日々の活動(旧)

2015年03月14日

2015年3月14日(土) 家庭に居場所のない子どものための施設を視察

本日、ながつま昭は、森本しんじ参議院議員らとともに、広島市内にあるNPO法人「ピピオ子どもセンター」が運営する「はばたけ荘」を訪れ、鵜野一郎理事長をはじめ、運営スタッフらと意見交換しました。
「ピピオ子どもセンター」は広島弁護士会などが中心となって2011年に設立され、虐待などさまざまな事情で家庭に居場所のない子どもたちのためのシェルターである「ピピオの家」と、親との死別などの理由で自立を余儀なくされた子どもたちに生活場所を提供して自立を支援する「はばたけ荘」とを運営しておられます。「ピピオ」はラテン語で「ひな鳩」の意味で、子どもたちに大きくはばたいてほしいという願いが込められているそうです。いずれも10代後半の子どもが対象で、「ピピオの家」は女子専用、「はばたけ荘」は男子専用の施設です。
ながつま昭は、「子どもの貧困・格差問題をいかになくすかということは、当事者のためだけではない。そうした子どもたちが能力を発揮できる社会になれば、民主主義の基盤が安定し、社会全体にプラスになる。そうした大きな視野での取り組みだと思うので、ぜひ勉強させていただきたい」とあいさつ。那須事務局長から、このような施設が必要な理由について、(1)虐待などがあった場合の「一時保護」の対象が児童福祉法で18歳未満とされ、18歳、19歳は範囲外とされること(2)18歳未満であっても、児童相談所は小さな子どもたちが多いことなどもあり、10代後半の子どもたちに適切な環境を確保できないこと(3)少年事件を起こしてしまった子どもの中には受け入れてくれる大人がいれば事件を防げたケースもあること――などと説明を受けました。
現在「はばたけ荘」では高校生を含む4人の男子が生活しています。育児放棄や親の死別など、それぞれが様々な事情を抱えているが、成績が優秀で特待生として塾に通っている子や、地元企業に就職が決まった子がいるなど、「はばたけ荘」には子どもたちが安心して日々の生活を営める環境があることが分かります。これまで「はばたけ荘」で預かった子どもの中には、生活保護世帯で親が働く姿を見ていないために働くことの意義を理解していなかった子や、アルバイトをしようとしても、小学校さえ十分に通わせてもらえなかったために漢字が読めなかったり引き算ができなかったりして雇ってもらえなかった子もいるそうです。しかし、運営スタッフを始めとする周囲の大人たちが彼らを受け入れ、根気強く接していくことで、そうした子どもたちも社会へと巣立っています。
しかし課題も多く、財政的な不安定さや人材確保の難しさに加え、「シェルター」と「自立支援」の両立の難しさがある。「シェルター」は「外から保護」が目的だが、「自立支援」は「外(社会)への橋渡し」であり、方向性は真逆になるが、センターで預かる子どもたちにはどちらも必要です。現在は、女子用は「シェルター」だけであるため、自立支援には限界があり、逆に男子には「シェルター」も必要となります。現状でも財政基盤は弱く、精神的なタフさを求められるスタッフの確保に苦労している中で、男女ともに「シェルター」と「自立支援」を行うことは大きな悩みだそうです。また、親への支援も課題であり、那須事務局長は「私たちが『困った親』だと思う親は、自らが『困っている』親であり、かつて『困っていた子』でもある場合も多い」と語り、貧困の連鎖を断ち切ることの難しさを指摘しました。