が繰り返し申し上げているのは、低所得者のもとに的確に行って、逆進性がフラットになる、そういうことが小さい財源で対応ができるんですよと、あわせて強調していきたい。
たぶん安倍総理は、「民主党は食料品に全部かけて、血も涙もないんじゃないか」と、そうおっしゃる可能性もありますが、そこら辺をよく国民の皆さんにご理解をいただくように、我々も説明を繰り返していく。
【記者】
岡田代表は、新聞に対する軽減税率(の適用)は反対であると明言している。若年層にとって新聞が生活必需品だとは私は思っていない、よほどスマホだと思うが、それを含めて、バラマキという観点ではなく、この歪みという問題についてどうご覧になるか。見解を伺いたい。
【代表代行】
もう早速始まったと、私は思う。複数税率となると、ヨーロッパでもそうですが政治力、つまり政治に対して発言力が大きいところが優遇される傾向がある。実際にヨーロッパでもマーガリンとバターの軽減税率について、フランスですか、そういうことを言われております。必需品が何かというのは人によっても違いますし、おっしゃるようにスマホとか、自転車だって必需品に近いものでもありましょうし、靴だってみんな履いている。言い出したら切りがない中で、政治的影響力のあるものについては手を打っていく。
まさに今回の複数税率全体が政治的動機に基づいて実施されたように、それが今後どんどん繰り返されていくということは、本当にやり切れない。「利権政治復活」以外の何物でもない。徹底的に今後こういう問題を追及しないといけないと思います。
【記者】
総合合算制度は3党合意で決まっていたものだと思うが、これが軽減税率に使われるということで、今後、消費税10%引き上げについては民主党としてどのように対応していくべきと代行はお考えか。
【代表代行】
心外なのは、3党合意に書いてある総合合算制度も給付付き税額控除も、二つともやらない。しかも総合合算制度の財源を、社会保障に回さないで軽減税率をやると。私も3党協議の当事者で、今の(自民党)税調会長の宮沢さんもメンバーでした。当時は加藤勝信さん(現1億総活躍担当大臣)もいらっしゃったが、何の相談も、おそらく代表にも具体的には相談がないのではないかと思う。
ですから、我々はこれについて、あくまでも当初の原理原則に基づいた形にしてもらいたいということを、どこまでも要請していく。消費増税はやめろと今直ちに言うのはまだ早いと思いますので、当然、人への投資が必要なわけですから。これは国民的議論を喚起して、もとに原理を戻させる。この1兆円と言われているものを、本来の社会保障に使う形に戻させる大きなうねりを起こしていくことを追求していきたい。
○維新の党との統一会派結成について
【記者】
本日、維新の党との統一会派について両代表間で改めて正式に合意した。この統一会派の意味と、特に国会対策上、理事が増えるなど、時間配分の交渉等々で具体的にメリットが増えてくると思うが、代表代行が期待するメリット等があれば伺いたい。
【代表代行】
やはり最も大きいメリットは、私も筆頭理事をさせていただいて感じるのは、野党の理事は2人しかいない、その理事2人が一体となること。理事会はあまり公開されていないので世間の方はご理解いただけないかもしれませんが、理事会の攻防ですべての委員会の差配・運営が決まってくる。相当大きな力が、国会の追及力という意味では高まってくるのは間違いないと思います。
既に発表されているのですか、予算委員会の筆頭理事・次席理事も強力な方々ですし、厚労委員会の2人の理事も強力なフレッシュな方々です。基盤はまず整った、舞台回しの体制は整った。あとは個々の議員、あるいはチーム力で徹底的に今の問題点を追及して、そして我々の考え方を提案する。そういう舞台は整ったということで、よかったと思っております。
【記者】
代行は基本的政策合意で尽力されたと思うが、この項目の中で、意見の対立もいろいろとあったかと思う。例えば「身を切る改革」と維新の党が強く言っている一方で、民主党として、国家公務員総人件費2割削減とか、そういう数字に対して抵抗があったりとかいうことはなかったのか。
【代表代行】
私の記憶では、去年の衆議院選挙の民主党のマニフェストにも入っており、基本的にはマニフェストどおりということ。あとは、「身を切る改革」は確かに維新が使うフレーズですが、我々もそれは同感ですし、あとは「『居場所と出番』のある共生社会」というのは我々がよく使っているフレーズです。お互い理念が一致するところが多かった。お互いの考え方を入れて整合を取るようなペーパーにできたのではないかと思います。
【記者】
今日の統一会派の正式合意を受けて、今までも何度か質問が出ていると思うが、改めて。この先の野党再編、新党結成、維新側が求めている両党解党した上での新設合併、あるいは「民主党」という党名の変更について、現時点での考えを伺いたい。
【代表代行】
まずは統一会派のペーパーにも、そういうものを視野にというような言葉があると思いますので、やはり統一会派を組む中で、維新のみならず他の政党や個人とも共闘できるような、2枚紙の基本的政策のペーパーができたので、そういう固まりが作れればいい。その後の、新党とか、あるいは党名をどうするこうするというのは、統一会派を組み議論する過程で考えていく必要があると思います。
ただ、一般論として言うと、ご存じのように民主党もずっと「民社党」と言われていた、10年間ぐらい。私もいろいろなところに行くと、いつも「民社党の長妻さんです」と。いろいろなイベントで民社党と間違えられておりまして、10年ぐらいたってやっと、今「民主党」と、ほとんど間違えられなくなった。ということは、本当に(党名を)変えた時に、来年7月の参議院選挙で、じゃあ「民主党」と書くと無効票というか、どうするのかとか、本当に6ヵ月で浸透できるかどうかとか、実務的な話ですが、考える必要がある。そういう実務的なことも相当綿密に考えていかないと。失敗したからまた元の党名に戻すなんていうことはできない。慎重に考えて、ただ予断を持たずに議論していくということだと思います。