国会質疑

2015年07月03日

2015年7月3日(金)【衆院安保法制特別委】「総理こそ通りにくいことを無理やりやろうとしている」

※民主党ホームページから転記

衆院安保特で3日に行われた安保関連法案の総括的集中審議では長妻昭代表代行が質問に立ち、政府が集団的自衛権行使の例として挙げる事案が、個別的自衛権では対応できないのかどうかなどを政府にただした。

個別的自衛権か集団的自衛権か

長妻代表代行は、6月26日の安保特での岡田代表の質問に対する安倍総理の答弁について、「周辺事態への対応は個別的自衛権なのか、集団的自衛権なのか」との疑問を投げかけ、「切迫事態」として防衛出動している状況の中で「ミサイルの発射を警戒している米軍の艦艇への攻撃が発生」した場合は、「わが国に対する武力攻撃の着手(=個別的自衛権で対応)とも読みうるのではないか」と問うた。これに対し安倍総理は、「国際的には、個別的自衛権ではなく先制攻撃と見なされる可能性が高い」として、集団的自衛権の行使でなければ対応は困難だと答弁。

そこで長妻代表代行は、2003年の当時の秋山法制局長官の答弁を引用し、また、個別的自衛権の発動要件は国によってかなり違いがあることなどを挙げ、安倍総理の答弁に反論し、その上で「(攻撃の着手を)個別的自衛権と集団的自衛権とに切り分ける基準は何か」と聞いた。岸田大臣は「どの時点をもって『着手』とするかには、国際法上も難しい議論がある」「(わが国が何をもって)『着手』と判断するかを明らかにすることは、わが国の手の内を見せることになり、答えられない」などととして答弁を回避。長妻代表代行が「それでは国会で議論できないではないか」と苦言を呈し、重ねて先に挙げた事例のような場合を、個別的自衛権だとすることがありうるのかとただすと「法理上はありうる」と答弁した。

このやりとりに安倍総理が「長妻議員が挙げている例は、論理上はあり得るが事実上はありえない。国際社会で通りにくいことを無理やりやろうとしているようにしか聞こえない」と噛み付いた。これに対し長妻代表代行は「通りにくいことを無理やりやろうとしているのは総理だ」と返し、先ほど挙げた事例は総理の答弁に基づいたものであり、「総理は自分の発言を覚えておいてほしい」と反論した。そのうえで、「『着手』の概念を整理せずに、『集団的自衛権ありきでやろうとしているのではないか』と疑ってしまう」と批判した。

自民党が目指す集団的自衛権

自民党の憲法改正草案では、第9条について「自衛権の発動を妨げるものではない」との記述があることから、長妻代表代行は、この「自衛権」は集団的自衛権も含むものなのかどうかをただした。これに対し、安倍総理は「自民党総裁としてこの場にいるわけではないので、一々答える立場にないし、法案とは関係がない」などとしつつ、「国連憲章上の自衛権だ」と答弁。国連憲章第51条には「(前略)個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使・・・(後略)」とあり、これに従うならば、自民党は限定的ではない集団的自衛権を含む自衛権を目指していることになる。長妻代表代行は「フルスペックの集団的自衛権を目指しているならば、憲法違反の疑いが濃厚なこの法案を取り下げ、堂々と憲法改正の手続きをして、この試案を国民に問うたらどうか」と迫ると、安倍総理は「憲法の改正ではなく今必要なことをすぐにやらなければならない」「憲法9条の変更については議論が熟していない。機が熟すことをただ待つのは、政治家としての責任放棄だ」などと答弁。安倍総理の身勝手さを印象付けた。

自民党若手議員の発言への対応

自民党議員の勉強会での発言について、沖縄県議会が発言の撤回と県民への謝罪を求める決議を発表したことについて、どう対応するのかをただした。安倍総理は「決議書を見ていない」としつつ、「先般の勉強会での発言が極めて不適切であったことは申し上げた通りで、国民の皆さまに対して申し訳ない気持ち。沖縄に対して自民党が長年行ってきた沖縄振興・基地負担軽減の努力を水泡に帰すものであり、大変残念であり、そういう沖縄の皆さまの気持ちを傷つけたとすれば申し訳ない」と述べた。