国会質疑

2016年01月13日

2016年1月13日(水)【衆院予算委】厚生年金違法未加入約200万人に「ヒト・モノ・カネを」

※民主党ホームページより

 衆院予算委員会で13日、経済・外交等に関する集中審議が行われ、党代表代行の長妻昭議員は(1)軽減税率の財源(2)厚生年金違法未加入問題(3)格差に対する現状認識――等について政府の認識をただした。

 消費税率10%引き上げ際に導入する軽減税率の財源として必要な約1兆円のうち財源の決まっていない約6千億円分について、安倍総理は12日の衆院予算員会で玉木雄一郎議員の質問に対し、税収の上振れ分を使うことを検討する考えを示し、一方で麻生財務大臣は「税収は、経済状況等によって下振れることもあり、安定的な恒久財源とは言えない」と答弁した。閣内不一致との指摘もあり、政府の統一見解を求めていたところ同日の委員会で提出された。

 これを受け長妻議員が説明を求めたところ、安倍総理は「税収の上振れについては経済状況によっては下振れすることもあり、基本的には安定的な恒久財源とは言えないと考えられる」「現時点では具体的な措置内容が念頭にあるわけではないが、与党とも相談しつつ歳入、歳出両面について検討していきたい」などと答弁。税収の上振れ分は安定的な恒久財源とは言えないことが明らかになった。長妻議員は、政府が6千億円の財源についてめども示せないことから、社会保障の充実に必要な財源が確保できずに削ることがないよう参院選挙前にめどを示すよう強く要請した。

 厚生年金違法未加入問題について長妻議員は、厚生労働省が昨年12月に公表した、国民年金1号被保険者のうち厚生年金の適用の可能性があるにもかかわらず、国民年金に加入している人がその1割に当たる約200万人程度だという推計値を取り上げた。この6割程度が40歳未満の若年層であるとみられることにも触れ、事業主の都合など不当な形で厚生年金でなく国民年金加入となると、医療もこれと連動し社会保険ではなく国民健康保険となり、年金に加え国民健康保険料の支払い負担も重くなると指摘。「会社で働きながら国民年金に加入している人は厚生年金の可能性がある。お近くの年金事務所に相談に行ってほしい」と国民に呼びかけるとともに、政府に対して緊急対策を宣言し、注意喚起とともに人ヒト・モノ・カネを集中させて適用対象者を加入させるための取り組みを加速化する必要があると訴えた。

 日本の格差の現状をめぐっては、安倍総理は「所得の格差は概ね横ばいで推移」「相対的貧困率については長期的な傾向としては概ね緩やかに上昇」「格差については、基本的には横ばいだと思っている」などと答弁。長妻議員は、昨年のマスコミ各社の世論調査では格差の拡大を実感しているとの回答が7、8割にも及んでいることに言及し、安倍総理の認識のずれを指摘した。

 そのうえで、民主党が掲げる「共生社会」、一人ひとりが、かけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い全ての人に居場所と出番がある社会を目指す上で大きな壁になっているのが能力の発揮を阻む「格差の壁」だと指摘。「教育、就労、年金といった格差の壁が経済成長も阻んでいる。格差拡大を放置して、子どもや若者を潰してどうして経済成長ができるのか。公正な分配による人への投資なくして持続的な経済成長はない」と述べ、民主党は今後こうした考えに基づく個別の政策をしっかり示していくと力を込めた。

 予算委員会 配布資料
 予算委員会 パネル資料