国会質疑

2016年02月05日

2016年2月5日(金)【予算委員会】「同一労働同一賃金だけでなく同一価値労働同一賃金が必要」長妻議 員

※配布資料

 衆院予算委員会で5日、2016年度本予算に関する基本的質疑が行われ、長妻昭議員は(1)甘利前大臣の口利き疑惑でのUR(都市再生機構)への会計検査院の検査(2)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による年金積立金のインハウス運用解禁の是非(3)厚生年金違法未加入200万人の緊急対策の進捗状況(4)同一労働同一賃金の実現までのプロセス(2)道徳教育の特別教科化――等について質問した。

 甘利前大臣の口利き疑惑をめぐっては、URが当該会社に支払っていた保証金が適正価格かどうかについての会計検査院の検査結果報告について、内々聞いたところでは早くて11月頃、最も遅い場合には3年かかるという話があると指摘。国会法第105条の規定による「国会検査院に対する会計検査及びその結果の報告要請」では、委員会で議決すれば概ね3カ月以内に結果を出すことになることから、早期の結果報告の実現に向け議決を求めた。

 そのうえで、今すぐできる対策として、閣議決定のみで決められる大臣規範に、「政務三役は、少なくとも就任中は企業団体献金やパーティー券販売を禁止する」と明記すべきだと主張。安倍総理は「企業団体献金に問題があるとは思わない」と、これを拒否した。

 GPIFによる公的年金の積立金(総額約140兆円)の株式運用に関しては、「厚生労働省が検討を進めている株式の直接売買解禁を断念したとの方針を固めた」との報道を受け、この事実関係を確認したところ、塩崎厚労大臣は、「年金部会で議論いただいており、8日にも議論が予定され、まだ続いている」と答弁。長妻議員は、昨年の経済財政諮問会議でのGPIFを活用した政策誘導に言及した委員の発言にも触れ、「野放図に権限を拡大し、仮に直運用をすることになると安倍内閣の方針に逆らう民間企業がなくなってしまう懸念もある。企業を政策的に従わせるようなツールとして使うような発想は持ってもらいたくない」と訴えた。

 安倍総理が施政方針演説で実現を目指すと表明した「同一労働同一賃金」については、異なった職務でも、職務の価値が同じであればそれぞれに対し同一額の賃金を払うという、世界標準としてある「同一価値労働同一賃金」の考え方を採用してもらえるのかと質問。これに対し塩崎厚労大臣は、「総理の発言は『同一労働同一賃金に踏み込む』ということ。まずは同一労働同一賃金をどうやって実現に向けて詰めていくべきところを詰めていくかということが大事。職務給の中身、定義、評価をしっかりとやっていくことが第一歩だ」と答えた。長妻議員は、EUで実施している同一価値労働を実現するための職務評価制度を紹介し、あまりにも正社員と違う非正規雇用の給料、待遇を合わせよう、底上げしようという本来の目的のためには、同一労働同一賃金だけではなく同一価値労働同一賃金が必要だと強調。「国際競争力を上げるためにクビを切りやすい非正規雇用労働者を増やしたことで、逆にスキルが上がらずに労働生産性は下がっている。今や経営者の常識は、スキルの高い労働者を雇う方が高付加価値の産業が生まれるという考え方が主流だ」と述べ、スローガンだけではなく法案の提出をと求めたが、安倍総理は「必要であれば作っていくことは当然だが、そこはしっかり検討していくことになる」と答えるにとどまった。

 長妻議員はあわせて、期限のある職務に限定して有期雇用を雇えるとする有期雇用の入口規制の検討を提案した。

 道徳教育の特別教科化については、子ども一人ひとりの道徳心や愛国心を評価することになると懸念を表明。中学生や高校生の受験の内申書に道徳心や愛国心の評価が入る可能性を尋ねると、馳文部科学大臣は、「検討中」とするものの特別教科化の選択肢を排除しないことが明らかになった。