日々の活動(旧)

2016年03月24日

2016年3月24日(木)代表代行記者会見の模様です

■冒頭発言

○新党「民進党」の結党に向けて

【代表代行】
 民主党(代表代行)として私の会見はこれが最後となると思いますが、大変に感慨深いのは、私自身も1996年の旧民主党の時から民主党にありまして、1998年には新しい民主党に私も合流いたしました。一番初めは新党さきがけでありまして、1996年の選挙は落選をいたしましたが、2000年に当選して、今の民主党でのある意味では第1期生のような形で、同期には細野豪志さんや山井和則さんとかもいらっしゃいますが、やってまいりまして、党が変わるということで非常に感慨深いものがあります。
 ただ、しっかりと大きな選択肢を国民の皆様に提示していくことができたのかなと。そしてさらに大きな選択肢として国民の皆様の期待をいただければ政権を担っていくと、こんなような準備が整ったと考えております。
 順調に新党の準備が進んでおりまして、昨日は党名や綱領、規約などなど、あるいは「98年方式」と呼んでいる離党・入党の手続も(両院議員総会で)合意・了解をいたしまして、いよいよ27日の結党大会を待つばかりとなっております。
 ただ、事務的には藤本祐司参議院議員も中心に、広報や、あるいはいろいろな印刷物や、これからの機関紙などなど、事務方あるいは担当する議員の仕事は多忙を極めることになると思いますが、思いを一致させて、今の政治を大きく変えていこうということで一丸となって取り組んでいきたいと考えているところであります。
 何とか27日に新しい党ができて、まずは、当然国会論戦もありますが、補欠選挙が2ヵ所。そして4月・5月と政府のほうからもいろいろな政策が出てくる、我々のほうもいろいろな政策をぶつけていく。そして参議院選挙、あるいはダブル選挙かもしれません、そこで我々の成果を力強く残していくことで成果を上げていきたいと考えております。

■質疑

○新党の人事について

【記者】
 本日、一部報道で民進党の新たな人事が流れたが、代表代行自身は岡田克也代表から何か話があったりしたか。

【代表代行】
 特に私自身は話がありません。

【記者】
 政調会長の人事に山尾志桜里さんの名前が報道で出た。人事についてはもちろん代表の権限かと思うが、山尾さんの名前が出たことに対して長妻さんの考えがあれば伺いたいのが1点。
 あと27日に結党大会を開いて新たなスタートを切るわけだが、人事は、特に役員人事は継続して続けるのがいいのか、それともやはり一部刷新されるのがいいのか、お考えを伺いたい。

【代表代行】
 党大会を控えて、もう間もないわけですので。人事は代表の専権だと思っていますので、今は“口チャック”であります。

○共生社会創造本部の中長期経済政策案「共生イレブン」について

【記者】
 先日発表された共生社会創造本部の、特に「共生イレブン」(共生社会創造に向けた民主党11の提案)だが、代行自身が指摘しているように、最近とみに自民党のほうが同一労働同一賃金であったり、「共生」という言葉を使ったりと、ダブル選をにらんでいるのかどうかわからないが、争点をなくすような動きが見える。この点について改めて伺いたい。

【代表代行】
 (新党人事の質問に対して)さっき“口チャック”と申し上げましたが、本当に大変恐縮でございますが、人事については代表の専権事項ということでなかなか申し上げられないというのをご理解いただければと思います。
 「共生イレブン」の話でありますが、「共生社会」ということを安倍総理もおっしゃったり、同一労働同一賃金ということの法制化、あるいは昨日のニュースを見ておりましたら、労働時間、残業時間ですね、これは我々が考えて既に発表しているものとほぼ同じような――つまり「三六協定」を結んで残業を労使で合意しても、そこに特別条項というのがありますから、事実上、残業の上限がないということで、我々もその特別条項を削除して、事実上、残業の上限を法的に確定させると。こんなようなことを既に提言しておりましたが、全く同じことが昨日発表されたということです。
 これは悪いことではないと私は思っています。向こうもやるべき政策というのが、民主党が言っている、これから民進党が言う、そういうところが必要なんだなという必要性に気づいてきつつあるということだと思います。やはり本当に短期な経済政策は成長戦略とか金融緩和とか財政出動とかあると思いますが、我々は中長期で経済政策を考えた時に、それは社会政策と表裏一体であるという思いがありまして、「共生社会」というのは社会政策であると同時に、結果として中長期の経済政策でもあると。そういうことを政府・総理も感じつつあるのではないか。
 ただ、どう考えても大きな懸念となるのは、看板倒れに終わるのではないか。選挙前の争点つぶし、抱きつき作戦ではないですが、そういうことで選挙が終わればケロッと忘れてしまって、「憲法改正だ」というような話になるのではないかという懸念があります。慣れないことを総理がやり出したから山尾さんにこれだけやられてしまうということもありますので、看板倒れの部分については突っ込みを、選挙戦も近いわけでありますので相当入れて、本当の本物の改革を実行していただくように、我々も詰めていきたいと思います。
 ただ、おっしゃったからにはこれを取っかかりに、向こうがこちらの土俵と同じ土俵をつくっていただいたわけですので、それを取っかかりにそれを本物に変えていく役割が我々にあるということでありますので、相当みんな張り切っているわけです。

○衆議院TPP特別委員会の設置について

【記者】
 今日の衆議院本会議でTPPの特別委員会の設置が正式に決まり、委員長に西川元農水大臣、「政治とカネ」の問題で辞任されたが、この特別委員会が設置されたことと委員長に西川元大臣が就くことになった受け止めを伺いたい。

【代表代行】
 特別委員会が設置されたということで、我々民主党もその委員会自体には賛成をいたしました。
 委員長については、これまでの言われている問題が全て明らかになっているのかどうか、こういうことについての疑問もありますが、それはやはり委員会の運営なども見て、我々、判断しなければいけないと。
 ただ、何よりも、そのTPPの特別委員会での大きなテーマとしては、過去の経緯をご存じである甘利前大臣、交渉当事者ですね、何としてもお呼びをして、やはり甘利前大臣、当事者でしかわからないような話を、話すことができる範囲内でお伺いすることも大変重要になってまいります。ご病気であるということは、診断書もあるようでありますのでそれはそのとおりだと思いますが、できるだけ早く回復していただいて、国会でそういうお話をしていただきたいという思いは、私だけではなくて多くの関係者が持っていると思います。

○共生社会創造本部の中長期経済政策案「共生イレブン」について

【記者】
 「共生イレブン」と具体的に出てきた。ただ、「共生」というのはスローガンとしては実は非常に難しい言葉で、「共生」って何だと言われると、異種類のものが共存しているとか共に生きているという状況を言っているわけだが、方向性がどこまで出ているのかという思いもある。長妻さんが代表選の時もおっしゃっていたのは「格差是正」という言葉で、その辺はどういう整理になっているのか伺いたい。

【代表代行】
 これは我々も今後、「共生」という言葉の意味・意義をさらに説明していかないと、と思っております。
 私の承知しているのは「共生社会」、「共生」というのはもともとは障害をお持ちの方とそうでない方が分け隔てなく暮らしていくと。こういところから言葉ができてきたと思います。それがどんどん広がって、そうではなくて、もう一人ひとり人間は違うと。その多様性をそのまま認めていく、これがまず一つ。そして認めた上で、格差を是正するなどして、その人たちの支え合う力を育んでいって、支えられ、そして支える関係をお互いにどんどん広めていく。
 つまり多様性をきちっと確保する、多様な価値を認めていくというのが一つ。もう一つ大きいカテゴリーは、支え合う力を育んで、お互いに支えられ、そして支える、その関係性を広めていく。政策的には、支え合いを支える仕組みをつくっていく。こんなようなことが「共生社会」。
 「共生社会」は、ある意味ではそういう支え合いということでありますから、全てを社会保障や行政に頼るということではなくて、それぞれの地域でそういう支え合いのネットワーク、「新しい地縁」とも呼んでおりますが、そういうものをつくり上げていくということです。
 海外のことを引用するわけではありませんが、いろいろ著名な、ノーベル賞を受賞されている学者さんや、IMFやOECDや、「インクルーシブ・グロース」というような国連の考え方にも(我々の考え方と)非常に合致するレポートがどんどん出てきて、我々も意を強くしているわけです。やはり日本がこれから持続可能な社会を実現するにはそういう考え方以外にないと考えておりまして、「共生社会」は結果として、社会政策と同時に、中長期の本質的な経済政策でもあると。こんなようなことをもっとわかりやすく、選挙の大きな争点にもしていきたいと思っております。

【記者】
 民主党がよく、これも理念的だが「分厚い中間層」という言葉を使っている。すると、「共生」「格差是正」を含めて、その最終的な目標にしている社会の構造というのは、やはり「分厚い中間層」なのか。「共生」というのは、今おっしゃった助け合いとか支え合いとか、やはり状況だが、どういう社会、どういう租税構造とか、どういう感覚なのかなと。自民党との違いですよね。自民党はやはり“日本党”だから、ある意味で支え合いみたいなところがもともと本質的にはあると思うが、自民党との切り分けで言うと、どういう社会を目指しているのか。最終的に目指している社会構造は「分厚い中間層」ということになるのか、

【代表代行】
 安倍総理と先月も予算委員会で議論しましたが、やはり格差は拡大しているかどうかという認識については、安倍総理は基本的には横ばいであるという発想。そして格差を是正するという問題意識が根底にないと私は理解をしております。そういう意味では、いまだにいわゆるトリクルダウンと言いますか、GDP600兆円ありきで、それに対して、みんなが働いてくれと。600兆円を目標にみんな働け、と言わんばかりの発想だ。
 そういう発想であると「分厚い中間層」がバラけて、今、社会が二極分化しているというのが我々の問題意識でありまして、相対的貧困率を見ても、子どもの、あるいはひとり親を見ても、富む者と貧しい者、持てる者と持たざる者が相当、二つの社会に分離してきていて、中間層がバラけている。こういうことで、相互不信も起こりつつあるのではないか。「分断社会」という感じもしているところであります。東京のある区では、小学生の3人に1人が私立小学校に行っている。これはいいことです。ただ、貧困・格差のない世界に生きる方。しかし同じ区では、公立中学校の3人に1人は就学援助を受けている。これは貧困・格差だらけのところにいらっしゃる方々もおられて、それがお互いに想像力が働いていくのかどうかという問題意識も持っております。
 そういう意味では我々は分断していかないような、もう少し中間層が厚くなるような、つまり格差を是正する結果としてそういう社会を取り戻していきたいというのが一つの大きな考え方です。
 そういう問題意識が根底にあって政策を打ち出すのと、失礼ながら安倍総理のように「1億総活躍」「600兆円がまず目標」という前提で、同一労働同一賃金とか、いろいろな政策を打ち出していくことの根底に流れる基本的思想の違いというのは、私は相当大きいものがあると感じております。ただ、それを国民の皆様方にわかりやすい言葉で、実例も交えながら打ち出していくことを今後、選挙を控えて取り組まなければいけないと思っています。

○衆議院TPP特別委員会の設置について

【記者】
 今後の審議の中で、農業分野であるとか、特にどのような分野について審議を充実させる必要があると代表代行はお考えか。

【代表代行】
 さきの農水委員会ですかね、TPPについての決議をしましたよね。その決議が本当に守られているか守られていないか。
 あとは数字が正確なのかどうかという疑義が出ておりますが、TPPにより日本が受ける便益というか、そういう金額・数字の根拠がはたしてどうなのかというようなことなどについて。
 あるいは、本当に仔細に見ていくと、日本の社会がどれだけ変容することになるのか、ならないのかですね。医療も含め、食品の安全も含め。そういうようなことについて相当突っ込んだ議論をしなければいけないと。
 この前も、来日されている著名なノーベル経済学者の先生と朝食をともにいたしましたけれども、その先生も、自由貿易と言いながら相当分厚い書類を結んでいると。それについては特定のところに偏っているのではないのかと。そんなような趣旨のお話もされておられましたので、それが事実かどうかですね。一部のところが潤うような形であってはならないわけでありますので。
 そういう論点を一つ一つ議論をしていくということだと思います。

○社会保障と税の一体改革について

【記者】
 消費増税について伺いたい。維新の松野代表を含め、昨日も野党4党の党首が集まり、消費増税については反対して法案を出す方向で一致したということだ。民主党としては3党合意をまとめた経緯もあり、特に長妻さんご自身も関わったと思うが、増税凍結についての考えと、民進党になった後もこの3党合意の精神は生きていくのか伺いたい。

【代表代行】
 まず、民進党になった後も3党合意の精神は生きていくと私は思いますし、おっしゃったように、昨日ですかね、共産・維新・社民・生活の4党が、消費増税凍結の法案というような動きも聞きました。
 ご存じのように我々は先月、維新と共同でまとめまして、軽減税率導入を前提とした消費税引き上げは認められないと、こういう考え方であります。ですから我々は、今の段階では(軽減税率導入を)撤回していただくと。軽減税率を撤回した上で、社会保障の総合合算制度や、あるいは本来予算も少なくて逆進性を是正する給付付き税額控除、これを入れて、本来の本筋の3党合意で議論していたことに戻すということを粘り強く要請していくというような、今はスタンスであります。そこまでですね、今は。

【記者】
 3党合意だが、この間、政府・与党が軽減税率を導入する際も、特段民主党に話があったわけではなく(自公)2党ペースで進んだと思うが、こうなると3党合意自体が生きていないのではないかと。さらに、民進党に変わった後でも、この3党合意の枠組みを支持されるのか、それとももう3党合意はなかったものとして新たな議論を始める考えもあると思うが、長妻代表代行の考えを伺いたい。

【代表代行】
 これは我々も大変心外なのは、都合のいい時は3党合意のようなことをおっしゃるのですが、重大な、軽減税率を入れるという――まあ法律的には選択肢の一つでありますが、当時の当事者の議論としては、基本的には給付付き税額控除と総合合算制度ということをある程度暗黙の前提として進んでいて、その後の安倍内閣になった時の厚労大臣などの答弁も、それを前提としたような趣旨のご答弁もされておられます。
 そういう意味では、我々に何の断りもなくというか、何の協議の申し込みもなく、軽減税率を強引に入れたことについては相当不信感を持っておりますが、ただ、国民の皆様との関係で言えば、消費税が既に8%になっているわけですから、それはやはり3党合意と。10%に上がって、一定程度それが守られた後、これはそうだねということはあるかもしれませんが、まだ8%に上がって10%に上がる前の段階では、これは3党合意の精神で国民の皆さんにそもそも、もともと約束した法律が生きて、今そういうふうになっているわけです。これはもう大前提として我々も議論しなければいけないし、与党も、そもそも論として国民との約束は3党合意であったということをもう一回、胸に手を当てて思い出していただきたいということです。

○新党の人事について

【記者】
 長妻さんは「消えた年金」でまさにホームランを打った。ここ最近は山尾さんの活躍はなかなか見事なもので、やはり安倍さんは基本的には女性に人気がないわけで、そういう意味では民進党は女性が前面に出てくるイメージになるのか。野党の“女子力”というのが、北海道5区を含め、山尾さんの評価も含め、その辺をどんなふうにお考えになっているか。女子力では野党がまさっているのではないかと私は思うが。

【代表代行】
 もともと我々の問題意識といたしましては、日本の政治、国会議員・地方議員を含めて女性の比率が、これはデータで見ても先進国最低レベルと。やはり女性の力を我々の政党の中で本当にお借りして、中核でそういう価値を根づかせていきたいと。こういう強い思いを持っているところで、それが当然、日本の社会全体にとってもプラスになる。私自身も、日本の長時間労働とか、あるいは子どもの格差とか、教育格差とか、そういう問題の根源の一つには、やはり女性の国会議員・地方議員の比率が低いことが大きな原因の一つであると感じております。今、議連でわが党の中川正春先生がクオータ制などを議論しておりますが、そういう意味でも本当に力いっぱい、そういう方々に前面に出ていただいて、と考えております。
 その中で山尾さんの非常に地に足のついた、生活実感にあふれた質問――という切り口の質問にはたぶん安倍総理は相当弱いと感じております。つまり、やはりフワフワしていると言ったら失礼ですが、お役所から上がってくるデータを読みながら答弁をして、実際にそういう現場を足しげく訪れたり、周りの悩みを相当吸い上げていったり、というところが不十分であるということで、今回のような事態を招いているのではないか。つまり、本当に自分がやりたいのがその分野なのかどうかと。やはり、目くらましと言ったら失礼ですが、民主党の論点を選挙前に消しておきたいということで、そういう民主党的なことをにわか勉強でおっしゃったツケが回ってきているのではないか。そこを鋭く、女性の地に足のついた感覚でそれを見破って、それを是正させるように総理に強く迫っていく。こういうところにある程度の共感が得られているのではないかということです。
 これはやはり国会議員として、ずっと国会にこもりきりで、地元にも帰りますものの、相当根を詰めて仕事をしていますと、本当に今の生活実感からどんどん離れてしまう。こういうことがありますので、これは自戒を持って我々も考え、多くの女性、多様な人材をいかに集めるかがこれからの政党の勝負になると思いますので、そういう意味ではこの路線をさらに拡充していきたいと思います。